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7月28日~8月5日 第23巻 『炎の色』

7月28日

朝4時に目が覚めて、ポケモンを2匹ゲット。二度寝して更に2匹ゲット。

明日は柿内さんが出るイベントで横浜・阪東橋駅へ行く予定で、その周辺に何か行くスポットがあるか情報を募ったら、真山さんによりジャックアンドベティが近いという知見がもたらされ、上映作品を観たら濱マイクの劇場版1作目のリマスター版が上映されていると知って、それを観に行くことに決めた。

とうとうスマホのTwitterアイコンもXのマークになった。少しずつ浸食されている感じが気味悪い。帰宅後は日記を更新してから寝る。

7月29日

朝から電車に乗って阪東橋駅まで。めちゃくちゃ晴れていて暑い朝。ジャックアンドベティで映画のチケットを取って、上映時間まで少し劇場周辺をうろうろする。周辺には風俗店が結構あって割と店名があからさまにエロなので、炎天下の朝から入ってくる文字情報としてカロリーが高くてぐったりする。

私立探偵濱マイクシリーズ1作目『我が人生最悪の時』。想像以上に良くって面白かった。モノクロでスタイリッシュな映像。マイクの探偵事務所は映画館の映写室の隣のスペースに設けられているので、暗い室内に窓の外から映画の光が差し込んでくるのがとてもかっこいい。純朴な青年でありながらしかし台湾マフィアのヒットマンでもある青年との友情が、辛い幕切れを迎えて切ない余韻。キャストもみんなよくて、若いころの永瀬正敏は洒脱なたたずまいながら青二才感も少し残しているし、相棒の星野は南原清隆が演じることで奇妙な明るさがあって、ユニークなキャラ造形。2作目・3作目も劇場で観たいがタイミング合うだろうか。

喫茶店でランチ。夕方から象の旅で、柿内さんと翻訳家・夏目大さんのトークイベント。会場に着くと、もう柿内さんも夏目さんも客前の椅子にいて、客席側には沼本さんがいた。元々、横浜まで出るのが大変だなと思って参加を見送ろうかな、と思っていたところ、夏目さんのファンだという沼本さんに誘ってもらって来ることに決めたイベントだった。夏目さんが翻訳を手掛けたものは読めていないしな、と思っていたのだが、名前には見覚えがあって、よくよく思い出すと群像に随筆を書いていたのを既に読んでいたのだった。群像が当たったことの効能がこんなところに。象の旅はあまりじっくりは見られなかったが、本棚の選書の感じがかなり好み。
トークは夏目さんが翻訳を手がけた『南極のアデリーペンギン』『南極探検とペンギン』の話から。柿内さんの説明&レビューが見事で、ものすごく面白そうな本だな。夏目さんも饒舌で訳し間違いのエピソードや翻訳家になろうと決めた経緯など、面白いトークがどんどん出てくる。途中、柿内さんが近代資本主義社会・完パケを求めるコミュニケーションへの対抗策としての「だらだら喋る」スタイルの話をしていて、普段から思っている「柿内さんが売れるには柿内ファンを作るしかないな」という思いを強めたところ、夏目さんが「柿内さんが売れるには柿内さん自身が別の分野で人気者になるのがいいんじゃないか」という話をし始めたので、「我が意を得たり!」となって柿内さんのほうを見たらばっちり目が合った。目線だけで「ほら~、僕もそう言ってたじゃん」と念を送った。

イベント終了後、少し柿内さんと立ち話をしてから、沼本さんと一緒に象の旅を出て、移動しつつイベントの話とか柿内さんの話とか最近の近況についてあれこれ話す。久々に会ったのですっかり頭から抜けていたのだが、沼本さんは僕のレコメンドで一時期渋谷らくごにも足を運んでいたので、最近のシブラクの話などもがっつり喋りすぎてしまった。今は意外と近いエリアに住んでいることが判明したので、またお茶とか行こうねなどと言いつつ、僕は新宿三丁目駅で降りた。

