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【マッチレビュー】FIBAワールドカップ 2023 1次ラウンド 8/27 日本 vs フィンランド


スターター

・日本

・フィンランド
 9. サス・サリン
13. オリヴィエ・ンカムホア
18. ミカエル・ヤントゥネン
21. エドン・マクシュニ
23  ラウリ・マルカネン

試合展開とポイント

1Q

共に一敗同士の対戦。日本はドイツ戦と同じメンバーでスタート。

フィンランドはマクシュニがウィングからの3ptでオープニングゴールを決める。日本は、スティールからのファストブレークで馬場が豪快なダンクを叩き込むと、渡邊、ホーキンソンがそれに続く。

マクシュニ対しては原がオールコートでマークにつきつつ、ハーフコートではマンツーマンディフェンスを敷く日本。素早いヘルプとリカバーでローテーションを徹底しながら、ホーキンソンを中心に確実にディフェンスリバウンドを押さえ、1Qのリズムを作ることに。

オールコートでマンツーマンディフェンスを仕掛けたフィンランドに対し、日本は河村を中心に落ち着いてボールを運ぶと、1Q中盤から投入された比江島が4点プレーを含む9点を決める活躍を見せ、日本のオフェンスを牽引。1Qの主導権を掌握する。

フィンランドはマドセンがインサイドアタックと3ptを連続で沈めると、エースのマルカネンも迫力のあるレイアップを決めて食らいつくも、オールコートで激しくプレスをかけた日本のディフェンスに手こずり、1Qは日本が22-15でリードして終える。

2Q

1Qで日本に後れをとったフィンランド。2Qから攻守のギアを一段上げていく。オフェンスにおいては、マルカネン、バルトネンを中心にインサイドアタックから得点を積み上げる。

日本も富永がディープスリーとコーナースリーを連続で決めるも、2Q序盤はチーム全体のシュートタッチが今一つでオフェンスが一時的に停滞。その間、対照的にシュートタッチが良いフィンランドは、リトル、ヤントゥネンが3ptを決め、28-30と逆転に成功することに。

オフェンスが停滞し苦しくなった日本を畳みかけるように中からはヤントゥネンがリムアタックを仕掛け、外からはマルカネンが3ptを打ち抜くフィンランド。対する日本は、比江島がリムアタックから得たフリースローとバスケットカウント。さらにはホーキンソンのインサイドアタックで得点し、苦しい時間を繋いでいく。

終盤もファストブレークと3ptで、順調に得点を積み上げたフィンランドが再度日本を突き放し36-46。日本が10点のビハインドを背負って試合は後半へ。

3Q
後半開始からフィンランドはエースのマルカネンが全開。3ptとファストブレークからのリムアタックで0-5のランに成功し、日本を突き放しにかかる。

日本はハーフコートオフェンスにおいてはホーキンソンがインサイドアタック、ファストブレークでは河村が技ありのスクープショットを沈め、フィンランドに対抗。フィンランドもすかさずマクシュニの3ptとマルカネンのリムアタックで返し、点差は縮めさせず。

3Qもプレータイムを伸ばし続けるホーキンソン。リバウンドでフィンランドを圧倒しつつ、河村、比江島を中心に得点を重ねることで食らいついた日本。バルトネンの3pt、マルカネンのアリウープなど、コンスタントに得点を決め続けるフィンランドに対し一歩も引かず、ディフェンスでは吉井が豪快なシュートブロックを見せるなど、一進一体ながらも反撃の兆しを漂わせていく。

フィンランドの0-5のランから始まった3Qであったが、終盤に盛り返した日本はクォーターのスコアを27-27のイーブンまで戻し、トータルスコア63-73の10点差で最終クォーターへ。

4Q

歴史的一勝まであと10点差というところまで迫った日本は4Qに全てをかける。富永のクイックモーションでの3ptが見事に決まり7点差とすると、集中を研ぎ澄ます。

ディフェンスではヘルプ&リカバーを徹底。チーム一丸となってフィンランドのリムアタックを防ぐと、ホーキンソンを中心にディフェンスリバウンドを押さえ、2Q以降フィンランドへ傾いた主導権を取り戻しに行く。

オフェンスでもこの試合28得点を叩き出したホーキンソンがインサイドを制圧。力強いインサイドアタックで得点を積み上げながら、アウトサイドからは河村が3ptを打ち抜くことに。河村との見事な連携からホーキンソンが2ptを決めるなど、ホットラインが躍動した日本は74-76の1ゴール差まで迫る事になる。

