【後編】ガチ恋客とクリスマスデート
前回、ガチ恋客とのクリスマスデートで連れていかれたのはまさかの競馬場。
虚を突かれた私はなすすべなく男児にデートをリードされていく。
それでは続きをどうぞ。
駅から競馬場へ
男児「はぐれないでね!」
さりげなく、気づけば男児に手を引かれていた私。
・・・
それはモテる男のやり口!
まぐれで恋愛力高めの仕草を放り込んでくるんじゃないよ。混乱するから。
駅から競馬場に続く通路に歴代の馬の写真が飾ってあって、男児は馬について熱く語ってた。
話こそ聞いてなかったけど、私にとってその光景はとても新鮮で競馬場までの道のりを楽しんでいた。
私「にしてもすごい人だね。入場制限とかないのかな?」
男児「まあ大丈夫っしょ」
この軽い返答に私は一抹の不安を覚えた。
この男意外とノープランじゃね…?
数分後私の予感は的中することになる。
いざ入場
おー競馬場だー。ちょっとワクワク。
あれ、みんな一直線に入場の門に進んでるけど入場券買ったりはしないのかな?
ここで男児がソワソワし始める。
そして近くを歩いていたおじさんに話しかけたのだ。
男児「入場券ってどこで買えます?」
おじさん「当日券はないよ。前売りだけ。」
やってくれた。完全にやってくれたね。
この瞬間に今日入場できないことを男児も私も確信し受け入れた。
そして男児の第一声は・・・
男児「そうきたか…」
どうもきてない。なんでJRAに一杯食わされたみたいな感じになってるんだ。事前に調べればわかることなのに…
男児「残念だね。今度は事前に入場券を買って入ろう!」
待て待て待て、なんでまたデートすることになってる?
完全な失態を次回デートのアポに昇華してんじゃないよ。
抜けてるのか策士なのかわからない男だなまったく。
引き返す道中で「昔は当日でも入れたんだよ」という弁明をひたすらされた。昔っていつ?と聞いたら15年くらい前と言ってた。
昔すぎ!アップデートしろ情報を!
よくよく聞いたら競馬場には大昔に何度か行ったことがあるだけで頻繁に行ってるわけではなかった。
行きの通路で馬のことを語ってる様は最低でも月1回は競馬場に通ってる玄人感を出してたが。
まさかの入場できないという本人も意図しないビッグサプライズ。サプライズデートの神髄を見た。
とりあえず引き返しながらこれからどこに行くかを話し合う。
すると男児から提案が。
男児「現地解散がいいからなるべくうちの近くのラブホで残りの時間ゆっくり過ごしたい」
夢の国へ連れていくと言われ始まったクリスマスデートは一度も夢を感じることなく現実へと引き戻された。
残念でもないけどなんだか急に気が抜けた瞬間だった。
クリスマスプレゼント
そんなこんなで新宿方面へ向かう。
移動の電車中も競馬の話。競馬場には入れなかったもののホテルで有馬記念を観戦したいらしい。
目的地の駅へと到着。
男児「ちょっとお茶でもしよっか?」
私「コーヒー飲みたいな」
まわりを見渡した男児が・・・
男児「マックあるじゃん!行こ!」
この男完全に夢の国を放棄している。とことん現実を見せてきやがる。
マックに入店しコーヒーとマックフルーリーを注文。
着席したところで男児が満面の笑みでこちらを見ている。
男児「じつはふろたんちゃんにクリスマスプレゼントがあります!」
私「え~ありがとう!なんだろ」
おぉ~ついにそれらしいことが!ここまでがグダグダなだけに期待してしまう。
でも待て…男児に「何か欲しいものある?」とか聞かれた覚えもない。
一瞬ブランドものなどの王道なとこを期待したがどこかキナ臭い。
(ガサゴソ)
パサッ・・・
なんとそこにはポチ袋が!
キター!男児がここにきてこれまでの汚名をすべて返上する究極の一手を打ってきた。
なるほど、ここまでのグダグダ進行でも余裕を見せていたのはこの奥の手を控えていたからなのか。
現金のプレゼントに胸を躍らせるアラフォーソープ嬢。お花屋さんになりたかった小学校の頃の私が聞いたらどう思うかな。
男児「開けていいよ」
私「いいの?ありがと~!」
ビリッ
さあいくら入ってるんだ(ドキドキ)
・・・
そこに入っていたのは・・・
1枚の馬券!
マジか・・・
またも逆方向へのビッグサプライズをかましてきた男児。
これにてこのクリスマスデートの最後の砦も崩された。
でも考えてみて。勝手に期待したのは私のほうで男児は何も悪くないんだよね。
他人に期待しないことの大切さを男児は教えてくれた。
この人生を豊かにする考え方こそが男児が私にくれたクリスマスプレゼントではなかろうか?
半ば強引に自分自身を納得させた私はその馬券を手にした。
私「まさかの馬券だ!ありがとう!」
これが実際の馬券。
男児「200万以上。」
私「え…?」
男児「この馬券当たったら200万円以上になるんだよ。ふろたんちゃん夢があるって言ってたよね。その資金にあてて。」
私「あ…ありがとう」
言ってることカッコいい風なんだけどおかしいよね?なんかいろいろと。
うん絶対おかしい。
どうやら男児は前日に場外馬券場なるとこで事前に有馬記念の馬券を購入してたのだ。
自分の分もしっかり買っていて長々と根拠を解説をされた。
解説を聞いている時、おそらく私の魂は宙をさまよっていたと思う。
ていうか馬券は自分で買わせてよ!
よくわからないながらも馬の名前だけで選んで買ったりするやつやりたかったんじゃ!
競馬の一番の醍醐味を味わうことなく競馬デートは終わりへと向かうのである。
ラブホで観戦~解散
マックでのお茶を済ませてラブホへ。
コンビニで食料とお酒を買い込んで入室。
入室するや否や男児の猛烈なスキンシップが始まった。
どうやらレースが始まる前に事を済ませたいらしい。
男児「邪念がない状態でレースを見たいんだ」
いや…射精を済ませたところでギャンブルなんて邪念そのものだろうが。何言ってんだこのじじいは。
この時私の心の口調もだいぶ荒くなっていた。
そして男児の要望により「同窓会で久しぶりに再会し肉体関係を持った二人」という設定のもと、嬢としての責務を全うした。
レースまでの時間は食事しながらゆっくり過ごした。
そしていよいよレースの時間に
男児「いよいよだね!ぼくのも当たれば300万以上にはなるからね。勝ったら毎週ふろたんちゃんに会いに行っちゃおうかな!」
邪念そのものである。
レースの結果は・・・
かすりもしなかった。男児も私も。
私へのクリスマスプレゼントはただの紙くずへと変貌を遂げた。
男児「・・・有馬記念には魔物が棲んでるんだよなー」
魔物の仕業らしいです。ならしょうがないよね。魔物だもん。
反省会をして時間がきたので現地解散。
男児「次は現地で見ようね!」
私「そうだね…」
いやー疲れましたわ・・・
クリスマスに何やってんだろう私。
アナウンサーになりたかった高校生の頃の私が聞いたらどう思うかな。
まあ嘆いても過去は変えれないからしょうがない。
未来は変えれるから今の夢を実現するためにあと少しお風呂屋生活がんばりまーす!
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