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ブナサールファンクラブ

移籍市場において選手及びクラブ間にて互いに満足度の高い契約を締結されたとき、それは成功とみなされる。しかし、実際にチームに加わり試合が行われると評価が変わる事例は往々にして存在する。

すなわち
①本人の性格がチームに合わない 
②怪我が多く稼働率が低い 
③本人の力を引き出せるチームになっていない 
④実力が足りていない 
などである。

逆に言うと金銭面も含め、上記①~④の条件をすべてクリアすると、これは完全に成功と言って差し支えないであろう。

例えばチュポ=モティングの場合
①語学に堪能でコミュニケーションの不安が少ない上、本人も人格者として知られており、カメルーン代表では主将を務めるほど周囲の信頼が篤い
②バックアッパーの立場を受け入れており、短い出場で結果を残せるように集中して取り組んでいる
③得意のポジションであるCFとして主に起用され、ときおり使われる左WGはシャルケ時代にゴレツカの隣で頻繁に起用されていた
④前線からのプレスの精度、ライン間での駆け引きの能力が向上しており、現にゴール数という結果を残している

しかもフリー移籍。完全勝利である。

さて、では改めて表題に移ろう。議論の的はブナ・サール氏についてだ。
移籍して1年が経つが、筆者の所感だとあまりファンの支持を得られていない印象が強い。

右サイドバックの補強は2020年の命題であったが、もともと第一候補は現在バルセロナで活躍する当時19歳のセルジーニョ・デストであり、第二候補はノリッジ・シティの当時19歳のマックス・アーロンズであった。
デストは競合に負け、アーロンズは高額だったためマルセイユの28歳のサールに白羽の矢が立ったという経緯だ。
ちなみに、署名の経緯については仏人スカウトのロラン・ビュセールの推薦状だけだったという逸話があり、いかに吟味が薄い状態でサリハミジッチがパニック状態でサインしたかが窺い知れる。

…いや、もしかするとYoutubeくらいは見たかもしれない。以下のリンクでサールのかっこいいプレー集が見れるぞ!

改めて見てみると、球離れが悪いようにも見えるダイナミックな持ち運び、単に荒いだけに見えるアグレッシブな守備が確認できる。
全く可能性を感じさせないクロスも、ボックス内の動きを促しているかのようにも見えるし、無謀としか思えないリスキーな突破も十分な勝算があってのことであろう。

まさに王者のチームに相応しい補強と言える!

前述の条件の面でも見てみよう。
①本人の性格:至って真面目であり、勤勉にドイツ語習熟に精を出しており、チームメイトにフランス人も多く、今年のプレシーズンではキャプテンも任された器 
②怪我:少ない。バックアッパーとしての立場も受け入れており、少ない時間でパフォーマンスを見せられるよう邁進している 
③本人の力を引き出せるチームか否か:ここについては監督が代わったばかりでもあるため此処からが勝負である 
④実力:足りていな…ゲフンゲフン、未知数。ちなみに、足は速くてスプリント計測で昨期ではチームで3番目だったとか。

移籍金800万ユーロの太っ腹4年契約という大ディールである。完全勝利!

Twitterで検索をかけると否定的な見方をする者が多いが、古巣であるマルセイユでは未だに根強い人気を誇っており、復帰待望論も頻繁にみられていたりする。
売ってあげた方がWin-Winのように一見は思われるが、天下のバイエルンの辣腕SDであるサリハミジッチ氏には我々などでは全く及ばない深謀遠慮がきっとあるのだろう。そうに違いない。違いないったら違いない。

何はともあれ、とにかく、サールのプレーを見ていると諸君も色々な意味でハラハラドキドキするであろう。
きっとそれは恋心に近い。胸を張ってブナサールのファンであると公言して良いと思うのだ。

あまりの人気の無さに話題にすら上らずフェードアウトしたエドソン・ブラーフハイトとは異なり、何だかんだで出場すればTwitterのTLは悲鳴にも似た感情丸出しの感想が並ぶことが毎回のことであり、かく言う筆者もついついサールを目で追ってしまうのだ。
とにかく出場した試合の存在感が凄まじく、注目の的であるのは間違いない。

そう、自分は立派なブナサールファンクラブの会員となっていたのであった。

総括:みんなで応援しようず

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