末廣亭で深夜寄席。鯉花さんが「最後列」の看板を持っているのを見つけて列に並ぶ。コロナ禍後の休止期間を経て月一開催で再開してからは初めて来れたので、新宿三丁目の飲み屋がひしめく中、落語を観に並んでいるこの感じが久々でウキウキする。
花金さんは「あくび指南」。スタンダードな感じだけど、あまり見たことのないくすぐりも入っていて、細かくアレンジもされているんだろうな、という印象。顔立ちがつるっとしている分、ちょっと表情を変えるととぼけた可笑しみが出るのもいい。鯉花さんは初見。想像以上に動きがダイナミックで手の動きが独特。茶光さんは安定感があって爆笑なのがすごい。上方でがっつり笑わせに来るなら「手水回し」とかやるんじゃないかと思っていたら、ドンピシャで予想が当たった。ゲラゲラ笑う。トリの遊子さんもちゃんと聴くのは初めてだけど、所々のくだりをスマートに刈り込みつつの「大工調べ」。与太郎がとてもかわいいし、棟梁と大家がじわじわ険悪になって最後に爆発するまでの演じ方とかも達者。他のネタもしっかりしていそうだな、と思ったのでまた見たい。

満足度の高い深夜寄席にほくほく気分で帰路につく。

7月30日

柿内さんが昨日のことを日記に書いていた。

僕の本はどうしたら売れますかね、と訊くと、まずは柿内さん自身が別の分野で人気者になるのがいいんじゃないか、と応えられ、はっとしてRyota さんのほうを見ると目があった。こちらを見ていたのだ。Ryota さんはかつて幕張のモスバーガーで、柿内さんの書くものは「柿内さんの書くもの」にしかならないんだからまずは柿内ファンを増やすほか読者層拡大はありえませんよとアドバイスをくれて、僕はウェェそういのやだぁと駄々をこねたことがある。こちらを見るかれの目は、ほらみたことか、と雄弁に得意げだった。

念は伝わっていた。

昨日一日遊んだ疲れもあって、昼過ぎまでうだうだして、いい加減ちょっとどこかに行きたいなと思ったので、恵比寿の東京都写真美術館で『「覗き見る」まなざしの系譜』展へ。カメラ・オブストラクラ、覗きからくり、ゾートロープなど、視覚文化の歴史を流れを実物の展示と共に概説するような展示。大学の視覚文化論の第一講みたいな案配だなと思った。エジソン社の初期映画が想像以上にバラエティ豊かで、ドタバタアクションを撮ったようなものもあり面白かった。キスをする男女の映像で、二人が頬を寄せ合いながら何かをめちゃくちゃ喋っているらしい様子が印象に残って後で調べたら、舞台のワンシーンを撮ったものだったらしい。夫婦の実際の会話ではなく、セリフをしゃべってたのか。映画史上最初のキスシーンとのこと。

閉館時間を考えると他の展示は見れなさそうだったので、都写美を出て、そのままぶらぶらと代官山のほうまで歩き、蔦屋書店を覗いてから帰りの電車に乗った。

7月31日

出勤の電車の中で群像をリュックサックに入れ忘れたことに気づく。鬼平も入れてないし……。今日は読書が進まないことが決定した。

今日は月末なので締め作業を待ってから終業。帰りにカラオケによって1時間歌ってから帰宅。
夜更かしLINE通話してたらずいぶん寝るのが遅くなってしまった。

8月1日

カカロニのオールナイトニッポンPODCAST、最後の第5回まで聴き終えた。他の番組とかとはイメージが違う栗谷の荒み・腐りっぷりでどんどんダークサイドに堕ちていきそうだったところを、菅谷の涙を見て正気を少し取り戻す展開がすごかった。全5回の期間限定ラジオでこんなにダイナミックな展開するのはすごい。

今日から部署に新人さんが入ってきた。未経験の後輩を指導するような経験は社会人になってから初めてなので、どういう案配でやるのがいいのかは悩みどころ。昼飯を食べに行ったタイミングで大雨に降られて、小さい折り畳み傘では太刀打ちできずびしょ濡れになってしまって早く帰りたい気持ち。

帰宅後、『メタモルフォーゼの縁側』を観る。自分が好きなものを好きだと堂々と言えない気持ちや、作ったものが誰かに届いている喜びをじんわり描いていてよいなぁ、となる。終盤のサイン会のシーンでぼろぼろ泣いてしまったのだが、劇伴のギターの音の入り方で反射的に涙腺を刺激された感じもある。最後に主人公二人が落ち合うカフェが、もう閉店した池袋の丸善のカフェで、一時期俺がランチを食べていたところだ!

