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2020年9月 月報

久々に人と会って遊ぶ機会があったので、比較的ごきげんに過ごせた9月。
もりたとはボウリング→カラオケ→晩御飯という、ホリデー感満載で楽しかった。ほぼ毎日LINEとかしている友達ではあるのだけど、なんだかんだリアルで合うのは年明け以来だったのだ。ボウリングは終盤で僕が急に追い上げて逆転したので、もりたが負けず嫌いでふんふん言ってて面白かった(その後、もりたからエアホッケー対決を挑まれて負ける)。
かりあしなさんとは「斧投げ」で遊べるスポットへ行った。木でできた的に向かって、手斧を投げるダーツみたいなスポーツだ。始める前は二人とも「的にちゃんと刺さるのか…?」「変な投げ方してケガするかも…」と弱気だったのだが、いざ始まると、夢中になってどんどん斧を投げた。かりあしなさんは中盤から完全に両手投げのコツをつかんでいて、投げた斧がズバッと的の真ん中に刺さっていた。ゾンビとか発生しても、斧で撃退できるレベル。

やっぱり体を動かすとスッキリするよね、ということで、予定の無い休日はぶらぶらと外を歩く事が多かった。主な目当ては本屋さんで、前から気になっていた書店を何件かハシゴする、というパターン。
昼から外に出て、ちょうど電車の中で文庫本を読み終えたところで下北沢に到着し、書店を2軒まわって2冊本を買い、fuzkueに入って黒いギネスビールのシャンディガフと蜂蜜チーズトーストをつまみながら読書。2時間ちょっと過ごして店を出ると、小雨でもなく豪雨というわけでもないちょうどいい感じの雨が降っていて、体を少し縮こませながら折り畳み傘を差しつつ、「うわー涼しいな、もう秋じゃん」なんて思いながら駅まで歩いているときに、「めちゃくちゃいい休日じゃん!!!」と心の中で叫んだ。28歳にして、人生における休日の正解を出してしまった。

散歩のお供はPodcast。ここのところ明らかに音声コンテンツの波が来ていて、ものすごい勢いで番組が増えている。今月聴き始めたもののなかでは『味な副音声』『奇奇怪怪明解事典』などが面白い。僕は中学・高校あたりからいろんなPodcastを聴き続ける暮らしをつづけてきたわけだが、20代も終盤に差し掛かると、パーソナリティが同世代の番組も増えてきて「俺もそこそこ長く生きてきたのだなぁ」としみじみする。そのうち、自分よりもっと下の世代のパーソナリティの番組ばかりになったりするんだろうな。その番組ではどんな話してるんだろう。

もりたから梨を5つおすそわけしてもらった。一人暮らしで傷む前に食べきるのも難しそうだし、何かいい調理法はないかと思っていたら「ジャムにすべし」という天啓を受けた(「梨 調理法」の検索結果から)。半分はすりおろし、半分は細かくきった梨を鍋に入れて、砂糖やレモン汁と一緒に軽く煮詰めて完成。焼いたパンに塗って食べるともちろん美味である。
で、これは前々から「ちょっと欲しいな~」と思っていたホットサンドメーカーを買うべきタイミングなのでは!と、2000円の直火式のやつを購入。これがめちゃめちゃ便利。はさんで焼くだけだし、洗い物も少ないし、美味しいホットサンドは食べられるし……。生活レベルがあがった気がするぞ!

・読んだ本

佐々木敦『批評王 終わりなき思考のレッスン』
大竹昭子『スナップショットは日記か? 森山大道の写真と日本の日記文学の伝統』
とよ田みのる『金剛寺さんは面倒臭い』7巻
島尾敏雄『死の棘』
ドミニク・チェン『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』
佐々木敦『絶体絶命文芸時評』
小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』
木下古栗『人間界の諸相』
宮野真生子、磯野真穂『急に具合が悪くなる』
若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』
くどうれいん『わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版』

佐々木敦さんの新刊2冊。佐々木先生には大学時代にお世話になったこともあり、大学入る前の時点で「エクス・ポ」は読んでたりしたので、少なからず影響は受けていると思う。そういえば、文学フリマでたまたま来ていた佐々木先生に安田短歌の本を売りつけたこともあったな……。で、多ジャンルにわたる『批評王』、ここ数年の文芸時評がまとまった『絶体絶命』、どちらも面白く読んだ。特に『絶対絶命』は既に読んでいた小説が紹介されていたこともあって読み応えあったし、今後の読書の参考にもしていきたいと思う。
で、小説はというと『死の棘』読むのにめちゃくちゃ時間がかかった。面白いんだけど、延々と狂気の夫婦喧嘩が繰り返されるので読むのに疲れてしまう。『人間界の諸相』は徹底したくだらない下ネタのあとに取ってつけたようなエモみがあって、おそらく意図的な「取ってつけた感じ」なんだろうなという点も含めてジャンクフード感があってよかった。『おらおらでひとりいぐも』は沖田監督が映画化するし、解説が町田康だし、というくらいの理由で手に取ったが、方言まじりのリズミカルで油断ならない文体のドライブ感に引き込まれる。一見のんびり過ごしているように見えるお婆さんの内面はグツグツしていたり、ピカピカしていたりするのだ。
『金剛寺さんは面倒臭い』は最終巻で、ほとんどサンデーうぇぶりで読んで泣いていたんだけど、今回紙面で読み直してまた泣いていた。あのページがカラーで収録されていて(というか表紙にもなっていて)本当に素晴らしいなぁと思います。
『急に具合が悪くなる』は医療人類学者・磯野さんと、がんを患った哲学者・宮野さんによる往復書簡で、病気のリスク管理や、運命について、人とのコミュニケーションや関わり方などの話題が語り合われる。具合が悪くなり死の影が色濃くなってきてもなお、あくまで哲学者としてその事象に向き合う宮野さん、そしてそれに最後まで付き合う覚悟をもってやり取りを続ける磯野さんの二人によるフルパワーな学者としての姿勢、そして書簡には記されなかった二人の交流の在り方に胸を打たれまくってしまい、電車の中で泣きながら読了した。ちょっと周りのお客さんから心配されるくらい。これは何度も読む本になると思う。

・今月のBGM



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