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夏休みオススメ コミック②

『窮鼠はチーズの夢を見る』水城せとな

夏っぽくはないんだけども、今日のオススメはコレ!
なんと言っても、この9月に実写化映画が公開される
からね!主演は成田 凌くんと関ジャニの大倉くん。
監督は行定さん。
うほっ♡観に行こ!!

そんなわけで、若い年代の子などの目に触れる機会も多くなる事を懸念してか、色々修正 削除された改訂版が売りに出されている。読むなら元版をオススメです。しかし、考えることは皆同じ。改訂前の版が中古市場では信じられないほど高騰してしまっておりますが…

面白いんです。これ!

何がって、まずゲイの後輩 今ケ瀬 渉。
大学時代にノンケの先輩に惚れてしまい、そこから10年思いつづけていた。で、再会。
つのる思いの丈をぶつけてゆくんだけども、そのぶつけ方よ!背後から突いたり、脇から手を差し込んだり、真正面から正攻法で突進したり。
小賢しい事も、誰かを傷付けることもする。
とにかく、なりふり構わない。粘着質。ストーカーぎみ。
まぁ、相手の気質もあって、上手く付け入るんだけども、でも相手はノンケだから……って、常に不安。情緒不安定。“愛される訳はない“と思っているし、 “必ず女に戻ってゆく“とゆう疑いが消せない。
どんなに優しく相手が想いを返しても、信じれない。些細な、綻びにも満たない点に取り乱し、無理矢理ほじくりまくる。自ら幸せな時間を叩き壊す。
で何度も、戻ってくる。壊す。の繰り返し。

この今ケ瀬が、なんとも愛おしい。
めちゃくちゃ加減が、いかにも恋!
好きで好きで、堪らなくて。壊れていく自分を持て余している。もう やめよう。と何度も思い身を引くけれど、終えられない。戻る時には想いは以前より何倍増しにもなってしまう。
しょうもない。みっともない。愚かしい。
そんなどうしょうもない、恋する人間の可愛さ!

また、相手のノンケの先輩が困った男。
いいよる女を断れない。相手の好意に逆らえない。
今ケ瀬には“流され侍“と呼ばれる。
常に受動的に流されてゆくだけで、恋だの愛だのの感情を認識せずに関係を続ける。
妻にオトコが出来て離婚されたのに、その実あまり傷付いた気配も無い。自分を好きじゃないなら、しょうがないって感じ。厄介だ…こんな男。

確かにこんな男に惚れたら、どうしょうもなくなるのも頷ける。てか、そもそも惚れないな!

この大伴 恭一が、また面白くて。オトコの今ケ瀬をも受け入れてしまう訳だけども、ゲイに対して妙な引け目を感じたりする。自分はゲイじゃないから、ゲイの男のように今ケ瀬を満足させてやることは出来ないんじゃないかと…ええ、心をね。??なるほど…??
自分は居心地もいいし、情も湧いちゃったし、気持ちもいいけど、所詮自己満足じゃないのかとか…責任取らなくても良いのかとか…あのね、恋なんて自己満なものだし、まして自己責任です。お互いね。

そんな妙な男と、あんな今ケ瀬ですから、なんとも
七面倒臭い展開を繰り返します。
傷付けて、傷付けられて…突き放しては抱き寄せる…
を繰り返しながら。お互いにのっぴきならない感情まで高まってゆく様に泣かされました。
いやぁ……恋とか愛とか、ホントに大変。凄いエネルギーいるし、鬱陶しい。
こんなにめんどくさいことは、もう出来ない。
正直、羨ましいっす!

なんかね、刺さる言葉が今ケ瀬の口からいっぱい飛び出すのよ!

「見た目が綺麗で、人間が出来てて、自分にいい思いさせてくれるような、そんな完璧な人を皆んな探してるって思ってるんですか?貴方はそういう相手しか好きになれないんですか?」

「貴方もいつか本当の恋をしますよ。他人にじゃなく、自分の内側から溢れてくる感情にどうしょうもなく流される思いをする時がくる」

「欲しくないんですよ!正論なんか!」

「貴方は優柔不断で意気地がなくて…狡くて、けど優しいし……本当は体の奥底に欲望と情熱を隠し持ってる。それがチラチラ透けて見えるたびに俺はどうしょうもなく心を掻きむしられるんです。……それを俺にください!」

ざわざわするよね、胸が。
ざわざわ通り越して痛いよね、なんだかさ。

あぁ、恋とはなんて狂おしい時間だろうか(^^♪

続編の『遡上の鯉は二度跳ねる』については、
また次回。


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