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闇堕ちへの誘い(いざない)④

その後の話。

数日経って、自宅で友人にこの謎のキャッチに二度も遭遇した話をしていたとき、ノリで名刺の電話番号に実際電話してみようかと言う話になった。

もちろん応募するなどと言う気はサラサラなく、どんな仕事内容のキャッチだったのかを知りたいと言う欲求を満たすためだった。

早い話がただの好奇心である。

一人ではできないことも、二人なら勇気凛々だ。

アンパンマンのテーマソングよろしく勇気りんりん、気が大きくなったわたしは友人の横で名刺の電話番号に電話をかけてみた。


プルル…

ガチャッ

「〇〇プロダクションです」



いざ通話となると心臓かバクバクして目の前が小刻みに揺れた気がした。

電話の相手は優しそうな中年男性の声だった。

「こんにちは。少し前に貴社のお名刺をいただきまして、どんなお仕事なのか少し伺いたかったのですが。」

「お問合せ、ありがとうございます。お持ちの名刺の名前はなんと記載されておりますか」

「S山さんと書かれています。」

「S山はただいま女性の面接中でして、折り返しお電話差し上げてもよろしいですか?」


いや、そこまでは…!!


わたしは少し慌てた。

「S山さんがお忙しいようでしたら、また改めさせていただきます。失礼します。」


…ピッ!!

えー。なんの仕事かよくわからないじゃないか。 

「電話、なんだって?」

友人も、好奇心から興味津々だ。

「それがよくわからなかったー。名刺くれた人、女の子の面接中だって。」

「女の子を面接するってなんか怪しくない?グラビアとかちょっとえっち系な仕事だったかもね。」

クッションをポンポンと軽く叩きながら、友人が言った。

うん、そんな気がするね。あ、URL。ホムペをみるか??


名刺に記載されていたURLをパソコンに入力してクリックしてみた。

ちゃんとホームページが表示された。が。

ホッとしたのもつかの間……。


画面の端に

「アダルトな内容を含むコンテンツがあります」

の、表示。


友人と顔を見合わせて吹き出してしまった。

「アダルトな内容……笑笑」

「琥珀さぁ〜ん、あなたやるわね!!」


仕事内容は今ひとつ分からなかったが、兎にも角にも"アダルト"なお仕事のキャッチだったらしい。

ただ田舎に住んでいるだけなのに、"アダルト"なお仕事に誘われるって面白すぎやしないか。


このあとこの会社に電話してみる機会は二度となかった。

よって、結果、ただ田舎に住みながらいかがわしい仕事のキャッチに会い名刺をもらった、それだけなのだが。

このあとオチがつくこととなるのである。


つづく。

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