心のあり様と方略・方術
「発信が続かない理由は、父親との関係にあったんだ…。」
集客などのマーケティング課題をテーマにコーチングをしていると、「親との関係性」のような、一見マーケティングとは関係がないように思えるテーマに行き着くということがよくある。
講師業をされているある方の話です。
その方は業界大手である会社と契約を結び、外部講師としてクラスを担当することで収入を得ていました。
コーチングセッションを通じて、自分が本当にやりたいこと、伝えたいことが見えてきた結果、外部講師として決められた内容を教えるのではなく、自分で講座をつくり、教えていきたいという想いを強く抱くようになりました。
自分の講座を開催するためには、自分で集客を行う必要があります。
そこで、私もお手伝いをさせていただきながら、集客プロセスのデザインを行い、具体的な打ち手としてFacebookページやブログなどのソーシャルメディアを使って発信していく内容のコンセプトまで明確にしました。
あとは、自分の伝えたいことを、自由に発信していくだけ。
しかし、数週間経っても発信している様子が見られません。その方の中で何かが起きている感じた私は、次のコーチングセッションの時に聞いてみました。
すると、「集客をするためには自分の考えを発信していく必要があると頭ではわかっている。でも、いざとなるとどうしても気が乗らない」ということを聴かせてくださいました。
なぜ気が乗らなくなるのかということ明らかにするために、その方のお話や気持ちに耳を傾けていったところ見えてきたのは、「自分はからっぽだ」という、自分自身に対して持っている諦めの信念でした。
その方が自覚していたのは「気が乗らない」ことだったのですが、心の奥深く、潜在意識レベルでは、「自分はからっぽだ」という諦めの信念があり、その結果、自分の本当の想いや伝えたいことを発信するとその「からっぽさ」が周りにバレてしまうという恐れを抱き、発信を止めてしまうということが起きていたのです。
そして、その更に奥底には幼少期における親との関係がありました。
このように、私たちの「心のあり様」は、私たちがマーケティングなどの外的領域における取り組みを行う際にも、企画の段階、実行の段階に関わらず、大きな影響を与えています。
□二代目社長が自分は「期待はずれ」であるという諦めの信念から、自分が本当にやりたい事業をやってしまうと先代である親にがっかりされるのではないかという恐れを抱き、踏み切れない。
□自分には「特別なものは何もない」という諦めの信念から、本当にやりたい事業をやって失敗をすると、地元の人たちに失敗者としてのレッテルを貼られてしまうのではないかという恐れを抱き、踏み切れない。
□自分には「価値がない」という諦めの信念から、高い金額を設定するとと拒絶されるのではないかという恐れを抱き、適切な値付けができない。
□自分は「社長の器じゃない」という諦めの信念から、本当に貢献したい人にターゲットを絞ってしまうと、他のお客さんが去り、売り上げが下がり、自分が「社長の器じゃない」ことがバレてしまうのではないかという恐れを抱き、決断できない。
ここで挙げたのは「心のあり様」における、「諦めの信念」という、ある意味、成果を限界づける一面ですが、「純粋な想い」や「らしさ」などの成果につながる一面もあります。
いずれにせよ、私たちが方略・方術などの何らかの施策を検討し、展開していく際に「心のあり様」にはあまり注目されません。
しかし、「心のあり様」の変化が、大きなブレイクスルーを生み出すことがあるのです。
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