見出し画像

パーティー考

 「ママもうすぐ誕生日だね、誕生日プレゼントは何がほしい?な〜んでもいいよ!コアラのバッチ?ナマケモノのスカートがほしい?なんでも作ってあげる。何が食べたい?」等と、チビコが3ヶ月位毎日毎日聞いてくれた今年。

ここまでのすごい熱意で私の誕生日を祝おうとしてくれた人は始めてだなあ。「じゃあチビちゃん手作りビーズのネックレスがいいなー」と、千本ノックのようにお返事を考えるのも日課。
「ママちゃん、ネックレスだけじゃなくていいんだよ。スカートだって作ってあげるし、バックだって、チビちゃんはTシャツだって本だって作ってあげるんですよ」と胸を張るチビコ。意気込みはほんとに凄く嬉しいんだけど、何にせよ作り出さないと出てこないぜ〜。

この会話でチビコは答えを知りたい訳じゃないから、毎度おなじみの寸劇をやってるような感じ。だけど「お誕生日なにが欲しい?どうしたい?!」と聞かれすぎて、いつしか本当の答えを考えることになった。



 私は…ローストビーフと白いごはんと米粉のシフォンケーキと手作りポテトチップスを食べたい〜。…でもコンビニお菓子とカップラーメンでもいい。「そんなことより、とにかくなにも文句を言われないで食べて寝たいよ!」
わたしの心は困ったことにそうシャウトしていた。別に、いつも夫くんに文句言われてるわけじゃないのだが(全然言われてない!笑)

ごちそうやきれいな食器や夢のようなおしゃれが大好きだ。でもパーティは個々の愛と平和が一番大事だ。自分なりに、もてなしたい人のことを考えて、その人の素晴らしさにインスピレーションをもらって、食事やプレゼントや自分の格好などで、もてなしたい人のステキサを表現しようとする遊び。形に囚われてるとピリピリして心の平和が崩れる。完璧じゃないところこそ家族愛や友情愛で贔屓して笑い飛ばす。自分の作ったそのインスピレーション空間にその人がいてくれる事は夢みたい。


欲しがったり焦ったりすると愛がハリボテになって憎しみが猛威を奮っちゃったりしてしまう。地獄の本末転倒だ!!私はガキンチョ時代にその地獄でだいぶ泥水を飲んだけど、おかげで色んな素晴らしいものの、本当の意味も言葉じゃなくインストールしてもらえた。華美なものは自慢じゃなくて、愛と平和とこの世の出会いをたたえてるんだっていうようなことだ。怒った誰かにいまにも壊されそうな美しい食器達や花が教えてくれた。


とかいいつつ、やっぱきつい目に繰り返しあったガキンチョの反逆!いまだに祝い事にはどこかしら極端に振る舞ってしまう(笑)

 誕生日当日。去年同様に、夫君はローストビーフを焼いてそれを乗せたローストビーフ寿司を作ってる。私は早風呂して必要以上に伸び切ったビヨビヨの部屋着姿で、キッチンに匂いにつられて行く。ローストビーフつまみ食いして、一枚2枚、3枚。。。白米に塩をかけてもりもりパクパク。ローストビーフ6枚、、そんな私を見て「美味しい?ビールもあるよ、飲んだら?」と言ってくれる。「全部食べていいよ。僕とチビコの分は他のがあるから、ローストビーフは全部食べていいよ。」←世界一うれしいと思うのは、ニコニコと、こんなこといってもらう誕生日だ。あとは今日一番好きなグラスでなにかちょっと乾杯して寝ちゃうのがいい。嫌なことなんか1個もなく。それはもう何年も実現している!


チビコは、謎のタイミングで厨房で食べてるママのために、定期的におめでとーーう!ってクラッカーを鳴らしていた。ウクレレもかき鳴らしてた。揚げたてのポテチ皿を中心に自然に場ができる。明らかに準備不足の絵柄のナマケモノの絵本をいただく。部屋は汚くもないけど全然キマってない、デコレーションもなく単にすっきり掃除してあって、たまにお誕生日おめでとう!って大切な友達がメッセージをくれる。


ピンポンがなって、夫くんが戸を開けると大好きなじいじたちが大きなピンクのユリの花束を持って輝く笑顔で立っていた。必要以上にピヨピヨな部屋着(タオル地のヘアバンド付き!)で駆け下りて、玄関先で大喜びで受け取りおやすみなさいって別れる。チビコはゲラゲラ私の頭によじ登り手を振って叫ぶ。お花ありがとう〜!また明日ね〜!じいじ〜じいじはお誕生日なにが欲しい〜?

翌朝、チビコちゃんがエプロンしてシフォンケーキを作ってくれた。トッピン用カラーチョコレートのことをチビちゃんは「スプリンクル」って呼ぶ。スプリンクルは、世界一のトッピングだよ!!と言い合う私とチビコの会話に、アラザン派の彼は賛同しかねる、という渋い顔をしていた。