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2月14日〜20日 第7巻 『盗賊婚礼』

2月14日

バレンタインデーなので、フォロワーのOLさんへのチョコレートツイートを送る。ここ数年の恒例。OLさんの脳内へチョコレートをテレパシーで送ったという設定で、チョコレートの写真と共にリプライを送る。今年は生チョコにした。

ジャンプで落語の漫画が始まったらしく、割と好評っぽい。伝え聞く話によると、真打昇進試験が出てくるらしく、モデルは立川流なのだろうか。ジャンプらしい、関門を突破するような展開作りを落語でやる上でのセッティングなのかな。読みたいけどそれのために毎号ジャンプ買うのは億劫なので単行本を待つ。

仕事で雑発注に対して怒り沸騰だったので、夜は豚バラとほうれん草の鍋にしてもりもり食べた。

歌集のレイアウトをお願いしているもりたの都合上、今週中に概ね作業を完了しておきたいということになったので、出力したゲラを一晩でチェックする。

2月15日

まほぴさんの歌集のタイトルがAmazonに出ていた。まほぴさんの作品の印象と、第一歌集ということもあってパワフルポップな方面に振るのかと思ったら、『水上バス浅草行き』というしんとした風通しの良さをまとったタイトルで、いい意味で意外だった。「そう来たか!」という感じ。

じゃがしまさんが『あかね噺』関連のスペースを聞いて、立川談笑師匠の「シャブ浜」が気になるというツイートをしていたので、過去にフジポッドで配信された音源をお裾分けする。久々に聴くとやはりえげつない噺だなぁ。2007年の音源だから、たぶん僕は高校生くらいのはずで、落語にハマり出した時期に聴いたのだった。夜中に懐かしい気持ちになる。

2月16日

仕事でたびたび雑発注が問題になっていた営業さんとその件について会議の場が持たれたが、全然伝わってない感じがすごくて疲弊する一方だった。制作部署的にも、もう言っても分かんないから適当にあしらうしかない、みたいな感じになってきていて、うーむとモヤモヤしている。

帰宅したらスズキロクさんから『よりぬきのん記2021』の献本が届いていた。めちゃくちゃ嬉しい。今回の表紙はマットな黒っぽい表紙に黄色の文字で、どことなくデンジャーな佇まい。読むのが楽しみ。

仕事は面倒だけど、そのほかは最高だな、という気持ち。

2月17日

太宰治『正義と微笑』を読み終える。装丁が素敵なON READINGの文庫版。たぶん太宰治って教科書で読んだ『走れメロス』くらいしかちゃんと読んだことがなく、当たり前だけど文章がめちゃくちゃうまい。主人公と兄の関係がずっと微笑ましくて、パイナップルの缶の汁が美味いという話を2人でするくだりが好き。で、次に読み始めた古川日出男『ゼロエフ』で、古川日出男が『正義と微笑』の主人公と同じく兄姉のいる三きょうだいの末っ子だと知る。不思議な繋がり方。

仕事の作業中、「山里亮太の不毛な議論」のぱーてぃーちゃんゲスト回を聴いていて、ギャル2人をもう親戚のおじさんのごとく見守る山ちゃんのスタンスも相待って、ずっと最高だなと思っていた。で、ラジオを流しっぱなしにして、なんとなく雰囲気だけ聴いたことあったずっと真夜中でいいのに。「あいつら全員同窓会」をちゃんと聴いたら、サビ〜間奏〜2番への入り方までの一連が好みだった。歌詞は程よくフレーズをバラつかせていたのがCメロでちょっとストレート気味な文面になるのがうーん、となってしまったが(これもあくまで好みとして)。

もりたから、歌集レイアウトの校正が来て、修正確認の赤字ととともに、気に入った短歌へのチェックや一言コメントが入っていた。選定も章立ても自分ひとりでやったので、正直、他の人にどう見えるのか全然分からずやっていたのだけど、とりあえず誰かにとって引っかかる短歌はいくつか収められたらしくホッとする。自分がそこまで自信がなかった(けどなんとなく気に入っていた)歌も、もりたのコメントがついていて、喜びの舞を踊る。この時点でもうだいぶ嬉しい。

