4月30日〜5月3日 第2巻 『密偵』
4月30日
連休突入前の最後の勤務日なので、割とバタバタとした雰囲気の職場。とりあえず今日済ませる予定のものは済ませておいて、残りは連休に回す。ちょっと厄介な案件だから頑張ってね、連休後の俺。
月末は終業時に終礼的なやつがあり、それのおかげで定時を大幅に過ぎての帰宅。お腹すいたけど20時になると閉まるお店がほとんどだから、結局家まで我慢。ほうれん草と豚肉の鍋にして、もりもり食べて早く寝てしまう。
5月1日
5連休1日目。天気が崩れるらしかったので、早めに買い物を済ませて、部屋掃除をちょっとばかりやる。とりあえず床掃除をひと通りやって、溜まったゴミを捨てたりしてたらちょこちょこっとやっていたらもう夕方だ。
録画していた映画の中から、アッバス・キアロスタミ監督『ホームワーク』を観る。イランのとある小学生の生徒たちやその親に、宿題についてインタビューした映像をまとめたドキュメンタリー。子供たちからの話を聞いているうちに、書き取り・暗記中心の教育が子供の負担になっていることや、親や家族も識字率が低いために宿題を見てやれないこと、親が体罰をしている家庭が多いことなどがどんどんと浮かび上がってくる。「罰って何か知ってる?」「ぶたれること」「ご褒美って知ってる?」「知らない」という会話が、複数人の生徒たちとの間で交わされる。また、当時の情勢の影響も根深く、学校の朝礼時に、子供たちに「フセインを殺せ!」と合唱させているシーンは衝撃的。ある子は「将来の夢はパイロットになってフセインを殺すこと」とまで言う(「大人になる前にフセインが死んだらどうするの?」と聞かれた時のあの表情!)。カメラ前で怯えて泣き出してしまうような子が、宗教詩を諳んじるよう言われて真顔でスラスラ暗唱するラストは、抑圧を受けながらももうすでに「この国の教育」が染み込んでしまっている子供の姿がごろっと目の前にむき出しで提示された感じがあり恐ろしかった。一方で、ちょっとインタビューの仕方が誘導尋問的というか、これはこれで撮影後に子供のケアとかちゃんとしてるの?と疑問に思う点もあり。
『コントが始まる』第3話。頑張って痛い目を見ると怖いから、頑張らないように適度に力を抜く、その切なさが有村架純の名演によって切々と語られて胸を掴まれる。僕はどっちかと言うと根っから楽したいタイプではあるのだが、周りの友人にはそういうことを感じているだろう人は何人か思い当たり、その悲しみがちゃんと言語化されて多くの人に染み入る声となって、しかも、その涙を「足を拭いた後のタオル」で拭うというチャーミングな着地があって、いい脚本にいいキャストで、どんどん登場人物のことが好きになる作品。これと「大豆田とわ子」が同じクールでやってるのは最高。面白い連続ドラマがあるだけで、日々は乗り切れてしまうなーという感じがある。
連休中に上野鈴本演芸場と浅草演芸ホールの寄席中継が決まったので、それについてオススメするツイキャスを30分だけやって寝る。
5月2日
本屋Titleへ。西村ツチカの挿絵原画展を覗いて、ナツノカモ『着物を脱いだ渡り鳥』を購入。本当は文学フリマで買おうと思っていたが、この情勢だと中止になる可能性もありそうなので……。
天気雨降ってきたので急いで撤収。一度家に帰ってからBOOKOFFへ、読み終わった文庫・新書を何冊か売る。
夜は『愛がなんだ』同時再生。映画館で見たきりほぼ2年ぶりだったけど、やっぱり面白い映画だなーと再確認。初見の人たちがマモちゃんにめっちゃ怒ってたのが面白かった。あんなクソ野郎をチャーミングなバランスで演じれる成田凌の素晴らしさよ。
そのあと、Twitterのスペースで西田さんと感想戦をやる。途中で通話が途切れたり、こっちがホストなのに部屋から追い出されたりしながら(あれって不具合なのかこっちがなんかミスってるのかわからん)、3時間半くらい。4時前に就寝。
5月3日
起きたら昼前。天気も安定してないっぽいので、一日中家の中でぼんやりしていた。
とりあえず終盤まで来ていた伊藤亜紗『手の倫理』は読み終えた。触覚をめぐる人の関わりをテーマに据えつつ、倫理・道徳、安全・信頼の違いや、触覚の生々しさによって自分の感情が否応なく動いてしまうことの面白さ・危うさなど、興味深い論点が多く、面白く読んだ。安全・信頼の話は『急に具合が悪くなる』とも通底してくる話だし、『トランスレーションズ展』で見たスポーツの翻訳についての解説もあり、気になっているところといい感じです響き合っている感じ。
鬼平は『密偵』。時間軸が『妖盗葵小僧』の合間だったりして、短編同士の時系列も複雑に絡み合ってきた。
密偵は鬼平犯科帳ならではのポジションで、一応火盗改の手下として働く正義側ではあるが、かつては盗人であったことによる薄暗さを常に纏っている。今回の主人公・弥市は夫婦睦まじく暮らし、将来的には密偵もやめて堅気として生きられる道も示される。しかし、かつて裏切った盗賊仲間に恨まれ殺されていく。悪の道から抜け出したのに、過去によって追い討ちをかけられてしまうやるせなさ。弥市に目をかけてきた同心・佐嶋が弥市の死を知る前に物語を終える、ビターで複雑な幕引きの仕方もいいな。
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