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なんとなく僕たちは大人になるんだ


大好きだったあの子が結婚するってさ。
めでたいことなのに涙が出るのはなんでかな。
音楽が好きなあいつがギターを手放した。
「お金がないから仕方がないんだよ。」
そう言ってあいつは笑うけど、僕はうまく笑えなかったよ。
今日僕は行きつけのラーメン屋でラーメンを食べました。たいして美味しくもなかったけど。ぼんやりテレビを眺めてたら、僕より後に来た客が、僕より先にラーメンを平らげて帰っていきました。なんでみんなそんなに急ぐのだろう。僕の周りはみんな生き急いでいる様に見えて、僕はなんだか苦しい。ほんとはみんなの方が正しくて僕が間違ってるのかな。僕がおかしいのかな。ラーメンのスープに映る自分の顔を覗き込んでも答えは出なかった。
こんな感じでなんとなく、僕たちは大人になるのかな。自分がなんなのかも分からないまま。見つけられないまま。なんかやだな。それって嫌な感じだな。僕の吐いた白い息が夜空に消えて見えなくなった。
思えばいつだって僕はひとりだ。気付けばいつだって僕はひとりだ。でも気付いたところで何も変わらなかった。僕は僕のままだった。情けなくて弱くてみっともない惨めな自分。誰がこんな人間を愛するだろうか。誰も自分なんて必要されない。世界に僕はひとりぼっちで。どこまで行ってもこの先には暗闇しか存在しなくて。やっと手に入れた光でさえ、すぐにパチンとひび割れてみんな夢の様に消え去っていく。そうやって生きてきた、今まで。あらがってもがいても、闇は私の影の様にいつも纏わりついてきて、果てしなく続くその暗闇を私は受け入れることでしか、生きる術がなかったのだ。

太陽は死んだようだよ。
明日は黒い服を着て街に出よう。
その悲しみも全部受け止めて僕は生きるよ。
生きていくよ。


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