小銭

詩の勉強。四行詩がおおめ。

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最近の記事

日記「こびりつくひび/すごいスリットの女性」

どうやって言葉を書いていたかなと、不思議に思います。少しまでは書きたいものが山のようにあったし、拙いながらも書けてはいたのに。 私の中に入ってくるモノは沢山あるのだけど蓄積していくばかりで出力されていかない。色彩を帯びた言葉、イメージを快く私が迎えることが出来ても、それらは出口を見つけることが出来ないまま、あっというまに消費期限を過ぎてしまって黒くくすんで糸を引いて、私の身体の底にべっとりとこびり付いてしまうんです。かつては美しかった、今となっては汚泥と見分けがつかないそれを

    • 日記「東京は今日も雨ですね」

      何でもかんでも悲哀に結びつけて弱りきった自分に陶酔するのはやめましょうという話で、なんべんもしてる話なんですけどね。 弱い自分って居心地がいいんですよね。 ずぶ濡れの弱い自分に傘をさしてやるもう一人の自己俯瞰した自分がいるから、それが心地いいんですよ。自分に泣きついて自分に甘える訳です。それは自立なんて言葉には程遠い行為で、二人の自分はそれぞれを傘で庇い身体を半分濡らしながら地面に座り込んでいるだけで、待つことしか出来ない。特定の出来事や人物、明瞭なビジョンがある訳でないぼん

      • 詩4 希望峰

        ロングスカート ひみつの影は えいえんよりも 少し先 家路がどこにも ないのなら 私のうなじを 辿っていって

        • 詩3 盛夏の魔女

          銀の窓辺に つまさきのせて ためいきつけば やどかりの夢 溶けきらない夏 カップの底で あの子の肌を じりじりと焼く

        日記「こびりつくひび/すごいスリットの女性」

          詩2 泥濘説法

          初めての色 骨の庭 睫毛が空に 月 刺さり 翼はそこに 置いてゆけ 風はお前を 愛していない

          詩2 泥濘説法

          詩1 タリスマン

          熱風 こころの 色 さらい 車輪は まだまだ 上の空 吐息で結んだ 靴紐は 天使の指では ほどけない

          詩1 タリスマン

          日記7/26「全て/一部」

          私の頭は結局のところ、おかしくなかった。リストカットをしたことでそれが証明されてしまいました。型にハマりきった感傷とその慰め方、いくら遠回りしても迷った振りをしても、「出口はこちら」の立て看板に従うとそこにはうずくまった私がいて、背中をさすってくれと言ってきます。そんな振る舞いをしていい歳じゃないんです。ぜったい。 色んなことが重なって、目に映るものが現象と名前だけになって、意味が見当たらなくなってしまいました。単に全てが全てで、意味という質量を失ったそれは吹けば飛んでいく

          日記7/26「全て/一部」

          散文集1「透明学級-絹子-」

          「絹子です。絹ごし豆腐の絹に、子どもの子」 彼女が名乗った時、そうに違いないと思った。それ以外有り得なかった。絹子、きぬこ。きぬの子。右奥歯の辺りで何回も転がしてみる。その度に絹子は美しく見えて、儚くなっていく。彼女について何でも知っているような気がしてくるし、何もかも秘密の園の内側にある気もする。 苗字は忘れてしまった。そもそも無いのかも。絹子、それは名前ではなく現象に近かった。 彼女が、私たちと同じこの世界に居るには、この、世界。つまり2年C組の教室。誰かが勝手に飼い始め

          散文集1「透明学級-絹子-」

          日記『夢/身体を売ること/恋人/むかしギリシャのイカロスは』

          最近いろんなことがあったので整理しとこう。今までの私にとっての整理という言葉の意味は過去をちぎって分別して、半透明のゴミ袋に入れて放り投げてしまう事だったけど、今回はそうじゃなくてちゃんと引き出しに綺麗に並べてしまいたい。そういうこと。 ◆ 失踪したのが多分だけど4〜5年前の冬。正確な日時が思い出せなくなってきちゃった。あの期間も今みたいに寝ると家族の夢ばっかり見てた。夢の内容がどういう理屈で選出されるのか、難しい脳みそのメカニズムは知らないけど嫌でしょうがなかった。悲し

          日記『夢/身体を売ること/恋人/むかしギリシャのイカロスは』