ネガティブのススメ:ネガティブは美味しいに決まっているのです
第1話 ネガティビティ・バイアス
脳内のデフォルト(初期設定)はアクセルとブレーキですが、ブレーキの方が強く作用するように作られています。
だから、褒められたときよりも、怒られたり、辛いことを言われたときの方が、ずっと心に引っかかっています。良い出来事よりもトラウマになるようなことの方を強く覚えています。
こうした傾向を「ネガティビティ・バイアス」といいます。
脳は悪い情報の方に敏感に反応するように造られています。
この傾向は、意思決定に大きな影響を与えています。
例えば、何かを始めるとき、成功がもたらすメリットより、失敗したときのデメリットの方をまず考えてしまう。
noteに「見た目は大事だよ」という記事を書いていますが、実際、初対面のときの第一印象でネガティブな心証を与えてしまうと、その色眼鏡を取り除くのは、容易ではありません。
人の多くはネガティブな傾向を帯びています。
これはまぎれもない事実です。
しかし、ネガティブは必ずしも悪いことではない。
戦うより逃げる。
このネガティブを選択した方が生存率は高いのです。
男女でいえば、男はアクセル担当、女性はブレーキ担当になります。
「男は度胸、女は愛嬌」という諺は正しいわけです。
不審者が侵入してきたとき、男は、本能的に敵と戦うために焦点を合わせようとします。瞳孔を絞るわけです。一方の女性は瞳孔を開きます。開いて視野を広くする。何のために?逃げ口を探すためですね。
ライオンのオスの仕事は、侵入者と戦うことと繁殖に寄与することだけ。
だから、狩りもしない。
狩りはしないけど、獲物は一番先にありつく。
但し、戦う力や繁殖能力が弱くなると遠慮会釈なく追い出されてしまう。
現在でも、アマゾンなどに住む原始的な部族では、男は働きません。
中東やロシアでも、男は怠け者と相場が決まっています。
生物的には、人類のオスはそういうスタンスで生きてきました。
何を言いたいのかといえば、男はアクセル(ポジティブ・アクティブ)になるのが普通で、女性はネガティブがデフォルトになっているということです。なので、男女比だけでみてもネガキャンタイプは半数。これに星座の内向枠を加えれば、男性の半数弱はネガティブタイプに該当してしまいます。
ざっくり言えば、MAX75%がネガティブタイプなのです。
つまり、ネガティブは多数派になるので、その分、共感同調指数が高くなって、生きやすくなる。
たとえば、「自虐」はウケるでしょう。
これもネガティブ共感系ですね。
正真正銘のポジティバーは、「馬鹿々々しくて自虐などの小技は使いたくないぜ」が本音になります。
「自虐って、何か建設的な話になるのかい?女子供じゃあるまいし」なんてことを思ってしまうから、世の女性から共感が得られない。大衆相手向きじゃない。こういう話になります。
女性が嫌う男性のタイプのひとつに「人を褒めないタイプ」というのがあるけど、これも共感同調の一つです。
世渡り慣れした侍は、むしろ逆に、(こいつは人を褒めすぎる。怪しい奴だ、うさんくさい奴だ、詐欺師かおべっか野郎だな)と警戒するものだけど、共感に感動するネガティバーたちは、逆に安心してしまうんですね。だから、ろくでもない男にダマされちゃったりする。
ここを攻略するテクニックが「ギャップ攻撃」になります。
普段は無口で凛々(りり)しい眼光系やこわもて系なんだけど、笑顔がかわいい、言葉使いが丁寧、とても親切というギャップを持っている男性はモテます。
要は、「強いオスは好き。でも安心させてくれるオスも好き」というネガティバー特有のわがまま、自己都合なのですが、ほぼ本能的な欲求でもあるので、この種のギャップにはなかなか逆らいがたい。
だから、「話が長く細かい」などの語り屋君たちは、(自分の言いたい事ばかりいう鈍感な奴だ)と思われて嫌われがちになりやすい。共感度が高い人種に好かれるには「簡潔明瞭な話」で切り上げるべきなのです。
女性は、「マ?すこ、彼ピッピ、陽キャ、ふぁぼ」とか、話しことばやSNSことばで省略的な用語を多用するでしょう。これはスピード感を好むというより、共感を求める合いの手みたいなものですね。
聞くより話す方が好きなタイプ向けの、「多くを聞かなくて済むテク」みたいなもので、どちらかといえば、インスタのような原始語レベルなのです。
男は敵と戦う(現在では仕事ができて金を稼ぐ)のが担当業務だから、省略語を使っていては話になりません。
だから、話が長くなったり、細かくなったりしがちなんだけど、そこを簡潔明瞭に表現できればね、(キャッ!この人頭いい、キレる)からの~、(仕事できそう。付き合ってめんどうくさくなさそう)となってモテるってわけです。
