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令和3年10月30日 晴れ

阿佐ヶ谷ハーネスで

第一幕
1.エアーガン
2.スポーツと気晴らし
3.そいつはいつか化け物になるぞ
4.R離棟からの手紙
5.グッドナイト・ダーリン
6.折々の径影
7.あの子が好き
8.のっぽ
9.ブルー、ブルー

第二幕
1.あたしのハート
2.天使とドライブ
3.夜の底
4.潮騒
5.我が道を進め#1
6.旅に出なさい
7.ワルプルギスの夜
8.ローラースケート日和

encore
1.お高くとまった季節
2.笑い死ぬ
3.星はただの点


緊急事態宣言発令の呪縛からようやく解放され、阿佐ヶ谷の街も徐々に活気を取り戻しつつあるなか、やっとおれもそろそろ本領を発揮できるというもんだ。というのも、今はじめて打ち明けるが、飛沫感染の予防の観点から、今まで歌を歌っているように見せかけて、実は歌を歌ってなどいなかったのである。どういうことか?
なんとおれは、毎回事前に収録しておいた声を会場に流してもらい、口だけを動かしていたのである。(もちろんMCを含めてだ。)
お客さんをだまくらかしているようで気が咎めたことが何度もあったが、万一クラスタアゼでも勃発しようものなら元も子もない。今年2月からスタートして9ヶ月間、これまで計9回ものステージに渡り、同じ戦法を繰り返して来たわけだが、お客さんの誰ひとりとしてこの地下アイドル顔負けの"口パク芸"を見抜いた者はいなかったと断言できるし、しかも終演後にくつろいでお喋りしているときの声でさえそうだったというのだから、おれと、そしてお店のマスター鎌田さんとの息の合ったコンビネーションの芸当も大したもんだ! 
しかし、或いは、わざわざこんなことを打ち明けなくてもよかったのかもしれないとの思いもある。知らないほうが幸せだったということもあるだろう。どうか自分たちが感動したライブは偽物だったなんて思わないでほしい。君たちを傷つけるつもりはなかった。ただ君たちの尊い命を守りたかった。そしてもう二度と世の中がこんな状況に陥らないよう、願いを込めての告白なのだと理解してもらいたい。
次回からは正真正銘の生歌を聞きに来てくれ。おれも直ちにヴォイストレーニングに励むことにしよう。

双葉双一

ハーネスチラシ  3


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