競争は戦場メタファー。共創は生態系メタファー。

戦略、戦術、ターゲット、ポジショニング、囲い込み、競争優位性などなど。これまでのビジネス用語は戦いを想起させるものが多かった。「社会は、市場は戦場だ」というメタファーが世界観として暗に存在していたように思う。

一方で、近年、ビジネスにおいてもエコシステムという言葉が使われ出しているように、社会、市場は生態系であるというメタファーへと私たちの世界観が変化しはじめているように感じる。

競争は戦場メタファーの世界観に立っており、共創は生態系メタファーの世界観に立っている。

これまでは社会・市場経済は戦場であるという世界観から競争の原理と原則が見出されてきた。これからは、社会・市場経済は生態系であるという世界観から共創の原理と原則を新たに再構築していく必要があるのではないか。

ただし、注意が必要なのは、共創は競争を否定しているわけではなく、競争も一部として含んでいるということだ。各プレイヤーが健全な競争を行うことによって商品やサービスの品質が高まり、差別化によって多様化し、価格がより適正なものに調整されていき、市場が健全に進化していくという側面は存在するし、大切。実際の生物の生態系の中にも食うか食われるかの世界や食物連鎖のヒエラルキーは存在する。しかし、それは生態系の全てではなく一つの側面にすぎない。

物事には全て固有の価値と限界があるように、競争にももちろん限界が存在する。それは、過度な競争は、地球環境など経済システム以外ものにしわ寄せを与えてしまうということだろう。この辺りは今後詳しく考えていきたい。

今、戦場メタファーの世界観と競争の限界を超えていくために、生態系メタファーの世界観に立った共創の原理・原則とテクノロジーが求められているのだと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?