4Q中盤からは渡邊と馬場をコートに戻し、歴史的勝利へ向けて全てをかけに行く日本。マルカネンのアタックに対しては厳しいヘルプディフェンスを見せつつ、この試合19リバウンドという驚異的な数字を積み上げたホーキンソンがディフェンスリバウンドをもぎ取り、流れは渡さない。

残り4分35秒の場面では、右サイドで河村がマクシュニをドリブルで置き去りに。バスケットカウント&ワンスローを決め、遂に日本が79-78と逆転に成功。

4Qの日本のオフェンスを牽引した河村の勢いはなおも止まらない。続く日本のオフェンスでは、トップオブザキーからの3ptを沈め、BリーグMVPの矜持を見せつける。

沖縄アリーナの大観衆に背中を押された日本の勢いは、ここからさらに増すことになる。気迫のディフェンスでフィンランドの攻撃をシャットアウトすると、ファストブレークからまたもホーキンソンがアタックからのファールを得る。フリースローを決めて84-78とすると、直後のオフェンスでは河村がまたも1on1から3ptを決め87-78の9点のリードを奪い、フィンランドを突き放しにかかる。

残り2分半で9点差となり状況が厳しくなったフィンランドだったが、ここから粘りを見せる。エースのマルカネンが執念のアタックで2ptを決めれば、直後またも日本の河村-ホーキンソンのホットラインに点を決められつつも、すぐさまサリンが3ptで決め返し、勝負所を6点差で食らいつくことに。

だが日本も引かない。河村の見事なパスからホーキンソンが再三アタックをしかけ、マルカネンのファールを誘発。フリースロー15本中14本を沈めるなど、これまた驚異的な精度でフリースローを決め続けるホーキンソンの活躍でフィンランドの追い上げを振り払うも、直後のフィンランドのオフェンスでは、またもサリンがコーナーから3ptを決め、残り1分22秒で91-86と5点差で日本を猛追していく。

タイムアウトを挟み再度オフェンスをセットした日本。右サイドから河村がこの日4本目となる3ptを沈めると、ファストブレークから富永がレイアップをねじ込み、残り40秒で96-86と日本が試合の大勢を決めにかかる。

フィンランドはマルカネンがボスハンドダンクを叩き込むも、日本は河村を中心に落ち着いてファールゲームに対処。残り16秒の場面では日本を支え続けたエース渡邊がフリースローを2本決め98-88とすると、最後までディフェンスの強度を保ち続けた日本が勝利を掴む。

日本バスケットボール界の悲願を背負った歴史的一勝を収めることになった。

試合結果

ボックススコア

総評・雑感

「日本バスケ界悲願の勝利をつかみとってくれた日本代表を称えたい。」

それ以上の言葉が出てくるはずもないが、ここではあえて雑感をレビューしたいと思う。

個人のスタッツとしてまず一番に挙げなければならないのは、何といっても28得点19リバウンドという驚異的な数字を叩き出したホーキンソンだろう。

213cmのマルカネンを初め、2m超級の選手をズラリとそろえたフィンランドに対し、日本のチームリバウンド36の内、5割強となる19リバウンドを奪取。フィンランドのチームリバウンド35を上回った原動力としてインサイドで体を張り続けると同時に、両チーム最多の37分32秒の出場にして、両チーム最多の28得点を叩き出すなど、獅子奮迅の活躍を見せたホーキンソン。この男の存在無くして、日本の歴史的勝利はあり得なかったと断言していいはずだ。

また、ベンチスタートながら4本の3ptを含む25得点9アシストを記録し、日本のオフェンスを牽引した河村。勝負所での3ptで日本に流れを引き寄せ、最終的に17得点を決めた富永。わずか14分の出場ながら見事なステップから17得点を決め、前半の日本を引っ張った比江島。日本を代表するプレーヤーたちが、それぞれに出来る最高のパフォーマンスを披露し、複数人で二桁得点を記録出来たことも勝利の要因となった。

オフェンスでは上記の4人を中心としながらも、全員がばっちりかみ合って得点を重ねた日本。ディフェンスにおいてもヘルプ&ローテーションが抜群に機能し、これまでの最高のクオリティ、最高のインテンシティで全員ディフェンスを徹底出来たと言える。

最後まで自分たちのバスケを貫いた男子バスケットボール日本代表AkatsukiJapan。ワールドカップでの厳しい戦いはこれからも続いていくが、まずは大きな価値のあるこの一勝。歴史を変える勝利をつかみとってくれた代表選手たちに、バスケファンの端くれとして心から感謝したい。

男子バスケットボール日本代表AkatsukiJapan。おめでとう。

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