11月23日〜30日 第6巻 『狐火』
11月23日
朝、マクドナルドに行く。フィレオフィッシュの朝マックセットにしたら、レジの男性スタッフが奥でポテトを揚げている女性スタッフに「フィレオフィッシュの朝マックってどこで入力するんだっけ」と聞いていて結構手間取った上に、「店内で」と言ったのに持ち帰り用の袋に入れてご用意されてしまい、席に座って袋から出してもぐもぐとやる。
文学フリマに向かう途中で、神山くんとあやのさんから妙に腰が低い感じでおつかいを頼むメッセージが届いていて、代わりに買ってくるのはいいけど自分の予算がだいぶ不安だな……、と気が気でない。
昼前に会場に到着したらもう結構な列が外まで伸びていて、そこに並ぶ。待っている間に今日とりあえず買いたい物の確認。ちょっと、多すぎやしないかと不安になる。
無事に入場してまずはTwitter上の知人巡りということで、柿内さんのブースで最新刊2冊をゲット、続いてわかしょ文庫さんのZINEを買い、お隣の代わりに読む人のブースで友田さんとも少し話す。そこから自分が購入予定だったものも、神山くんあやのさんのおつかい分も無事に購入し、以前『よりぬきのん記』を献本していただいたスズキロクさんともご挨拶できた。
帰りの地下鉄、優先席に座っていたおじさんのガラケーが鳴った。おじさんは電話に出て、落ち着いたトーンで淡々と話し出した。
「今日は映画を見に行ってたんだよ。君も誘おうと思ったけど、電話が繋がらなかったからひとりで観に行った。アメリカの映画で、知っている俳優はひとりも出ていなかったけど、いい映画でねぇ、僕は生きていく勇気が湧いたよ」
電車内マナー的にはめちゃくちゃダメなのだが、とてもいい感じの発話で、聞き入ってしまった。通話相手に居場所を聞かれたおじさんは「今、電車の中だよ」と答えた。相手に注意されたのか、その後すぐに電話を切った。
『おげんさんといっしょ』は冒頭から「サザエさん」を歌い、ハッチポッチステーション・クインテットとのコラボ、松重豊との最新楽曲紹介にダンスコーナーなど盛り沢山で、ゆるさを極めて何でもありになっているのが素晴らしい。ハッチポッチステーションは小さい頃によく見ていて、ボヘミアン・ラプソディ風の「犬のおまわりさん」は懐かしすぎて大興奮だった。
夜は寝る前に軽く、文フリで買った本を紹介するツイキャスをやってから寝た。
11月24日
文フリを挟んで、普通に仕事があるのは大変だな。へとへとになって帰宅。
12月のANNPodcast土曜日はまんじゅう大帝国が担当らしい。楽しみ。落語のネタの話とかもするらしく、初回のテーマは「死神」とのこと。僕のポッドキャストの方が先取りしてしまった。
ゾンビトーク回に向けてDVDを3枚レンタル。収録までに観れるだろうか。
11月25日
あやのさんの家でのクリスマスパーティーの話で、みんなでダサいデザインのセーター着るのはどうだという話になったが、Amazonにあるダサセーターはどれも高い。あの手のセーターは「アグリーセーター」というらしく、「賛成セーター」ってなんて素晴らしいんだダサさすらも肯定していくなんて、とちょっと感動していたが、アグリーは「賛成」のagreeではなく「醜い」のuglyだった。Oh…
夜は友達と諸々の作戦会議。といっても途中から面白アイデア出し、みたいな感じだったので楽しかった。
11月26日
今日はMAXで仕事が忙しかった。もう一日中、情報を精査して並べ替えてみたいなのをやってて呆然。
イントロ出版『SIDE-B』を読み終える。メインコンテンツである3つの対談はそれぞれ独立していながらも、だいたい僕より一回り上くらいの世代から同世代くらいまでのサブカル感の変遷や、コンテンツやコミュニケーションについての問題意識などでうっすら響き合っている箇所もあって読み応えがあった。
『CURED キュアード』を途中まで見るも、あまりに眠くて中断。
11月27日
朝、『CURED キュアード』の続きを観る。「ソンビから回復した人間」という存在を用いて、立場の違う人間たちの対立や差別感情などについて色々な切り口から描いている作品だなぁという印象。詳しくはゾンビ回第4弾の収録にとっておくが、この作品の話だけでも結構なボリュームになる予感はある。
ふと思い立って東京ドームシティに出向き『片桐仁創作大百科展』へ。開場前だったので外に並んでいたら、その日はたまたま取材日で、片桐さんが登場。さらにその後エレキコミックのお二人も会場に現れ、全く不意打ちでエレ片3人が揃っているのを目の当たりにできてしまった。ラッキー。
