コミュニケーションと自己一致

広告であるにもかかわらず、心を深く揺さぶられ、感動すらするコミュニケーションってありますよね。一方で、同じようなことを言っていて、コンセプトも似ているのだけれども、どこか表面的に感じるコミュニケーションもあるかと思います。

現在のようなソーシャルメディアの時代は、共感がシェア数という結果として明確に現れるので、相手に響くかどうかは大きな関心ごとではないでしょうか。

相手に響くコミュニケーションとそうではないコミュニケーションの違いを生んでいるのは、何でしょうか。コピー、ビジュアルなどのクオリティーの違いでしょうか。もし、それだけではないとしたら、一体、何が違うのでしょうか。

その違いを理解する助けとなる考え方の一つに、心理学に自己一致と言われる概念があります。自己一致とは、簡単に言うと「そうであるべきと思っている自分」と、「あるがままの自分」や「本心」が一致している状態です。

自己一致しているコミュニケーションは相手に響き、逆に自己一致していないコミュニケーションは、相手に違和感を与えます。

例えば、「好き」という言葉一つとってみても建前で伝えるのと、本心で伝えるのでは響き方が全然違うと思います。考えてみると当たり前のことですが、ビジネスでは自己一致していないコミュニケーションになりがちです。「表面的だな」と思ってくれるのはまだいい方で、多くの場合は、「なんか嫌い」という感覚しかありません。しかし、受け手としての自分を振り返ってみると、コミュニケーションの背景にある下心や打算をしっかりと感じ取っているのではないでしょうか。

自己一致しているかどうかは、コピーやビジュアルはもちろんのこと、声色、表情、テンションなどの細部に表れ、トーンとして伝わっていきます。そして、あくまでも私の持論ですが、何らかの目に見えないエネルギーのようなものを実際に発しているのではないかとも考えています。

また、自己一致には深さという観点もあります。人や組織が持っている本来の想いや価値観と深くつながれば、つながるほど、それが表現された時に起きる響は大きくなります。

人の心に響くコミュニケーションで有名だったスティーブ・ジョブズは瞑想を習慣にしてましたが、日頃から自分自身と対話し、奥底にある想いを自覚することがその力の源の一つであったかもしれません。

その商品やサービスを通じて、どんな人をどう幸せにしたいのか。
自分たちの事業を通じて、どんな世界を創りたいのか。
そして、何者であるのか。

新しい未来を創造していく上で心に届く発信するということはとても重要だと思いますが、その上で、自分自身の心と対話する内省の習慣は必須ではないかと思います。

最後に、深く自己一致したコミュニケーションの好例だと思うCMをご紹介しますね。


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