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China SXT Pharmaceuticals,Inc.(SXTC)

Fun.Do.Mental分析とは「応援者として楽しみつつ、投資活動を継続していくための、精神的安定をもたらす企業」分析という定義である。その内容は高校の教科書やSDGsなど独自の観点も含めた定性分析から始まり、独自の9マスの企業分析マトリクスによる定量分析を行う。この2つの観点から企業を分析し、企業の成長をより安心を持って楽しみながらリターンを獲得できる投資を目指す。

2019年1月上場の銘柄一覧と現在の状況まとめ

2019年1月上場した企業たち

これらの企業のうち、2023年4月27日時点で上場し続けているのは、SXTC、MTC、MDJH、NFE。今回はそのうちChina SXT Pharmaceuticals,Inc.を取り上げる。
⭐︎は筆者の見解である。

定性分析

会社の概要

伝統的な中国医学薬剤(「TCMP」)の研究、開発、製造、マーケティング、販売に焦点を当てており、同社の製品には直接経口薬、お湯に浸して内服するもの、煎じ薬などがあり、販売業者、製薬会社、薬局、病院などに提供される。また、高級薬材も取り扱う。

280年近くの歴史を持つ「Su Xuangtang(SXT)」は、中国東部の有名なTCMブランド。ブランド認知により、SXTは江蘇省泰州有名製品賞や泰州市政府から授与された有名ブランド商標など、地方自治体から多くの賞を受賞している。一部の人にとって、SXTは単なるTCMブランドではなく、中国の顧客が深く大切にしている伝統と文化の象徴。ヴァージン諸島籍の医薬品メーカー。本社所在地は中国・泰州市。

⭐︎古来から続く東洋医学・薬学を活用した製品の研究から販売まで行っている会社。

どんな商品・サービスで、どんな課題を解決している?

伝統的な中国の東洋医学・薬学を現代の技術によって発展させ、広大な農地で原料を生産、原料を工場で手作業で加工し、30種類以上の製品を中国内にあるドラッグストアや病院にに供給している。その結果、製品の効能によって患者の痛みを軽減、解決している。

高校の教科書とのつながり

地歴公民
SXTCの大元の会社(Su Xuangtang:SXT)は280年の歴史を持っているとHPに記載がある。ということはSXTは清王朝の時代から続く会社だということである。またBrand Historyのページにもより具体的な記載があり、また真の時代に活躍した有名な医師の記載もある。

また紹介映像の中で、SXTが生まれた泰州のことも簡単に紹介されており、その中で岳飛が登場している。岳飛は南宋の将軍で、北方の金への徹底抗戦を主張した人物。秦檜によって無実の罪を着せられ獄死したものの、漢民族を救おうとした英雄であるということで現在も親しまれている人物である。背中に「尽忠報国」という4文字が刺青されていた、というエピソードもある。

科学や生物とのつながり

SXTCのHPには商品の概要が書かれているが、その中に化学構造式や内容物・効能などについての説明がなされている。これらの説明は高度であるものの、高等学校の教科書の内容の発展形であることが見受けられる。

どんな業種・セクターか+時価総額とチャート

ヘルスケアセクターで、産業としてはバイオテクノロジーの薬品会社。時価総額は300万ドルほど。同じセクター、同業種で大手はAmgenやGilead Sciencesで時価総額は1000億ドルほど。

SXTCの月足チャート

⭐︎西洋医学と東洋医学では、方向性が全く異なる。東洋医学が西洋医学のように価格転嫁され、収益性を確立できるか同じセクターであってもAmgenやGilead Sciencesと同じ規模にまで成長するとは限らない。そういう意味では東証プライム市場に上場しているツムラ(4540)が同業他社と考えられ、ツムラは現在の時価総額が2100億円ほど。ツムラはSXTCの500倍の時価総額を誇っている。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)など

Mission

Benefit the Health of People.
Promote Modern Chinese Medicine.
Inherit the Essence of TCM.
(人々の健康に貢献する。現代中国医学を促進する。伝統中国医学の精髄を受け継ぐ)

Vision

Become the Continuing Leader of
Modern Chinese Medicine
(現代中国医学の持続的なリーダーとなる)

Value


Kind-Heartedness and Benevolence
Integrity and Sincerity.
(優しさ、善意、誠実さ、真実さ)

Spirit

Inherit the Spirt of Benevolence and Righteousness
The Ten Commandments Educate People.
(仁と義の精神を受け継ぎ、十戒によって人々を教育する)

創業者について

TwitterやInstagram、YouTubeなど多くのメディアで検索をかけたが、インタビュー等を確認できなかった。もしかしたら検索ミスかもしれないが、現時点で確認できるのは、会社のホームページの以下のページしかなかった。

この状況では、この人物はどのように会社を引っ張っていき、そうかと言うことを判断できない。安心して投資するための根拠が得られなかった。

SDGsで考えると

⭐︎該当すると考えられる目標は「3 すべての人に健康と福祉を」。この目標の中のターゲットのうち「3.8 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する」に該当すると考える。ただこのターゲットを含む他の目標との関わりが、少し薄く感じられる。

SDGs 目標3.すべての人に健康と福祉を

定量分析

SXTCのFDM分析

分析をしてみると新興企業ということもあって利益を出せておらず、PERはマイナス圏になっている。そして営業利益もマイナスである。しかし営業利益成長率は目覚ましい。それにもかかわらずPSRは1倍ほどと、売上高に対して株価は同等の評価になっている。

自分なりの結論

SXTCは中国市場に展開する、東洋医学を活用し、研究開発して商品を販売する企業ということがわかった。HPにも彼らの様々な研究の成果について、評価がなされている証としての画像がいくつか添付されていた。 ただその中身については、専門家ではないので、判断しかねる。

個人的に気になったのは、まず創業者社長の声が調べられなかったこと。これに関しては中国の会社で、中国をメインに展開する会社であるので、アメリカ企業のSNSに声を投稿してないのはある種当然かもしれない。SDGsの目標・ターゲットについて、この企業の活動は直接的には関係はないという印象。

FDM分析をしてみて、PSRを見ても株価は適正化やや割安のようにも感じたが、トータルで考えると購入はしないという判断に至った。まず中国というカントリーリスクがあること。そして事業の成長性(特に東洋医学は伸びていくのかという点)が見通せない点、創業者について調べきれなかったという点、最終的にはまだ赤字であるという点、などがあったためだ。

数百年前からの東洋医学がこの時代に来て株式上場し、製品を市場に展開しているという事実を知り興味深いと感じた。また分析する中で、自分が考えもしなかった業界を見つけたり、因果関係の奥深さだったり、そもそもの自分の認識する世界の小ささだったりを痛感した。もっとたくさんの企業をみて見たいなー目指せ、まずは100社。


※当記事執筆者は、掲載内容によって生じた損害に対する一切の責任を負いません。

できる限り正確な情報提供を心がけておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。

最終的な投資判断・決定は、ご自身の判断で。

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