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251.中島誠之助ならこう言うね

以前、先輩と飲んでいた時、仕事の話になった。
先輩は最近、取引先から仕事の的確さを褒めてもらえることが増えたという。それは喜ばしいのだが、その一方で、バツグンの個性を評価されている同業者を見ると「私も自分のオンリーワンなところを褒めてもらいたい……」と悩むようになったらしい。
僕は内心「いや、人としてかなり面白い側ですよアナタ」と思っていたのだが、それを言っても本人に実感がなければ何の助けにもならんだろう。うーむ。別の方向性から考えてみた。

そりゃあ、個性や作家性が際立っているのはカッコいい。この人にしかないオンリーワンなセンスを見せつけられると、勝ち目がないと思う時はある。
ただ、そのセンスや個性、作家性と呼ばれるようなものは、人によって好みがある。「これはスゴイ!」と高く評価する人もいれば、「全然ピンとこない」という人もいるだろう。
逆に、仕事の的確さなど、個性に依らない事柄については、評価のブレが生じにくい。ということは、誰もが共通して認める「いい仕事」は、作家性よりも多くの人から褒められる可能性があるのではないか。「他の人でもできること」を殊更に褒められるということは、それだけ他の人よりも優秀なのだ。すごい。
「開運!なんでも鑑定団」の中島誠之助を思い出してみよう。彼は鑑定した品が名工の手によるものでなくても、丹精が込められた仕上がりに対しては「いい仕事してますね~」と褒めるじゃないか。才気あふれる名工でなくても、「いい仕事」をする者は称賛に値するのだ。

こういうことを思いつきで話した。先輩は「いいこと言うじゃん!」みたいな反応だった覚えがある。僕も「我ながらいいこと言うな~」と思った。
僕も自分の平々凡々なところにしょんぼりすることもあるのだが、せめて中島誠之助が褒めてくれるような「いい仕事」をしたいものだなぁ、と考えている。

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