展示はとにかく見応えあり。作品の点数が多く、それぞれ造形が細かい上に一つ一つに片桐さんのコメントがついているので、全部見て回るだけでも2時間弱かかる。日用品に粘土を盛ることでとにかく面白く魅力的になる代わりに、どんどん便利さから遠のいているのが最高だった。それから片桐さん自身による年表で知ったのだが、昔片桐さんが警備員としてバイトしていた病院が、いま僕の会社が毎年の健康診断で利用している病院と同じところだった。ラブホ街のど真ん中にある古い病院。
それから下北沢に移動。文庫を三省堂で買って、ボーナストラックのブックフェアを眺めてから、Fuzkueで読書に勤しむ。キーマカレーもチーズケーキも美味しい。阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』を読んでニコニコしてしまう。
11月28日
あまりに眠くて昼間は全く動けず。午後からちょっと散歩がてら、飯田橋の方に出て早稲田の方まで歩いてから帰ってくる。
柿内さんのネプリをプリントアウトしてセルフインタビューを読む。若林恵「だえん問答」的でもあるが、よりセルフインタビューという形式で遊んでいる感じがあり、わかしょさんの『ピコピコ』の流れでPRについて語った後、ポイエティークRADIOが略してPRであると表記される流れが巧すぎる。
夜は『マギー』を観た。シュワちゃん主演のゾンビものだが、肉弾的な展開はなく、終始抑えた雰囲気の作品。ゾンビ化して自我をなくすまでの期間を約2ヶ月と長めに設定したことで、難病ものドラマ的なストーリー展開も織り込んでいる。この作品や『キュアード』なんかを観ると、まだまだゾンビものもアイデア次第で色々やれるんだなぁと感心する。
11月29日
仕事は慌ただしく、雑な発注にイラッとしながらなんとかさばいて帰る。そこそこボリュームのある案件も投げ込まれてきて、面倒くさい気持ちがぬぐえず、ぐったり。
仕事帰りにランジャタイのANNPodcast最終回を聞いていた。まったく音声向きではないネタのため意味不明な奇声が流れ続け、それにツッコミつづけるウエストランド井口というカオスな回。もうひとりのゲストである西野七瀬がものすごく自然体で楽しそうにしているのが、余計にヘンテコなバランスでよかった。あとでTwitterにアップされていた幕間映像が、ちゃんとつまらなくて、それが面白い。何をやっているか音声では伝わらないのに映像より音声の方がかなり面白い、というこれは一体何なんだろうか。
11月30日
朝、早く目が覚めてしまったので、鬼平犯科帳を読み進める。今日は『狐火』。たしか、おまさ推しのあやのさんにとって、フェイバリット回のひとつだったはず。
幼い頃から思慕を寄せた平蔵と、かつて恋仲だった又太郎の間で心揺れるおまさ。まだ又太郎が大悪人に堕ちているような展開なら話は簡単なのだが、盗人のモラルを守る(盗人基準では)好人物だから難しい。狐火の名を語って残虐な急ぎ働きを行なう弟についても、まずは説き伏せて京へ連れ帰ることを試みるほどには、良心のある人物なのだ。
また、平蔵にとっても過去の恋愛の苦い記憶が甦る回になっている。この恋愛話は本筋と関係ないっちゃないのだが、又太郎の罪を見逃しおまさの揺れる想いを自ら断ち切ってやるという思いきった展開に持っていく上で、平蔵にうっすらと後ろ暗い部分を持たせたことで説得力が生まれる気がする。
悪行を働く偽狐火、それを追う又太郎一行、更にそれを見張る平蔵一行という、2重に追いかける構造になっていて、話の作りとしても面白い。
月末だったのでなんだか仕事の作業もへろへろ気味で、帰ってきてから柿内さんと打ち合わせ。柿内さんもなんとなく疲れている感じで、しかしながらとりあえず文フリの申し込みはその場で済ませてしまい、完全に外堀は埋まってしまった。柿内さんとのゾンビトークのZINE制作と共に、僕はこれまでに読んだ短歌から自選した歌集も作りたい。個人レベルの制作物は初めてすぎてどうなることやら全く検討がつかない。まだ文フリまで半年あるのにうっすら背水の陣的な気持ち。とりあえずゾンビZINEは何を置いても文字起こしだ、ということになったので、明日からは文字起こしと短歌の選定に時間を割こう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?