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お金日記 #1

お金を使う前後のエピソードや気持ち、考えなどを日記として書き残し、自分のお金の使い方や考え方の傾向を客観視する試みです。


缶コーヒー 120円

お弁当持って、水筒持って、職場に向けて家を出る。
駅に着くまでの徒歩10分と少しくらいの間、ふと、ぼくはコーヒーをリクエストしてきた。
それは起きたばかりでボヤけた目を覚ますためのキリリと苦いブラックではない。
クリームと砂糖がたっぷりの、とびきり甘くて優しいカフェオレ。
飲むだけできっと気持ち良くなれる、幸せのカフェオレ。
そんなイメージのコーヒーを、ぼくは求めてきた。

駅に着くまでの間、2人のぼくが言い争った。
コーヒーを買うべきか、買わないべきか。

理性的なぼくはもっともな理屈を並べるが、開始早々、手元の白旗に手をかけていた。まるで初めから結論が決まっていたかのようだ。勝てない戦いに彼は挑んだのだ。そして当然のように負けた。

駅に着いたぼくは、さもそれが当然であるかの如く、一目散に自動販売機へ向かった。
そして、なけなしの小銭を代償に、とびきり甘くて優しそうなカフェオレ、念願のカフェオレを、ついに手に入れた。

開栓、そして一口。
刹那的に心が満たされた。

本当に刹那だった。三口目にはもう飽きていたが、量が少なかったのでちょうど完飲できた。

悪くはなかったけど、そんなに良くもなかったなと思いながら、ぼくは電車に揺られていた。


シュークリーム 130円、チョコモナカジャンボ 170円、二郎系ラーメン 950円

実は今日は6連勤中の最終日なのだ。明日は遂に自由な日だ。人に会わなくてもいい日だ。

仕事中にふと、ぼくはラーメンをリクエストしてきた。

ラーメンが食べたい。
ヤサイマシマシ、ニンニクがモリモリ、脂がふよふよ浮いている味が濃い化学調味料まみれのスープに小麦の塊がぶち込まれたアレ。たべたい。どうしても。接客業がニンニクを食べられる日は限られているんだ。ここのところずっと我慢していたじゃないか。

朝とは打って変わって、自分の中の言い争いは発生しなかった。理性は朝の負けの影響か、もう1人の方に寝返っていた。

こうしてぼく同士の円満な合意のもと、ぼくの湧き上がる欲求は予定となった。

仕事が終わると、一目散にコンビニへ向かった。
ATMでお金を下ろすためだ。
ぼくは何の躊躇もなく現金を引き出し、預金残高のなけなし具合を向上させた。
もちろん手数料を取られたが、そんなことはラーメンの前では全く関係のないことだと思った。

そしてコンビニを出たぼくの手には、さっきおろした1000円と、なぜかシュークリームがあった。

もはや理性は何の仕事もせず、コンビニに入った瞬間に発生した甘いものが食べたいという欲求に素直に従ったようだった。これからラーメンを楽しむというのに。そのためにわざわざお金を下ろしたというのに。いや、そんなことはシュークリームの前では全く関係のないことだと思ったのだろう。

もちろんこんなお粗末な脳みそでも、流石に万引きはしない。ラーメンを食べる分しか現金を持っていなかったが、来月のぼくからお金をぶんどることにして、ちゃんとレジを通した。

ラーメン屋さんに着くと、そこそこの人数が並んでいた。だから躊躇した。並ぶのめんどくさ。
そこでぼくは、なぜか近くのコンビニに入った。なぜかコンビニに入って、なぜかアイスを手に取って、コンビニを出た。

もちろん、来月のぼくからお金をぶんどって、ちゃんとレジを通した。

購入する前になんで今後のこと(それもほんの数分後のこと)も考えずにレジへ向かってしまうのだろうか。と本気で悩みながら、ぼくはチョコモナカジャンボを平らげた。

そこで自分に呆れて帰ってしまえばよかったのだが、ラーメンを食べることは予定になっていた。だからぼくは改めてラーメン屋に向かい、列の最後尾に並んだ。
数十分後、ぼくはついに念願の二郎系ラーメンにありつけた。

三口で飽きた。

朝のコーヒーの思い出がフラッシュバックしてきた。
今日はそういう日か。と、変に納得した。
ぼくは朝のコーヒーを教訓にするべきだったのかもしれない。そんなこと今のいままで忘れていたわけだが。

結局すぐに味に飽きはしたものの、目の前の食べ物を綺麗に平らげるという幸福を知っているぼくはとにかく箸を止めなかった。

食べ過ぎて気持ち悪くなった。
シュークリームとチョコモナカジャンボが無くても、多分おんなじだったと思う。
完食できた達成感がなければ、本当にただ気持ち悪くなっただけだった。だから最悪ではない。
でも、良いか悪いかで言ったら、まあ悪い感じだなとぼくは思った。

お金で買える幸福は刹那的なんだなあって思った。

書いていて悲しくなった。こんなんじゃ貯まるお金も貯まらない。

でもこれは毎日のことではないんだ。昔は毎日のようにこうやって消費を重ねていたけど、今は月に数回あるかないかだ。成長はしてる。多少は。

もう少し、ぶり返しがなくなるまで、根気強く付き合っていこう。

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