2月18日

仕事がめちゃくちゃ忙しい。週明けもすでに作業が立て込んできていてイーッとなったので、帰りにカラオケに寄って1時間歌い倒した。それでだいぶスッキリする。

作業とかしようかなと思ったけど、結局金曜ロードショーの『チャーリーとチョコレート工場』をぼんやり見て一日が終わった。

2月19日

天気が悪いということで、どうしようかなーと思いながらもちょっと出掛けて、久々に銀座の蔦屋書店に行ったりした。その他にも何箇所か回って新刊を2冊買う。

今年は短歌を頑張るぞ、という気持ちなので「#短詩の風」にも作品を出す。未発表3首の予定だったが、西田さんのツイートきっかけでもう1首できた。動物縛りで4首になる。

来月、3年目のラテさんインタビューをしようと決まった。この1年のラテさんが激動だったのはTwitterでお見受けしていたので、話を聞くのが楽しみ。インタビュアーとしての力量が一番発揮される企画。

2月20日

今日は本屋行ってfuzkueだと決めていたから、三鷹から攻める。行きの電車で鬼平を読んだ。盗賊・傘山の弥太郎に縁談話が持ち上がる。尾張・三河盗賊・鳴海の繁蔵が、「妹・お糸を嫁にもらってほしい」と言ってきたのだ。実は弥太郎とお糸の縁談は、亡き父同士が取り決めた許嫁の約束だった。父の意志を尊重したい弥太郎だが、もしお糸を嫁にもらった場合、盗賊としてのスタンスが正反対である当代繁蔵と義兄弟になることが悩みの種だ……という話。弥太郎は、人を殺さず慎重に盗みを行う、盗賊としてのポリシーとモラルを重視している。一方で、繁蔵は盗みのためなら人を殺した方が手っ取り早い、というタイプで、この対立こそが話の軸になっている。もはや弥太郎のやり方は、効率が悪くて手下からも支持を得られなくなってきている。盗人界でも効率主義が幅を利かせ始めているのだった。それにしても今回の平蔵は、たまたま通りかかっただけという感じではあるので、そろそろデウス・エクス・マキナみが高まってきている。

三鷹に着いて、りんてん舎、水中書店。水中書店ではナイス害『フラッシュバックに勝つる』を買った。歌集ZINEで、解説が雪舟えま、表紙・挿画がはらだ有彩!

そのまま歩いて吉祥寺に移動し、防破堤、百年、電車に乗って西荻窪へ行き、ロカンタン、今野書店を覗いてからfuzkue西荻窪へ。キーマカレーとホットジンジャー。ことばとvol.3の柴田聡子『新曲・Beat Friend』を読む。独特な言語センスで突っ走るパワフルポップな作品。書き出しがすごい。

 いま、まさに投げようと、あごのあたりにボーリングの玉を構えている鈴木さん。その横顔の奥から、すうーっと押し出されるように現れる横向きの佐伯さん。佐伯さんもまたあごのあたりにボーリングの玉を構えている。両方とも前髪をまつげのぎりぎりのところできれいに切りそろえているから、ふたりは双子のように見える。横顔だともっとよく似ているように思える。でも、よくよく見ると似ていなくて何もかもが違っている。鈴木さんは二重で顎がシュッと細い。佐伯さんは奥二重で顎もシュッとはしているけど、そのシュッとした具合が鈴木さんよりは、なんと言うか、その線を描いた鉛筆の擦れる音が鋭い。前髪はたまたま。鈴木さんはつい何日か前に、長らくおでこ丸出しスタイルだったのを、なんともなしに衝動的に、自分で前髪を作って、自分ではまっすぐ切るしかできなかったからそうなっただけ。ふたりともボールを投げずに前を見つめている。と見せかけて佐伯さんの左目は鈴木さんをずっと見ている。鼻の下をぎゅっと縮めてできためずらしい口のかたち、執念の佐伯さん。それを知らずにいつも微笑みの国に居るのは鈴木さん。

横顔がすうーっとならぶ映像が頭の中に炸裂し、気付くと文体のペースに巻き込まれていく感触。柴田聡子は楽曲も最近よく聴いている。もっと聴きたい。

帰り、もうずいぶん暗くなって寒くかったが、高円寺で降りて、座・高円寺の、柳家紫文先生の追悼展示を見る。大きくプリントされた写真と、テレビでの公演映像と、関係者が書いた都々逸。ホールのロビーの展示らしいささやかなものだったけど、雪の降る中の、若き日の紫文先生の写真がとても良かった。

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