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明日の商人 送料無料を考える

地球温暖化のためにできることエシカル消費について考えてきました。 ここで改めて考えたいことが、通販小売業者の「送料無料」という送料設定のありかたです。 これが、地球環境にも密接に結びついているように思われます。 送料無料が常態化している今日、通販事業者として自戒しつつ、消費者の皆さんと深く考えていきたいです。

確認しておきたいことは、送料無料とは、運送料がかかっていないのではなく、 小売店側のサービスの一環で送料無料にしているだけで、実費はかかっています。 また、燃料や資材の高騰で、運送料や梱包料は軒並み上がっている状況です。 その結果、流通全体から俯瞰すると不健全な状況を生み出しているように感じます。 しかも、地球環境にも負荷を与えてしまっている。

例えば、少し我慢すれば1回でまとめて注文できることを、数回に分けてその都度注文することができます。 結果として、消費者の送料負担はありませんが、より多くの燃料や手間が掛かってしまい、小売店の利益まで薄くなります。 消費者にとっては少しメリットはありますが、無駄な買物をしてしまう傾向は強まります。 流通全体からは、相対的に燃料も手間暇もかかってしまいます。

実は、送料無料が常態化しているネット通販市場は、売上は伸びていても、 利益は薄くなっていて、小売店の体力が落ちてしまっている。 また、小売店間の競争が激しくなり、ポイント還元やクーポン発行などが行われますが、それはますます利益を減らすことに至ります。 長い目でみれば、小売店が立ち行かないことは、消費者のメリットにもなりません。

2019年にヤマト運輸の担当者から頂いた100周年記念誌です。 フライパン倶楽部は、ヤマト運輸とともに歩んで参りました。そんなヤマトさんの汗をお届けの皆さんにも感じてもらいたいです。

ここで、消費者目線でさらに考えてみると、送料無料は、宅配業者の汗にも鈍感になってしまいやすい。 運送のサービスに対して当たり前のように振る舞い感謝に乏しくなってしまいがち。 届いた商品を大切にできるのは、きちんと対価を払ってこそとも言えるでしょう。 ある程度自分で痛みを感じるからこそ、その商品への愛着が芽生えるのかもしれません。

続いて、小売店は、利用回数をあげてもらうことで売上を伸ばすことはできます。 これまでは、大量に作って大量に売る。そんな製造と流通がまかり通ってきました。 この大量製造、大量販売こそは、地球温暖化の原因にもなるものです。 実は、送料無料とは、これに拍車をかける、これを推進する位置づけのもののように思われます。

かたや、今日の限られた資源を見据えれば、無駄なく必要なものを購入して頂くこと。 しかも、それを長く使って頂くことを小売店は消費者とともに考えていくことです。 その商品への愛着を持って頂くことに努める必要があります。 それは、決してこれまでの大量製造、大量販売、および売上至上ではありません。思考と行動を変えていく時です。

消費者には、きちんと送料を負担頂くことが、消費者にとっても小売店を含め流通全体にとっても 健全な方向に向かうと考えます。加えて、地球温暖化にも大きく貢献できる。 その点では、この送料無料の常態化を変えていくためには、業界団体や国にも関与して頂く必要がありそうです。 引き続き、同業者も含めて消費者の皆さんと送料無料を考えて参りたいです。