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7巻を待ちわびて…②

恋なんてものは、どだい無自覚に始まる。
この感情は何だ?と、思った時には、たいがい歯止めが効かない欲望が膨れてる。
たとえ自制すべき何らかの理由があって、踏みとどまる努力をしても…抑えれば、別の箇所が膨らむ。
いずれ決壊する。濁流と同じ。
恋は恋だから…。愛とは、違うから…。

愛になると、話は違う。
自分の感情よりも大事にしたいモノが出来る。
欲望とは別の情動が膨らんで自制も効く。
ただ…自制が尊いか?は、別。

己をさらけ出して、欲望を剥き出して、貪りつくような激情は恋にしかない。
愚かで、みっともなくて、とち狂ってて、ネジが数本 飛んでいる。
時にそれは未来のドアをこじ開ける力がある。
こじ開けて初めて見える情景もある。
相手のドアを開けさせ、ちがう景色を見せることもある。

けれど、今は百目鬼は愛の人にならなければならない。
自分は変わらずにここに居ること。
ただ寄り添うことの出来る強さを持つこと。
何もかもを受け入れることが出来る器になること。
寄せる波も、引く波も待てること。

大人同士の恋愛は、難しい。
ひとりの人間が出来上がるには色々な背景をもっている。束の間の勢いだけでどうこう出来るものは少ない。何が必要なのかも、定石はない。
“愛は勝つ“などと、呑気な言葉はファンタジーでしかない。すべてで愛が勝てるなら、すべての人の“虚しさ“は無くなるはずなのに。

ようは矢代が未開の自分を認められるかどうかにかかる。壊れかけた鎧を今は必死でかき集めている状態なのかもしれない。でも、欠片になってしまったものも多いはず。もう、要らないと…捨てれるか?
赤むけのような無防備な自分で立てるか?
そこの覚悟に百目鬼は何かの支えになれるのか?

産まれたての薄い皮膚を傷だらけにして、手を伸ばせ矢代。痛いよね、痛い…でも、越えてほしい。
百目鬼というどデカい毛布が待っているから。
一方通行ではない、互いに向きあう感情の中に生まれる血の通った暖かさが、その痛みを散らしてくれるはずだから。

そう望むのは、他者という読者のエゴだろうか?

矢代はこのまま、そっとして置いて欲しいのだろうか?

《追記》
リバー・フェニックスのサラサラの髪を見ていたら
19の矢代に重なった。
可愛かったろうなぁ…少年矢代♡

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