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待つということ(前篇)ーーーインコとの生活あれこれ その10

話が、ちょっと当初の予定と変わって、少し今の話になります。

先日、ちょっと、待ってみない? なぁんていう趣旨の記事を書いた関係で、今、私が”待っている”インコとの生活の話をしようと思うのです。

我が家のインコが34羽になった翌日、私は、都内にある、あるインコ専門ショップに行きました。

相方は、ネットでのウインドウショッピングが、趣味というか日課になっています。いささかネット依存症の傾向もあるのですけれどね。

その彼女が、ゴールデンウイークの直前に、言いました。

「ねぇ。あのお店で、ズアカハネナガインコが、セールになってるみたい。見に行く?」

セールの期間を聴くと、4月の29日から、5月の9日までだという。けれど、その期間では、私は動けません。彼女の勤務の予定もあるし、私のポスティングの仕事もありますから、時間が作れそうになかったのです。そういうと、彼女は、こともなげに言いました。

「いいよ。5日に、行ってきなよ。私が、鳥の世話するから」

私自身は、彼女がお店に行くのが良いように思ったのですが、彼女は、何故か私に行かせたかったようです。しかも不思議なのは、彼女は、話題になっているインコには、ずっとどうも迎えることに否定的だったのに、何故か、今回は乗り気だということ。迎えた後で、飼い主に嫌われるくらい、鳥さんにとって不幸なことはありません(鳥さんのみならず、どういう命であっても、迎えられた家で、歓迎されないのは、悲劇以外の何者でもありません)。それで、私は、尋ねたのです。

「あんた、ズアカハネナガインコ、大人になった後の顔が嫌だって、言ってたじゃん? どうしたんよ、急に?」

「う~ん、まぁ、うちの子になっちゃえば、毎日観てて、慣れるだろうしねぇ。いやまぁ、この(ネットでのお店の)広告の写真観てさ、”あ、この子は、うちに迎えてあげたほうがいい子だな”って思ったのよ」

私自身は、何度かお店でその子を観ています。それで、その子が性格もいい子だとわかっていました。それに、お店での生活が嫌で、何処かのおうちに行きたそうな雰囲気も知っていました(そのお店で、うちの子たちに使うご飯の一部を買っていたのですね)。

けれど、相方がこの種族を嫌がっていることも知っていたので、早く、良いおうちに行けるといいなと願っていました。それくらいしか、私にできることはないと思っていましたしね。

いくらかの確認ののち、私が都内のそのお店に行くことになりました。つまり、我が家のインコが34羽になることが決まる前から、私がお店に行くことは予定として決まっていたわけです。

5日は水曜日。ポスティングの仕事の準備をして、午後出かけました(お店の開店時間が、午後からだったのですね)。

ズアカハネナガインコというのは、ヨウムというとても頭が良いことで有名なインコの仲間だそうです。お店では、彼らをひっくるめて”アフリカン”と呼んでいるようです(出身がアフリカ方面の子たちが多いからだそうです)。全身が、深い緑の羽に覆われて、なかなか落ち着いた感じのインコさんです。眼が大きく、なかなか愛らしい顔立ちをしています。尻尾が短いので、全体が小さく観えるのですが、どうしてどうして、200グラム前後の体重を持つ中型のインコさんです。

さて。お店に着くと、このご時世ですが、大入り満員。セールもあり、連休でもある方たちが、このチャンスに! と、自分の愛鳥を探しに来てらっしゃいました。

今は、シロハラインコという中型のインコさんが、ちょっとした人気で、お店にも30羽という数の鳥さんがいました。その子たちは、次々とおうちが決まっていまして、私は眼を丸くしていたものです。

人が多くて、大汗すらかきながら、私は自分の目的を果たすべく、手の空いた店員さんを捕まえて、お目当てのズアカハネナガインコとの相性を観たい旨、伝えました。

それまでにお店で会って、彼女(お目当てのインコさんは女の子だとわかっていました)が、少なからず神経質な子らしいという見当はついていました。物おじしない子というのは、人がそばに来れば、ポンとすり寄ってきて甘えてくるものです。けれど彼女は、そばには来るものの、手を怖がる素振りがありました。甘えたいけれど、怖い。どういう事情があったのかまでは、私にはわかりません。ただ、その時は迎えられる予定はなかったので、「早く、良いおうちが決まるといいね」と声をかけて、別れてきたのです。

さて。店員さんが、その彼女をかごから出そうとする際、大騒ぎです。外に出て遊べるというのに、彼女は、抵抗して、暴れています。その様子を観て、正直私は顔色を変えました。

「これは、ダメかも・・・・・」

こんなに人を怖がって嫌がっている子が、我が家で、楽しく暮らせるのか? 仮に一生かごの鳥さんだったとして、私たちは良くても、彼女にとっては地獄だろう。ほかの手乗り鳥の先輩たちは、それなりに外に出て自由に遊べるのに、彼女はずっとおうちにいることになる。その状況に彼女は、かごの中で耐えられるのか?

店員さんが何とか彼女をかごから出してきました。求める人と鳥さんがお見合いできるよう、そのお店では止まり木が用意されています。ステンレスの長い棒に止まらされた彼女は、少し肩で息をしていました。 

「やぁ!」と声をかけて、手を差し出しましたが、彼女は、私の手を嫌がって反対側に行きます。手を嫌うことはわかっていました。ただ、私が希望があるように見えたのは、彼女が私から眼を離さないことでした。私の様子を伺い、値踏みしているかのようです。つまりこれは、私に関心がないわけでない、ということ。いろんな出会いを経験している私は、少し時間をかけて、相性を見せてもらうことにしました。


ちょっと長くなりそうなので、今夜はここまでにしようと思います。

週末はお天気よいとやら。少しは、お日様も観たいなぁ、と、願う夜です。

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