ウルトラマンデッカー考察 「デッカーの正体」「ダイナとの関連性」について

○はじめに

○はじめに
本記事は「ウルトラマンデッカーTVシリーズ全25話」「劇場版ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ」の完全なネタバレを含みます。
そのため、まだ上記の2作品を未視聴、かつネタバレを見たくないという方は、この段階でのブラウザバックをお願いいたします。
なお、それに伴いネタバレに対する批判は一切受け付けないため、あらかじめご了承ください。

○前書き

初めまして、フルイチです。

本記事は、ウルトラマンデッカーで断片的に語られた「デッカーアスミの時代の話」「ウルトラマンデッカーの正体と、ウルトラマンダイナとの関係性」を、劇中描写や関連書籍等の情報をまとめつつ考察したものでございます。

本記事の内容は、元々は友人と話をするようにまとめたものでした。
その友人から好意的な感想と、「世に出してもいいんじゃない?」と言ってもらえたため、今回投稿する運びに至りました。

インターネットに記事を投稿するのは初めてに近く拙い表現もございますが、「読者がよりウルトラマンデッカーを好きになってもらえる解説」は書けた自信があります。
是非、楽しんで読んでいただければ幸いです。

○ 便宜上の表現「α世界線/β世界線」について

本記事ではデッカーの時系列を解説するにあたり、劇中や関連書籍では使われていない「世界線」という独自の表現を使わせていただきます。
それぞれの世界線の意味は下記の通りです。

・α世界線
デッカーアスミとダイナ達がスフィアと戦ってた未来の世界。

・β世界線
α世界線からアガムスがスフィアと共に時間移動した事で分岐し、誕生した世界。

○時系列順に紐解く、ウルトラマンデッカーの正体

α世界線での出来事


①ダイナとディナスの邂逅 ウルトラマンディナス誕生
ラヴィー星が侵略されるもウルトラマンダイナがこれを阻止。ラヴィー星人の生き残りの1人、ディナスを助けようとアスカが光の力で癒そうとするが、その光がラヴィー星人の「力を受け取る性質」と反応し変化。
その結果、ディナスはダイナの光でウルトラマンディナスになる。

※TSUBURAYAIMAGINATION「円谷造形探訪」によると、「ウルトラマンディナスのメインカラーである紫色は、コスモスのスペースコロナモードを意識したデザイン。ウルトラマンサーガにて、分離後にゼロにダイナとコスモスの光が残った様に、ダイナの中にもコスモスの光が残っていた」と解釈されている。
つまり、ディナスを救おうとしたダイナの治癒能力はサーガの一件後にコスモスから受け取った技であり、ディナスは間接的にコスモスの光も受け継いでいると考察できる。

②ディナスとカナタの邂逅 ウルトラマンデッカー誕生
ディナスとアスミカナタが接触。カナタがディナスから光を継承しウルトラマンデッカーに変身。
これにより、この世界にウルトラマンデッカーが誕生する。

※重要なのは、カナタがウルトラマンデッカーになったのはスフィアとの遭遇による結果ではなく、「カナタはスフィアと邂逅しなくてもディナスと出会い、ウルトラマンデッカーになる運命だった」ということ。

※デッカーとダイナが酷似した容姿、能力を持っているのは、そもそもデッカーがダイナの光が変化して誕生した「同質の光」であるため。

※ディメンションカードはラヴィー星人の能力。カプセル怪獣をモンスディメンションで使役できたのは、カナタとディナス達が旅の過程でバッファロー星、アニマル星、メタル星に訪れ、野生のカプセル怪獣達と親交を深めたことでカードを手に入れていたからと、劇場版パンフレットにて解説されている。

③スフィアの復活 破滅の予兆
カナタがウルトラマンデッカーになった後の遥か未来。ウルトラマンダイナ本編で倒されたグランスフィアの残党が、デッカー宇宙に襲来。長い長い年月を経てマザースフィアザウルスへと進化する。

※ダイナのスフィアとデッカーのスフィアは同じ存在だと、Blu-rayBOXにて説明されている。グランスフィアの残党はサーガの時点で描写されており、デッカーのスフィアもその同種である。
つまり、ウルトラマンデッカーは戦いの舞台と主人公が違うものの、文字通り「ウルトラマンダイナの25年後のアフターストーリー」といえる。