8月2日

新人さんの飲み込みが良いらしくて、早々に戦力になりそうな気がする。

群像の最新号の表紙が出ていた。8月刊行だから戦争にまつわる論考や、論点コーナーのスペシャルで、批評・評論が分厚く690ページある様子。これはまた読むのが大変そう。文學界はエッセイ特集で柿内さんやわかしょさんも書いているから読まなきゃ大変だし、大変な8月になってきた。

8月3日

新人さんに仕事の練習問題をやってもらったりして、確かに対応スピードが早い。作業慣れしていないからもちろんミス・見落としはあるけど、だいぶ優秀で助かるなぁ。

仕事帰り、真山さんのツイートを見てミスタードーナツを食べたくなったけど、「今の時間はテイクアウトのみです」と言われ、ちょっと座ってゆったりしたかったのでやめて、結局うろうろして油そばの店にたどり着いた。全然違うじゃん。帰りにブックオフで表示価格よりさらに半額になっていて2冊単行本を買ってしまった。週末には積読を紹介する読書会に参加する予定だというのに。

8月4日

新人さんに残りの練習問題もやってもらって概ね問題なし。この調子だと夏休み前に基本的な研修は全部終わってしまいそう。仕事も割とサクサク終わったので定時過ぎで帰る。

家で、明日のホォルさんの「読んでいない本について堂々と語る読書会」に持っていく本をセレクト。200冊弱ある積読から、2冊にまで絞り、購入の経緯と後日譚についてはたくさんあるが作品の中身は全く分からない本にした。

8月5日

昼は家で鬼平の残りを読み切って、23巻を読了。おまさは盗賊の頭・峰山の初蔵に声をかけられる。亡くなった荒神の助太郎の娘が荒神一味の二代目になるため、集まりに顔を出してほしいというのだ。初蔵・荒神が協力して行なう盗みに誘われたおまさは、平蔵と連携しながら一味を捕えるため画策する。ところが、おまさは盗みにおける「引き込み役」を任されることに。引き込み役とは、盗みに入る目星をつけた店に就職して入り込み、盗みの際には屋敷の内から鍵を開けて賊を引き込む役回りだ。つまり、密偵として潜入した賊で、更に目当ての店へ潜入する二重スパイを任せられてしまったのだ。二重に潜入している先から、火付改とおまさが連携を取るのかというのが、中盤の読ませどころ。ここで、前エピソードで登場した平蔵の腹違いの妹、お園が活躍するのが面白い。今回はお園が大活躍で、平蔵が毒殺されかけるのを食い止めたりして、しかも最後には小柳と恋仲にまでなってしまうのだ。小柳はかつて妻子を亡くしてからというもの死に急ぐかのように仕事に熱中してきたキャラクターで、長らく「頼りになるけど、危ない局面も躊躇がないから、途中で死んだりしないか心配……」と思っていたので、こんな風に人生の再スタートが描かれるとは思わず喜ばしい。荒神の二代目のミステリアスさ(生き延びたらしいので、もしかしたら後に再登場予定だったのかも)とか面白いところもありつつ、割と丹羽庄九郎のくだりとか話を引き延ばすためのような取って付けたようなディテールも垣間見えたり。長きにわたる鬼平を読む生活も残り1巻分。

夕方から電車に乗って埼玉の霞ヶ関駅、ホォルへ向かう。以前あった建物の2階から、同じ商店街の並びの1階に移転して、フロアが広くなっていて、相変わらず本の並びがいい感じに混ざっている。必ずしも著者順でなく、関連本が隣り合っていたり、同じ本が違う棚に散らばっていたり。柿内さんの本がまとまっている棚に『雑談・オブ・ザ・デッド』もあった。店の真ん中にテーブルを置いて、「読んでいない本について堂々と語る読書会」。参加者4名+ホォルの深澤さんで順番に持ち寄った積読本について話す。内容に興味がありつつも分厚くて積んでいるものもあれば、「ブックカバーに合うサイズの文庫を買ったつもりが微妙にサイズが違う旧版だったので一気に読む気が無くなった」という面白い経緯のものもあり、話しているだけで一時間あっという間。その後も、参加者の人たちと雑談したり、本棚をあれこれ眺めたり。深澤さんに最近の近況やら、落語や鬼平の話を聴いてもらっていたらすっかり夜遅くなってしまった。帰宅後、ポケモンのためにすぐ寝る。

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