スピカ

薄暗い路地をただひたすらに歩いた、空は闇に包まれてあなたの影も見えなくなって、私はひとりほっとした、あなたがあなたであることに、みんなが口々に言葉を発す、それをきみはひとずつ丁寧に掬って溢さないように抱きしめた
神様じゃない、きみは神様じゃない。きみは怒るし涙だって流すし、くだらないことで大笑いするようなそんな人。ぼくだけが知っている君の秘密を、ぼくは燃やしてしまいたくなる、きみがいなければいいのに。
劣等感も憧れもぜんぶきみだった、きみがぼくの世界だったから、嫌いになんてなれなかったの
足元に空き缶が触れて音を立ててまた、離れていく。君を見てなにも思うことがなくなる日があればそれは、ぼくが死んだ日

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