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【進捗報告】「目」には「眼」を

右初校、左再校。

11/13現在、再校の著者校が大詰めに来ているのですが、直近の四方山話として、「『目』と『眼』の使い分けで1日悩む件」など。


『ブラックロッド』は中二感のある作品なので、いわゆる「目」については、多くの場合「眼」と表記しています。カッコいいからな!(この時点ですでにそこそこ頭が悪い)
基本ルールとしては「物理的な眼球を意味する時には〝眼〟、視線や動作を表わす時や慣用句的表現の場合は〝目〟」という基準です。

具体的には、
魔物とかサイボーグが【め】を光らせる時は、眼球(光彩)が物理的に光るので「眼」だよなーと思い、
他方、「【め】を閉じる」や「【め】を細める」は、まぶたや目元全体を含む「目」のほうだと思うのですが、
じゃあ「光る【め】を細める」時はどうなんだ……!? とか、

あるいはまた、ゴア描写で「眼球を抉り出される」時などは、「左眼(眼球)が抉られて地面に落ち、左目(眼窩)から血が噴き出した」みたいに直近の文の中でゴチャついたりして、どうにも悩ましく……。


で、原稿を検索して「目」と「眼」の使用状況を確認したりしつつ1日悩み、最終的に、
「あーもう、『眼』で行けそうなところは『眼』で行く! 眼輪筋も『眼』に含める! 眼球が潰れていても『眼』だ!」
「でもまあ、眼球を完全に失ったことが強調される時は『眼窩』と書こうかナ……(少し日和る)」
ということに。

「【め】を細める」を「眼を細める」と表記するのは日本語としてちょっと微妙なんだけど、ブラックロッドの劇中で「【め】を細める」時はだいたい、目元にカメラが寄って瞳がクローズアップされているイメージ(脳内ヴィジョン)なので、フルハシ的には「眼」なんだよなァ~。

他方、「【め】を閉じる」はだいたい一般動作として「目を閉じる」と書いていて、「眼を閉じる」は自分でもちょっと違和感がある。
なんというか、こっちはそこまで「カメラが寄らない」。
ただ、1ヵ所だけ「紅い眼を閉じる」という描写があって、
「目が赤いとか青いとか言ってる時は、カメラが寄ってるから『眼』でいいんだよな~」と思ったり。

つまり、フルハシ的には「カメラが寄る、寄らない」が「眼」と「目」の差であるらしい。
細めたり閉じたり伏せたりするのは、基本的に「目」なんだけど、瞳の色などの物理的な様相を意識するくらいカメラが寄っていれば「眼」と書いてよい、みたいな……。

……えーと、当初この記事は、
「単語とか言い回しには、いわゆる同義語であってもそれぞれ微妙に異なるニュアンスが存在し、完全に書き分けたり代替したりすることはできない。都度都度、便宜上のラインを引いていくしかないのだ」
みたいな結論になるかなあと思ってたのだけど、考えてるうちに、意外と即物的な結論が出ました(-_-;)。


……というようなことを書いていると、
「すごい! 作家さんてそこまで考えてるんですね!」と思われるかもしれませんが(いや、そういう人もいるんでしょうけど、私の場合は)、普段は別にここまでこだわってはいません。

自分でも、
「『目』と『眼』が流れでブレるくらいええやろ。いや、むしろ流れでブレないほうがヘンなのでは……」とか、
「そもそも、ほかにもっとチェックすべきところがあるだろう……いろいろ下手なところとか……」
などと思うのですが、今回は「デビュー作の記念復刊」みたいなものなので、下手は下手なりに、できるだけ手を掛けておきたいという気持ちがあるのです。


ともあれ、これにてチェックは一応終わり。
最後に通読して再校を手放したいと思いますが、またなにかポロッと出てきそうな気はする……(-_-;)。


(2022/11/13)


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■ 『ブラックロッド』2023年復刊 ■
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