見出し画像

HOW TO:ダブルの裾直しを採寸する

販売員のみなさん

お疲れ様です!

さっそくですが、こちらの画像のように裾にデザインのあるパンツを丈詰めする際の測り方、自信ありますか?

実は、15年くらい前からクロップドパンツがマスに流行ったり、ロールアップしちゃう着こなしが流行ったりして、当時は急に丈詰めが減ったなぁと、お直し屋さんに申し訳なく感じるほどでした。

あとウエストがゴム(全部または一部)仕様のキレイめパンツも非常に増えて、ウエストからヒップにかけての詰めなど、購入時にする方がだいぶ減りました。なんとなくごまかせちゃうように作って、ずいぶん「ラクに」したものだなぁと思う反面、フィッティングのリテラシーがお客様・販売員ともに低下したと感じます。

ウエストはさておき、とりあえず今日はダブルの裾直しの採寸方法を確認していきましょう。
(ちなみに私、15年以上店頭で洋服に携わっていてお直しクレームはゼロです!)

自然な状態で穿いていただく

これはお直しに関わる全てに共通して言えることですが、パンツの腰の位置など自然な状態で穿けているかお客様と相互で確認してください。

お客様の中には「詰める寸法があまり多いと脚が短いみたいで恥ずかしいな」という気持ちから、少しウエストを持ち上げ気味に穿いてしまう方や、腰の位置が分からず穿いてしまう方がけっこういらっしゃいます。

ヒップにこういうふくらみが出ていたら、「失礼します」と言ってから裾を軽く引っ張って、直して差し上げてください。

改善されました。

こういう“浮き”すら無くしていけたらめちゃくちゃいいフィッティングになりますが、ここでは既製服の丈詰めにフォーカスします。

まず腰の位置を合わせるのは、丈の仕上がりにダイレクトに影響しますので重要なプロセスです。

不自然に持ち上がっていると実際の着用では下に落ちるので、ズルッと長くなってしまいます。逆に、スラックスの腰回りが緩くて腰パン気味になっている方には、ベルトをつけていただくなどしてて季節な位置に持ち上げてください。腰パンで穿きたいなら別ですが、そうでないなら、腰パン状態で採寸するとウエストジャストで穿いたときに短くなってしまいます。

この他、左右で穿き方がズレていないかなど、立ち姿勢や身体の癖も踏まえながら、実際着たときの状態で採寸を始めるようにしましょう。

そのパンツを穿くときに一番合わせたい靴を履いた状態で採寸する

「合わせるならどのくらいのヒールですか?」とお尋ねすると「ヒールの高さは色々あります」とお答えになる女性はとっても多いです。

『何足持ってるか聞いてるわけじゃないですぅ〜!』と心の中で叫びながらでもいいので、「このパンツに合わせて履かれたい靴はどんなタイプですか?」「その中で、一番低いヒールはどれくらいですか?」と掘り下げましょう。

裾がダブルのパンツは特に、履く靴でベストな丈が左右されます。三つ折りステッチ(タタキ)のパンツのように「ちょっと長かったらロールアップしちゃえ」とはいきませんので、引き摺らないことを優先的に考えて提案してください。

繰り返しますが、聞き出すのは、お手持ちの靴のうち一番低いヒールのものではなく、合わせて履かれたい靴のそれです。

前置きが長くなりました。
いよいよピンを打っていきます。

仕上がりイメージが湧くようにピン打ちする

このパンツ、お客様が試着で穿いている状態として見てください。少し丈詰めが必要なとき、どうしますか?

もし、
こうして

これでやってる人がいたら、惜しいです。裾のダブルの部分の幅が変わってしまって、仕上がったときになんか違う?となりかねません。ダブルをさらに折り留めているため、裾の落ち方も変わります。また、折って「わ」になっているフチの部分がふんわりしてしまい、実際の寸法より短く見えています。これでは仕上がりにご満足いただけない可能性が高いです。

正解は

こうです。脚の途中で生地をつまんでピンを打ち、丈を合わせます。お客様には裾のほうだけ見ていただいてください。

こんな感じで、ピンを打っていきます。最初に打つ位置で大体長さを決めたら、仮で測っちゃうのがおすすめです。そうすれば、この寸法でぐるり一周水平にラインをとってピンを留めていけば各地点相違なくいけます。(この場合、1.5cm×2で3cm詰めのイメージ)

(片手でスマホ持ちながら撮ったのでメジャーがピンと張ってなくてごめんなさい)
ピンの使用が禁止のブランドもあると思いますが、クリップでもやることは同じです。

こんな感じで、お客様には裾のデザインをそのままに、パンツの丈を詰めた様子をご確認いただきます。

OKだったら、ピンはそのままにして気をつけてお着替えいただきます。「ピンが刺さっていますので(クリップが留まっていますので)そのままお気をつけてお着替えください」と一言添えましょう。

脱いでいただいたら、ピン打ちした各ポイントで詰める長さを採寸します。生地をつまんだ山からピンまでの片側の長さ×2です。

この先は、それぞれのお修理伝票の書き方があると思いますので、そちらに従ってください。

以上です!
ご質問あればどうぞ!

読んでくださりありがとうございます。いただいたサポートは、個人ブログの運営費に使います。