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フードテック産業の未来を読み解く/FUNDINNO未来産業レポート

ベンチャー企業が創り出す新市場や産業の未来を考えるヒントをお伝えする「FUNDINNO未来産業レポート」の第四弾です。

今回は「フードテック」をテーマにお伝えしていきます。

※以下掲載のURLから遷移するWebサイトは、全てFUNDINNOのものではありません(YouTube動画を除く)。

フードテックとは?

フードテックとは、フード(食)とデジタルやロボットなどの「テクノロジー」を掛け合わせた造語です。
食とテクノロジーの統合により新たなビジネスが生まれたり、社会や生活者が抱える課題を解決する動きが活発になっています。

フードテック注目の背景

フードテックが注目を集める背景として、世界的な課題である食糧・環境問題があります。

国際連合食糧農業機関(FAO)によると、農業生産から消費に至るフードサプライチェーン全体で、
・食料の約1/3が捨てられている
・その量は1年あたり約13億トンに上る
といった報告があります。

代表的な「フードロス」と言われる問題です。

解決策として下記の項目が国際連合食糧農業機関(FAO)より紹介されています。一部を抜粋します。

①バリューチェーン上で食料ロス・廃棄が多く生じる主要地点を突き止めるための、優れたデータ
②イノベーションの適用――たとえば、マーケティング用のeコマースプラットフォームや格納式の移動型食料品加工システム。
③サプライチェーン全体で民間部門による食料ロス・廃棄削減への行動と協力を強化するための、政府によるインセンティブ。
引用元:https://www.fao.org/japan/news/detail/jp/c/1310810

これらの解決策を進める担い手として「フードテック企業」への注目が集まっています。

注目の関連市場Climate Tech(気候テック)

また、フードテックを理解する上で関連市場にも目を向けておきたいところです。

例えば、最近注目を集めている分野にClimate Tech(気候テック)があります。

PwCによる2020年の調査によると、気候テック領域へのVC投資額は、2013年の年間4億1800万ドル(約440億円)から2019年には163億ドル(約1兆7200億円)に増加したことが示されています。

フードテック市場が拡大することは、生活者の健康課題の解決だけではなく、世界・社会規模の課題解決につながることが期待されています。

生活者の変化
(例)フードロス削減や菜食へのシフト

世界・社会規模の課題解決
(例)CO2(二酸化炭素)削減への貢献

フードテックの主要プレイヤー

注目を集めるフードテック領域では、どのようなベンチャー企業が注目を集めているのでしょうか?

フードテックの領域は広範囲に及びますが、
代替プロテイン、完全栄養食、健康食品などの食品開発分野
スマートキッチンやフードデリバリーなどの食品供給分野
が、多くの人の生活に関わる領域であり注目を集めています。

2025年には世界における市場規模が700兆円にものぼる試算が出ています。

領域と代表的なプレイヤーは、日経クロステックの「2022年の注目業界地図」にわかりやすく整理されています。

フードテック企業

引用元:フードテックの業界地図、食品メーカーの取り組みを総ざらい

世界のフードテックへの投資の状況

続いて、世界のフードテック領域への投資状況を確認していきます。

米国、中国、インドを中心に、世界のフードテック分野への投資額は年々増えています。

フードテックの投資状況

引用元:https://www.maff.go.jp/j/kanbo/foodtech/foodtech_kenkyukai_torimatome.pdf

フードテック市場に火をつけたのは、ビル・ゲイツも投資をしているビヨンド・ミートです。
代替肉のスタートアップとして世界で初めて上場を果たし注目を集めました。

今後、同分野で上場が予測されているのは、
・インポッシブルフーズ
・イート・ジャスト
の2社と思われます。

米国に続き、人口増加に伴い食料問題と向き合う中国、インドでも、フードテックベンチャーが次々と生まれて投資資金が流れています。

注目の国内フードテックベンチャー企業

さて、最後に気になる日本のフードテックベンチャー企業を見ていきましょう。

今回は、常温でも約1時間溶けないアイスクリームを開発・展開するFULLLIFE株式会社をご紹介します。

え、溶けないアイスクリーム!!??

となると思うので、ビジネスモデルも含めた仕組みはこちらのインタビュー動画をご確認ください!

FULLLIFE株式会社のビジネスモデルを要約します。

目指す世界
イチゴポリフェノールを核とした保形性向上原料で、溶けにくいアイスクリームのトップメーカーを目指す

アイスクリームの市場規模
約5,197億円/年
※2020年 国内アイスクリーム総出荷額(出典:日本アイスクリーム協会調べ)

優位性
イチゴポリフェノールを活用した技術で特許を取得。
知財を守り競合優位性を保つ。

解決する社会課題
原料となるイチゴポリフェノールは規格外品のイチゴからの抽出で製造するため、食品のロス減少を事業を通じて実現

溶けにくいアイスクリームの背景には、生活者にとっての便利さだけではなく、食品ロス課題の解決にも貢献しています。

今後、どのように溶けにくいアイスクリームの普及に取り組んでいくのでしょうか?

主要の成長戦略は下記3つとのことです。

溶けにくいアイスクリームの成長戦略
①受注単価や利益改善
完全受注生産で在庫を抱えない戦略を進める。
高単価で利益率を高めながらアイスクリーム市場のシェアを獲得する。

②パートナー開拓と販路拡大
コンビニ、飲食店、病院など多くのパートナー企業と協力。
新製品の開発と販路拡大を進める。

③事業の多角化
アイスクリーム以外でも活用用途を拡げ、事業を多角化する。

病院、老人ホーム・学校、飲食店のデリバリーなど、溶けにくいアイスクリームの潜在需要は大きそうです。

フードテック企業の中でも、斬新なアプローチをするFULLLIFE株式会社の今後の成長には注目です!

他にもFUNDINNOで調達している企業の中には、フードテック領域でユニークなアプローチをするベンチャー企業がたくさんあります。

ぜひプロジェクトページをチェックしてみてください!

まとめ

①フードテックが注目を集める背景
フードテックは、社会課題と生活者課題の両方を解決する領域として世界的な注目を集め、市場規模は700兆円(2025年)まで拡大予測がある。

②海外のフードテック市場は拡大し、投資熱も高まる
米国を中心に、人口増加に伴う食料問題に直面する中国、インドではフードテックベンチャー企業が増加。上場企業、直前期に入るベンチャーも出てきている。

③国内のユニークなベンチャー企業に注目
世界で戦える可能性を持つ、フードテックベンチャーは国内からも出てきている

次回の未来産業レポートもお楽しみにお待ちください!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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