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072.小学生の頃、僕は演劇に夢中だった

小学3年生から6年生まで、僕は演劇をやっていた。
演劇に興味を持ったのは、小2の夏休みにNHK教育テレビで放送されていた子供が出演する舞台を観たのがきっかけだった。
舞台に立つ子供たちが楽しそうにしているのを見て、「僕も演劇をやってみたい!」と思った。ちょうど地域のおやこ劇場(子供の感性を豊かにすることを目的に、親子での演劇鑑賞などを企画する団体)で「演劇体験」ができると知り、それに参加することにした。

演劇の指導は、地元の劇団に所属していた劇団員のお姉さんが担当していた。お姉さんは当時30代前半くらいだったと勝手に思っているのだが、結局年齢は知らずじまいだ。

もうかなり昔のことなのであまり覚えていないのだが、初夏くらいに顔合わせをして、体を使ったワークショップや、メンバーと即興で演劇を作るエチュードなどをしながら、表現することに慣れていき、秋からひとつの脚本を稽古して、冬休みだか春休みだかのタイミングで発表会を行なうという流れだったと思う。
参加している子供たちは女の子がほとんどで、割と今でも男ばかりの集まりより、女子の集団の中に混ぜてもらってる方が気が楽なのはこのせいなのかもしれない。

ワークショップは結構楽しかった。決まった単語を盛り込むとか、シチュエーションだけ決めて、みんなでお話を作りあうのだ。即興で話を作ったり、架空のものについて想像を膨らますのが好きになったのは、このときの経験が多いに関係していると思う。

また、実際に発表するための稽古も、台詞を覚えて自分なりに動いてみる面白さがあった。小学5年生のときは主人公も演じた。結構出ずっぱりで台詞量も多く、クリスマスの時に、僕ともうひとりのヒロイン的な役の女の子と共に、お姉さんの劇団の稽古場で個別練習したことも覚えている。あのときは雪が降っていたはずだ。

この演劇企画が縁で、お姉さんが所属している劇団の本公演に子役として出演したこともある。他に何人か子役もいたが、基本的にはみんな大人の役者で、しかもかなりの人数が出演する作品だった。僕の出番は三時間近い公演の序盤と終盤だったので、その合間の出番がないときは子供たちや大人の役者さんとしゃべって過ごしていた。なんだか、不思議な時間だった。

この頃の経験は、おそらく今の自分を作る上でかなり大きな影響を与えてくれたと思う。

最後に。今回このnoteを書いたのは、演劇集団キャラメルボックスが活動休止を発表したからだ。演劇に夢中だったあの頃、僕の家のテレビでは、キャラメルボックスの舞台映像がケーブル局で毎晩放送されていて、食い入るように観たものだ。キャラメルボックスの舞台にはたまに、イマジナリー・フレンド的なキャラクターが登場することがある。『また逢おうと竜馬は言った』では主人公の妄想の中の坂本龍馬がいきいきと活躍するし、『さよならノーチラス号』に出てくる犬のサブリナは主人公にだけ人間の言葉で語りかける。こうした「想像の中だけの友達」というモチーフが僕にどれ程の影響を与えたのかは、最近の僕のnoteを読んでくれている方にはよく分かってもらえるだろう。

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