④スフィア襲来の日
誕生したマザースフィアザウルスが地球人類への侵略行動を開始。ここから、デッカーアスミ達とスフィアの戦いが始まり、この戦いにバズド星人もアガムス主導の元関わっていく事になる。

⑤デッカーアスミと光の邂逅 デッカー&ダイナ 未来の星の戦士たち
デッカーアスミは、先祖の光を継承してウルトラマンデッカーに変身。
更に、グランスフィアの生き残りを察知して来訪したウルトラマンダイナも、援軍としてデッカーと共闘していくことになる。

⑥レディアの死 戦いの光と影
戦いの中でアガムスはレディアを喪う。その後、アガムスは復讐のためにタイムマシンを利用し、スフィアを連れて過去への時間移動を行う。この時間移動により歴史が大きく変わり、冒頭のβ世界線が誕生することになる。


β世界線での出来事(ウルトラマンデッカー本編)


⑦カナタと光の邂逅 新たなる光
過去に移動したスフィアが、過去の地球へ侵攻を開始。戦闘の最中に、カナタの強い想い(光の資質)と未来のディーフラッシャーがタイムマシンを通じて惹かれあったことで、カナタは"未来"から光を受け継ぎ、ウルトラマンデッカーに変身できるようになる。

⑧スフィア撃破 彼方の光
カナタ達人類がスフィアを完全撃破。役割を終えたウルトラマンデッカーの光はカナタから離れ、本来在るべき未来、α世界線のデッカーアスミの元へ帰る。

※カナタが変身能力を失ったのは、恐らく歴史の辻褄合わせのため。
ウルトラマンデッカーの起源は「α世界線のディナスからα世界線のカナタ、α世界線のデッカーアスミへと継承された光」であり、その光がβ世界線のカナタに受け継がれたのがTV本編でのウルトラマンデッカーだから。
「β世界線でのデッカーの起源はα世界線のカナタから巡り巡って継承されたもの」になってしまうと、出自の辻褄が合わなくなるからだと思われる。

⑨ディナスとカナタの邂逅 光の巨人、ふたたび
スフィア撃破後から1年経過。ディナスとカナタが出会い、戦いの中でカナタは光を継承する。これにより、β世界線にて初めて、本当のウルトラマンデッカーが誕生。

※ディナスが光になる経緯は①と同様。

※ギガロガイザとの最終決戦でカナタがタイプチェンジしなかったのは、あの戦いでのデッカーはTV本編でのデッカーとは別人であり、産まれたてでタイプチェンジ能力を持ってないからら使えなかったと、パンフレットにて解説されている。
監督の想像では、スペースナースデッセイ号での旅の過程で、カナタが再びストロング・ミラクル・ダイナミックの力を発現していき、それがやがてβ世界線のデッカーアスミに受け継がれていく流れになる。

⑩ 総括 デッカーの光のバトンの流れ
・デッカーの起源は以下の流れ。
アスカシン(大元)→ディナス→アスミカナタ→デッカーアスミ。

・TV本編はイレギュラーで以下の流れ。
アスカシン→ディナス(α世界線)→アスミカナタ(α世界線)→デッカーアスミ(α世界線)→カナタ(β世界線)

最終回にてカナタとデッカーが別れたが、これはTVでカナタが継承した光はあくまでα世界線のもので、役目を終えて本来在るべき未来に帰ったから。

○あと書き

デッカーの正体とダイナとの関連性に関する考察、いかがだったでしょうか。

ウルトラマンデッカーという物語のテーマは、「どんなに困難な状況でも、一人一人がそれぞれの夢に向かって、傷つきながら皆で支え合って前進していく、未来を諦めない不屈の心こそが光であり、その光を肯定する人間讃歌」だと私は考えています。

そのため、「デッカーの出自やダイナとの関わりは、物語的には重要ではない」ため、劇中描写や関連書籍では受け手の解釈に委ねた演出が多かったのだと思います。

ただ、そんな表舞台ではあまり語れなかった背景設定も、極めて細かい部分まで作られており、そういう「ミクロからマクロまで緻密に作られた世界観」も、ウルトラマンデッカーの魅力の一つだと思います。

私のこの解説で、ウルトラマンデッカーの世界観により深く没入できた、より楽しめたと、デッカーファンが1人でも増えてくれたら嬉しいです。

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