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本物の山城で行う戦。今年も伝説が生まれる。〜極寒の水鉄砲合戦in設楽城2023〜

真冬に行われる狂気の祭典。本物の山城で行う「極寒の水鉄砲合戦in設楽城2023」が無事に開催されました。
そして、また一つ伝説が生まれました。

この週は日本にシベリアから最強寒波がやってきて、北陸等で大雪になっています。前日にはこの地域にも雪が降り続く極寒の名にふさわしいコンディション。この日の気温は13時30分になっても3度

どおりで寒いはずだ。

この寒さをモノともせず、水鉄砲で打ち合おうという猛者たちが集ってきます。

猛者なのか狂者なのか。

小学生も参加しています。試合開始前に籠城側、攻城側それぞれ撮影。まだまだ元気で余裕があります。

始まる前は元気一杯!籠城側大将は兜もあり。

合戦は1回15分。①大将が討ち取られた場合、②全員死亡した場合は負けです。なお、③15分間籠城側が凌ぎ切った場合は攻城側の負けとなります。(籠城成功)

死亡の判定ですが、ジャケットの白色の部分が濡れると赤くなるため、❶赤の部分が75%以上となった場合、❷頭に付けている金魚すくいのポイが破れた場合は死亡となります。

大将のみジャケットが違います。

死亡は自己申告。ただし戦で興奮状態となり、自らの死に気付かず戦い続ける者もいるため、この場合、虚無僧が引導を渡します(=審判が死亡と判定)。死亡者は忠魂碑の場所でジャケットを乾かすこととなっています。
そして、使用する水鉄砲ですが、一回ごとに水を吸い上げて押し出すタイプとなっています。

カラフル。ポップな感じになってしまうのはご愛嬌。本当は黒とかが良い。

火縄銃は連射できないため吸い上げ形式に限定しています。ライフル型の水鉄砲を利用したこともありますが(第1回)、近代戦のようになってしまったので2回目以降はこの形式です。
そして、弾薬(水)。

参加者も手伝っての手作り感満載のイベントです。

籠城側、攻城側、それぞれバケツは3つ。そして、中間地点の堀に中立的なバケツが置かれており、確保した方のものとすることができます。

中間地点のバケツ

これらのルールは、コロナ前に3回戦う中で培われてきました。
急な坂で戦うため15分を超えると疲労して負傷者が増えてしまうのです。
また、真冬にやるのは蜂や虫がおらず草木が枯れており戦いやすいことと厚着をするので転んでも怪我しにくいためです。
攻城側、籠城側は戦いごとに希望制で分かれます。籠城側が有利なので基本的に攻城側の人数が多くなるようにしています。
さて、合戦が始まると、まずは遠矢を射かけることから始まります。

二の丸の方が三の丸より高い。籠城側の方が飛距離が出て有利。

不思議なもので、特に合戦について知らない人でもこうするんですよね。人間、戦い方は不変なようです。ここで、徐々に皆さん城機能を無意識のうちに利用し始めます。高さが有利なので籠城側はよく見通せるのです。

高低差に苦戦する

しかし、第1回戦は籠城側が人数が少なすぎたため落城してしまいました。(籠城側6、攻城側11)

押し寄せる攻め手。結構迫力あります。

やはり、一定程度の人数がいないと守りきれない、という声があり、2回戦以降は籠城側の人数を増やすことに。こうした微調整も合戦ごとに行われます。
2回戦以降は慣れてくることもあり、徐々に合戦がヒートアップしてきます。

戦の最中も情報交換は欠かさない。

城を知らない人でもいつの間にか城機能を利用している。
これこそが、この合戦を始めた最大の理由。城好きを増やしたい。そのためには白を知って欲しい。なら戦うのが一番。
これがこのイベントを始めた最大の理由。そして、地元の理解と協力のおかげで現在まで開催できています。
今年は夕方冷えると路面凍結が心配。ノーマルタイヤで参戦している人もいるため、時間は15時半までと決定。そのため、第3戦で終了することに。
最後の戦いはいつも激戦。参加者が慣れてくる頃、最後だということで気合が入り、水も全部使い切るため弾薬がふんだんに提供されるためです。

ガチ勢登場

お互い、戦う中で気心も知れてくるのも大きな特徴。

初顔合わせ同士でもこうなる。

さぁ、本番。激戦の模様は画像でご紹介。もはや水を節約する必要なし。攻める側も守る側も死に花咲かせるために激闘が開始されます。

もはや真冬の水かけ祭り

武田流丸馬出がある設楽城。入口が二方向に分かれますが、それぞれ激戦となります。高低差がある中、お互い3回戦目とあって足腰に疲労が来ていますが、戦う!

水鉄砲を失い白兵戦を挑みポイに掴みかかる!

あちこちで悲劇が、惨劇が。

複数に討ち取られる!

倒れ込む!

笑顔で前向きに死んでいく。

女性だろうが容赦はしない。

流石にバケツをぶっかけることはせず、ジャケットに水を塗ってトドメをさす。

徐々に討ち取られていく兵たち。残るは大将。
第3回戦は奇しくも両大将とも女性。そして、過去の戦歴からすると真っ先に飛び出して攻めかかるタイプで似ている。先頭に立つ蒲生氏郷タイプ。
ここまで我慢していた両大将。ここで攻城側の大将が動く。

ひっそりと馬出を登ってくる。

密かに動く攻城側大将。もはや貫禄すら感じられる。そして、この期待に満ち溢れた表情を戦場カメラマンは逃していない。

この嬉しそうな表情!

そして、籠城側が前線に兵を押し出して大将が一人になっているところへ攻城側大将が兵を一人連れて奇襲を仕掛ける!大将戦の幕開け!!最終戦を飾るに相応しい場面が登場。二人とも4回とも参戦しているベテラン勢。城は知り尽くしている。

奇襲!

危機を感じて敵襲を告げる籠城側大将。しかし、そこに兵の姿は見えない。高低差があるため、なんとか凌ぐが2対1。一旦体制を立て直しトドメを狙う攻城側。籠城側は、もはや絶体絶命のピンチ。

もはや絶体絶命の籠城側。

しかし、戦場では有利になって攻めている時が一番危ない。
なんと、ここで既に全滅したと思われていた籠城方の兵が密かに後ろから近づいていることに誰も気が付かない。そして、次の瞬間。
まさかの背後からのバケツぶっかけ!

まさかの!

桶狭間の戦い、沖田畷の戦い並みの大番狂せが発生!

討ち取られて苦悶の表情を浮かべる攻城側大将

これには見学者全員驚く。みな大将戦に気を取られていたので、背後からの敵兵に気づかず、まさかの事態発生。ここまで鮮やかな奇襲は、4大会目で初めて見ました。雪の中、倒れ込む攻城側大将。

無念。。。

そして、ここでも無情な掟が。
首を取られてしまいます。

ポイに指でぷすっと穴をあける=首を狩る

最後に相応しい大一番でした。
いや、正直、毎回こんな面白いことが良くも発生するものだと。そして、専属戦場カメラマンがいるため、毎回決定的瞬間を収めることができます。ありがとう藤本さん。

攻城側、籠城側両大将が抱き合っている。笑。

最後の記念撮影は皆笑顔。
ただし、結構皆さん、くたびれきってます。

城は足場も悪く高低差があるため、戦っている時は興奮してるので気づきにくいのですが、終わるとドッと疲れが来るのです。しかも寒いし濡れてるし。
気温は終始3度のまま。
ご参加の皆さん、どうもお疲れ様でした。
また、来年お会いしましょう。

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