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苦しい時は、旅に出よう。

「ね、なぜ旅に出るの?」「苦しいからさ」
この一文から始まる「津軽」を読んだ時、救われたと思った。高校生の頃から漠然と20歳の終わりまでに47都道府県全て行ってみたいと思っていた。僕は沖縄の小さな島で育ったし、引きこもって学校に行かない時期が長かったので、外の世界に対して人一倍強い憧れがあった。
高校を卒業して吉本の養成所に入った時は丁度コロナの真っ盛りでどこにも行けなかった。

それから20歳が近づくにつれて徐々に自分の中で焦燥感の様なものが芽生え、「行かなくては」と思った。今にして思えば苦しかったんだと思う。地団駄を踏んで同じ所に留まり続け、動き出さない自分に嫌気がさしていた。
そこからリモートワークや旅館やホテルで働いたりと、なんとかお金を工面して、20歳が終わる直前に47都道府県を回りきった。達成感の様なものはあったが、全て1人で回ったので喜びを共有できる相手がいなくて、向かい風とハイタッチした。

「津軽」は太宰治が生まれ故郷の津軽地方を旅した、紀行文的な小説である。
青森県津軽地方の風土や、太宰と関係の深い人々を通して、太宰治という人間の成り立ちを描いた作品になっていて実際に小説を読みながら津軽の地を巡る旅は特別な体験になった。
苦しい時は、ポケットに文庫本を入れて旅に
出ることを全力で推奨する。

あらすじ
私(津島修治)は、久しぶりに故郷・金木町(旧・金木村)に帰ることになった。そのついでに、津軽各地を見て回ることにして、懐かしい人々と再会する。そして小泊村を訪ね、かつて自らの子守りをしてもらった、越野タケ(実在した人物、作中では「たけ」と平仮名表記)を探し当てる。

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