1人夜のピクニック
誕生日を目前に控えた20歳の12月、夜のピクニックを読んだ。高校3年生の最後に、夜通し約80キロの道のりを歩く歩行祭というイベント。
歩行祭を通して今まで話したことのなかった人たちと話し、新しい出会いを得て成長していく青春真っ直中の高校生たちの人間関係が描かれていて、読了後居てもたってもいられなくなった僕は、20歳の最後に物語の舞台である水戸を1人で80キロ歩こうと思った。
この歩行祭というイベントは実際に水戸の高校で行われている行事らしく、高校生でもクリアできるのなら20歳で健全な肉体を持ち合わせている僕は、余裕とまでは行かなくてもなんとか歩けるだろうと軽い気持ちで挑んだ。
だが、考えが甘かった。12月という季節と生憎の雨で開始早々僕は
「なんでよりによってこんな最悪なコンディションやねん、寒っ」「ていうかそもそもなんで1人やねん」「もうあそこの角曲がったら終わりでいいんちゃう」「痛っ、なんか今足グキッって言った!グキって言った!!」などと大量の言い訳と不満をこぼし、8キロ地点で海が見えたことと高校生達は大量の人数で歩いての80キロだが、こっちは1人でその10分の1も歩いたんだからトントンだろうと言う謎の理論を展開しリタイアした。
結局何の出会いも成長も得ず日付が変わるまで歩くこともなく、2時間ちょっとで僕の夜のピクニックは幕を閉じた。
あらすじ
高校生活の最後を飾る伝統行事「歩行祭」を舞台に、80kmの道のりを親友たちと夜を徹し歩く非日常の中で浮き彫りとなる青春の光と影を描く。
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