「彼氏いないの?」が失礼な理由をAロマが細分化してみた
その1:恋愛は誰でもするものだ、という思い込み ≒ Aロマの存在の排除or無知
ここでいう「恋愛」は、「彼氏」や「彼女」といった特別な存在であることを示す言葉にとらわれた双方向の関係性を指す。
もしこのような思い込みが無い、もしくはAロマの存在を把握しているのであれば、そもそもタイトルのような質問はしてこないはず。
視野の狭さが表れている。
その2:対象の性別の断定・限定
仮に質問する相手がAロマではないとしよう。
だとしても、その人の恋愛的指向を質問者が勝手に決めつけていることになる。
でなければ、「彼氏(≒男性)」という言葉は使わないはず。
そもそも質問相手が、好きになる相手の性別を重視するタイプなのかそうじゃないのかも分からない。
その3:質問相手の性別の断定・限定
恋愛対象の性別を限定しがちなのは、「異性のことを好きになるものだ」という思い込みを持っている人。(と、私は思っている)
そしてそういう人は大体、この世の性別を「男」か「女」だけだと信じている。(と、私は思っている)
※これらは私の経験と観察を基にした推察なので、断言は避けている
質問相手の恋愛対象を「彼氏(≒男性)」と限定し、かつ上記のような思い込みを持っているとしたら、質問者は質問相手のことを女性であると決めつけていることになる。
見た目や戸籍・履歴書に男女どちらかの性別が書いてあったとしても、本人に”ちゃんと”聞かない限り、身体的な性別も心理的な性別も分かりっこない。
つまり
「彼氏(or 彼女)いないの?」と聞いてくる人間は
・「誰でも、恋愛する or したいと思う であろう」という思い込みを持ち、
・あなたの性別を勝手に判断し、
・あなたとは逆 (逆とは?笑) の性別を、あなたの恋愛対象であると決めつけている、
【スーパー勘違い失礼おにんげん】というわけですね
私の経験:先輩からの、唖然とする質問たち
社会人になって間もないころ、同部署の先輩数人とごはんに行ったことがある。
仕事以外に特に共通の話題が無いからか、ひとりの先輩が恋バナを始めた。
ニューカマーである私に当然注目が集まり、その先輩は「彼氏いないの?」と私に聞いてきた。
あー、ここからめんどくさい質問攻めが始まるやつね、と心の中でため息をついて「いないですよー」と答えた。
そこから先は、よくあるやり取り。
「いつからいないの?」
「いたことないです」
「え?!なんで?!」
「興味ないので。。。」
「もったいない!紹介してあげようか?」
「いや、いいです笑」
自分がAロマであることはだいぶ前から自覚していたものの、
今ですらまだまだAロマという存在が知られていない日本において、その当時はさらに世間に理解されがたい存在だったので(大学時代にとことん痛感していた)
「アロマンティックというのがありまして・・・」と先輩方に説くエネルギーは新卒の私にはなかった。
だから「興味ないです」「いいです」「大丈夫です」を繰り返していたのだが、そのあと、びっくりするような質問が飛んできた。
「あ、じゃあ女の子が好きなの?」
は??????
きっと先輩には「恋愛をする人もいればしない人もいる」という考えはなくて、「人はみな恋愛をするものであって、男性を好きになる人もいれば女性を好きになる人もいる(またはどちらも)」としか考えられてなかったんだろう。
ちなみに、「女の子が好きなの?」の後に「私、偏見ないよ」的なことをドヤ顔で言ってきて、さらに不愉快であり滑稽でもあった。
この話題とは関係ないが、のちにその先輩は「咀嚼」という言葉の意味すら知らず「そんな難しい言葉言われてもわからない」とか言っちゃう人だということが判明し、他にもこまごました出来事が重なり、色々ひっくるめてその人は尊敬枠から外させてもらった。
ドラマや映画にも、いた・・・笑
「恋愛には興味ない」発言に対して「同性愛者なのか?」と聞いてくる失礼な人はそうそういないだろう、あんなこと言われたのは私くらいだろう、と思っていたが虚構の世界でもちゃっかり存在していた。
まず一つ目が、NHKの「恋せぬふたり」。
二つ目が、映画「そばかす」。
どちらもAロマの女性が主人公なのだが、2人ともに妹がいて2人とも妹に「お姉ちゃんレズなの?」的なことを言われている。
異性と恋愛関係にならないというだけで、「同性愛者なのかも」という考えに走ってしまう無知さと安直さは非常に滑稽でありつつ迷惑であり失礼。
「この人はただ恋愛に興味がないだけなんだ」と、相手を丸ごと素直に受け入れようとしない・受け入れる器を持ち合わせていない人々によって、Aロマは苦笑でしのがねばならない状況に立たされる。
番外編
先述の先輩は非常に不愉快な人であったが、同期の反応は全く違った。
私の「興味ないんだよね」という発言に対して「まあひとぞれぞれだもんね」とあっさりした回答が返ってきて、なんだかホッとした思い出がある。
それきり、同期は私に恋バナを振ってくることもない。
転職して数年経つ今でも、その同期とは仲良くさせてもらっている。
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