協働における合意形成のレベル

個人や組織が協働していく際には、現状、目的、目標、方針、計画などについて何らかの合意を形成することが必要とされる。もし、何の合意形成もなく認識がバラバラなままであったら、メンバーの行動に一貫性が生まれず、効果的な連携が出来ないどころか、お互いに足を引っ張り合うような結果になってしまうこともあるだろう。

よりよい協働には合意形成が欠かせないということはあまり異論はないように思いますが、一方、一言で「合意形成」と言ってもいくつかの種類、レベル感があるように感じています。

まだ整理しきれていないのですが、現段階での考えを以下にまとめておきたいと思う。

■契約
協議された内容が履行されることについて、罰則などの何らかの強制力が発揮される合意。企業と個人、企業間、国家間など様々な関係性において取り交わされる契約などが該当する。

■同意
協議された内容に対してお互いに賛同するという意思表示が明確になされた合意。
同意した内容に則らない言動がなされた場合、信頼は損なうが、強制力は発揮されない。口約束などが該当する。

■同期
内容に対して賛同するという明確な意思表示はなされないが、協議を通じて共通認識が自然と生まれ形成される合意。組織などにおいて現状認識やビジョンについて自由に対話することによって、メンバー間の認識やビジョンがすり合っていくようなケースなどが該当する。

社会変革の取り組みにおいて同意レベルの合意形成については着目されることが多いが(契約はあまりないかな)、同期レベルの合意形成の効果や重要性については見落とされがちのように思う。

そもそも社会的課題は複雑性が高い上に、多くの場合、地域、社会など共通の目的を持たない共同体が範囲となるため、そこに関わる多様なステークホルダーが共通の結論を出し、契約や同意までに至るまでには様々な壁を超えていく必要があるし、かなりの時間がかかる。

もし、無理に契約や同意を形成することを目指してしまった場合は、逆に対立を生み、深めてしまう可能性も高い。共通の目的を掲げる非営利組織が手段で対立するということはよくみられるケースであるように思う。

組織開発にせよ、社会変革にせよ、個や組織の協働を促す取り組みおいては、メンバーの社会的複雑性などを考慮しながら、現状認識、目的、目標、方針、計画などのテーマ毎に、どのレベルの合意形成を目指すのかを意図的に使い分けることが必要であるように思う。

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