たとえば、カリスマホストとして名をあげたローランド君もね、ギャップ攻撃の名手としてバズったけど、見た目チャラいおホモ君模様なのに、話す言葉が簡潔明瞭のデキル男語なので、これで強いギャップが生み出され、それがインパクトになったという話です。
遊びの世界で成り立つ軽量ギャップだから、言っていることは全然、たいしたことはありませんね。
例えば「自分の人生は自分が主役」って、当たり前の話ですよね。
既に書いているように、大枠でも同じ系列は20%しかいない。
そこに生まれや育ち、趣味趣向、社会的立場、社会的環境などの多彩な因子をぶちこんでゆけば、その人と全く同じ感性などというのは双子の兄弟以外ではあり得ないという話になります。
「どう思われるかより、どうありたいかが大事。仕事のやり方には三種類あると思っている。正しいやり方、間違ったやり方、そして、俺のやり方」
これらは、全く同じことを、違う言い方で表現しているだけのお遊びの言葉ですね。だから、デキる君との会話にこれを使うと、「ところでさぁ、さっきから同じ内容のことしか言ってねーけど、それじゃ、先に進めないだろー。もっと、建設的なことがいえねーのか」となってしまいます。
しかし、共感で動くネガティバーたちは、そういう野暮なことは言わない。
インスタを見て「おおっ!」とか「すてき!」とかうなり、すこし気の利いたセリフに、「ささるー!」などと叫んでいるネガティバーたちには、この程度の軽いギャップがほんすこ(本当に好き)となる。そういう感性ということなのです。
何といっても、人というのはシンプルな生き物です。
特別優秀な人以外の99%はシンプル・アンド・ノーマルタイプです。
なので、シンプル・アンド・ノーマルの方が生きやすい。
しかし、ネガティブも度がすぎると不安症、心配性、潔癖症、嫌煙厨や自粛厨などの病を患ってしまいます。ここがネガティバーの悩みの種になったりします。
もちろん、こういう症状は太古の時代でも問題になっていたので、これを治す秘術は存在しますよ。書かないけどね。なーんで書かないのか。
これをほぼマスターするためには、プロ的アプローチでも最低3年はかかるからです。アマ的手法で、とりあえず使えるようになるのでさえ、1年はかかる。
初心者が道場に行って、いきなり「奥義を伝授してください」などといえば、「おととい来やがれ」という罵声と共に叩き出されるでしょう。そういう話なのですね。
第2話 正真正銘ネガティバーが成功するための条件
正真正銘のネガティバーには、不安過多などから心身をそこなわせないように、生まれながらにして、幾つかの気質が備えられています。
それが忍耐力と持続力、堅実性と慎重性、保守安定志向、沈着冷静と冷酷無情。これらを活かせれば、ポジティバーよりネガティバーの方が遥かに成功率が高くなります。
但し、ここでも無条件の成功は成り立ちません。
ローマ帝国の創始者であるアウグストゥスと江戸幕府の開祖徳川家康は、双子の兄弟のように似ている、筋金入りのネガティバーだった。
彼らが持ち合わせていた特性は7項目です。
(1)戦いに弱かった。
(2)演技がうまかった。
(3)超慎重な性格もあって、なかなか、正体が見抜かれなかった。
(4)都ローマと都江戸(自分の家)の建設に凄く熱心だった。
(5)国家存続のために、共に、実子を殺害した。
(6)異常なほどの健康オタクだった。
(7)度を超した倹約家だった。
2人に酷似している現代のネガティバーはアマゾン王国の創始者ジェフ・ぺゾス氏です。
(1)アウグストゥスのような女性的な顔立ちです。
(2)8人以上が出席した会議の席では発言できないナイーブなお方。
彼の名言がありますので、ご紹介しておきますね。
(1)変わらない物を軸に長期戦略を立てよ。
(2)顧客に執着せよ、必要なのは謙虚さと共感だ。
(3)花開くまで5~7年かかろうと問題ない。
(4)安く売るためにコストを削減し続けよ。
忍耐力を活かせる長期戦略。
人の噂など関係ない自己価値観埋没性。
節約して備えろ。
正真正銘のネガティバーの特性を活かし続けるべき的な名言がズラリと並んでいますが、最強なのは、「謙虚と共感という仮面」ですね。
そもそも、ネガティバーは自己表現下手で口下手です。
ここが「寡黙でおとなしい」から、「出しゃばらない謙虚さ」を自然と演出できる強みを生むわけで、しかもネガティバーの総本山なので、共感を得るのが大の得意ときています。ネガティバーは、実は、最強なのです。やり方(仮面のつけ方)を知っていればの話ですが・・・。
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