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リーフがくれた30分

「そろそろ充電が必要だから、充電するね〜」
そう言って夫は、ハンドルを切って小高い山の上のコンビニに向かいました。そこには充電施設が併設されているからです。

現在私たち夫婦は、神奈川県の三浦半島、背後には山、歩けばすぐに海という自然にあふれた場所で生活しています。自然が豊かと言えば聞こえはいいのですが、実際のところ家から最寄駅まで山道を通って徒歩30分…。歩くこと自体は苦ではないのですが、夏はとにかく暑くて道中辛いのです。

そんな折に、御近所さんであり大切な友人の久仁子さんが
ご自身の車を「必要な時にいつでも使っていいよ」と言ってくださいました。
久仁子さんの車といえば、真っ赤なリーフ。日産の電気自動車です。
『会いに行くキリスト教会』の活動も面白く思ってくださり、活動の為にも是非使ってとのことでした。
久仁子さんのご好意が本当にありがたかったです。

ちなみにこの車種は、走行100キロ毎に充電が必要。
ただ、現在はバッテリーが消耗している為、実際には50キロくらいしかもたないかなと。

そんな訳で、私たちは移動のたびに頻繁に充電施設に立ち寄っていました。
急速充電器の場合、チャージまでにかかる時間は30分。

コンビニに到着した私たちは、車を併設されている充電機に接続。
コンビニに寄ってラムネ味のフラッペを購入し、
チャージまで外に出て、散策をすることに。

そこは三浦半島の沿岸沿いで、道路から眼下には遠くに海が見えました。
二人で一つのフラッペを味見し合いながら、どこかの日陰で座れる場所を探しながらしばらく歩き続けるも、真っ直ぐに続く道路のほかには何も見当たりませんでした。

「コンビニに戻ろうか」
「そうだね」
そうしてまた来た道を引き返す二人。

暑い日差しのもと、やっぱりこうして歩いている私たち。

充電の度に、こうして私たちは立ち止まってしばらくゆったりと時間を過ごします。
初めはこの時間がもったいなくて、時には怖かったのですが(移動中に充電施設が見つからない時など)、今ではこのサイクルにも慣れ、この時間がなんだか貴重なもののようにも感じています。

先へ先へと進み続けるのではなく、時に二人で休憩する時間。
たわいもないお喋りをする時間。

リーフがくれる30分を、これからも楽しみたいと思うのです。

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