ゴダールに出会った頃の話

生まれて初めてのアルバイトはドトールだった。
私は18才で大学1年生だった。
店長は背の高い口の悪いおばさんで、初めてのバイトで要領の悪かった私はよく怒られていた。
私はバイトに行くのが苦痛だった。
狭いカウンターの内側にいると息苦しかった。
練習で作ったミラノサンドは持ち帰ることができたけど、食べたくなくてゴミ箱へ捨てた。
人々は、作った者のことなんか知らず、コーヒーやミラノサンドを平気な顔で食べていた。
確か、初めてカプチーノをスチーマーで温めた日だった。

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