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11月7日〜13日 第13巻 『墨つぼの孫八』

11月7日

文フリで短歌のおまけペーパーを出したいんだけど、あと3首というところで手が止まっている。未発表5首のうち、2首はできているんだけど、それと違うタイプのものを新しく作らないといけない縛りにより、なかなか良い感じのものができない。文フリまであと2週間。

仕事後、溜まっていた日記を書き終えて、『エルピス』を観る。長澤まさみ演じる浅川が正義を貫くべく危なっかしい単独行動に走っていて不穏。デカい挫折が待っているのでは…。
昨日のパチンコでもらった缶チューハイを飲んで就寝。

11月8日

目が覚めたらだいぶ朝が早くて、それから一日中眠い。

今日は両親が東京に来ていて、夜は父だけかつての職場仲間と食事会があるとのことで、母と合流して晩御飯を食べることになっていた。仕事後に池袋東武のレストラン階、洋食のお店へ入る。『雑談・オブ・ザ・デッド』『傑作』を一冊ずつ渡して、近況をあれこれ話す。今年の年末年始は帰省する予定、と伝える。

池袋駅で母とは解散。帰宅途中にスマホを見たら、双子のライオン堂とH.A.Bからそれぞれ友田とんさんの新刊が出るという告知が出ていた。代わりに読む人の本や雑誌やメルマガをやりつつ、あちこちの文フリにも参加し、他のところからも本を出す友田さんのバイタリティーのすごさ。また文フリで買うものが増えた。予算はいくらあれば足りるのか。

11月9日

今日も4時くらいに目が覚めてつらい。

12月の『岸辺露伴は動かない』のラインナップが出ていて、「ジャンケン小僧」の映像化が決定していて楽しみ。なんだか「実写版岸辺露伴またやるよ」と聞くともうすっかり年末だなぁという気持ちになる。

おまけペーパー用の短歌、1首増やせたと思ったけど、先にできている短歌と並べたら構成が近いところがあって、バランス悪いから結局外してしまった。なかなか先へ進めない。

ちょっとずつ読み進めていた『ゾンビ最強完全ガイド』を帰りの電車で読了。ぼんやりとした現地の伝承が次第に形を帯びてきて、様々な文脈を絡めながら、ホラー界のポップアイコン(しかし特定の人物ではない)になるまでを追っていて非常に読みごたえがあった。書籍内で言及されている面白そうなゾンビ映画の中に、日本未公開の作品も結構あって、僕らの目に触れているのはまだ「ゾンビ」という表象の一側面に過ぎないんだな、と思う。

11月10日

『空気階段の踊り場』、「もぐらが人の心に石を積む」という話の回を聴いて、芸人コンビの人生が刻まれたラジオという評判の予兆を感じる。

山本さんの新刊が宮崎智之さんとの共著で、本屋までの道筋を書いたエッセイ『言葉だけの地図』ということで面白そう。同じルートを2人がそれぞれ書くというのがいいコンセプト。『ぽてと元年』に続いて今回も宣伝用ゲームがあり、コインを集めて本屋で本をゲットする横スクロールアクションで、絶妙な難易度でついつい続けてやってしまうゲームバランスになっている。

11月11日

ここ数日、変な時間に目が覚めてしまうことが続いてしまい、二度寝しようと思ったができず。今日も絶不調。仕事がそこまで忙しくなかったのはまだ救い。渋谷で読書会の山本さんゲスト出演回などを聞きながら作業する。

今日は真山さんがバースデーで、そういえばポッキー&プリッツの日だなと思ったら、チュロスの日でもヤンヤンつけボーの話でもあるらしい。長い焼き菓子の日だ。真山さんが「自分のバースデーはみんなも美味しいものを食べてほしい」と言ってたので、夜は焼肉にした。

帰宅後、Twitterスペースで、文学フリマで何買うかをリストアップする配信をする。カタログを一通り見て、気になるブース番号をメモしていく。こうしておかないと見落としていただろう面白そうな本もちょこちょこある。それにしても、本当にかなりの予算が要るのではないかこれは。

11月12日

天気はいいが頭痛がひどくてまともに動けず。どうやら低気圧の影響っぽい。図書館で本を借りて、池袋まで出てあれこれ本を見たりしたけど、結局頭痛で辛いのですぐに帰ってきた。
その後、ブックオフへ行って本を7冊売る。1000円くらいになる。

11月13日

朝から渋谷。渋谷らくごの11時回「はやおきらくご」を観る。今日は雛菊さん、伸しんさん、らく兵さん、小はぜさんの4人。雛菊さん以外全員丸坊主のおじさんなのがちょっと面白かった。伸しんさん、なんだかユリオカ超特Qっぽい。声の大きさによって「試し酒」の下男が他の演者よりも明るく見えて楽しい。小はぜさん、写真から想像していた声質じゃなくて意外だった。もっと伸びやかな美声を想像していたが、実際はハスキー。淡々としたテンポでゆったり道具屋をやっていた。

昼にサクッと天下一品でラーメン食べてから、14時回も観る。トークゲストは玉袋筋太郎で、実物を見るとすらっとした佇まいでカッコいい。
伸べえさんは権助魚。全員滑舌もテンポも奇妙で、フレーズもちょいちょい奇妙。他のネタももっと色々見てみたい。紺屋高尾を稽古していた、と枕で話していたが、人情噺とかどうなっちゃうんだろうか。笑ニさんの抜け雀は、談笑師匠がかなりアレンジした型で、僕はかなり前に談笑師匠で聞いたことがある。抜け雀の「父親はなぜ止まり木じゃなく籠を描いたのか」という謎から、自由に生きたい息子vs御用絵師を継がせたい父親というテーマを引き出した形。談笑師匠に比べて笑二さんはスタンダートな古典落語の演じ方なのもあって、より自然に聴ける感じがある。めちゃくちゃ達者。
青森さん、AIのべりすとが作った落語が、古典のベタな出だしの「まぁまぁお上がり」のくだりを延々ループするという異様さ。AIが作ったようには正確に演じられないところに、人間で演じることの意味が生まれる。その後、AIと青森さんが手を入れたバージョンの手紙無筆に入ったのだが、これってこの前行った勉強会で「今後手を入れていきたいから一旦プレーンで演じます」と言っていたネタだ! まさか「今後手を入れる」が、AIとの共同作業だったとは。
トリは文蔵師匠。マクラからして「まさか!」と思ったら文七元結。佐野槌の女将さんが長兵衛の返事に対して全て冷静に対応しているのが、人間として一枚上手感がある。本当に演技が細やか。例えば、藤助が長兵衛の家に来たときに床を少し見ることで「足元が散らかって汚いんだな」という情報が言外に現れている。そういう仕草があちこちにあって、ものすごい情報量の高座。持ち時間30分のところを1時間やっていてそれはどうなんだと思いつつ、満足度はやはり高い。終演後のネタの並びを見たら、ガッツリ本格派の古典落語の会に見えて、実情と全く違うのが面白かった。

帰りの電車で鬼平を読む。おまさはかつて共に仕事をしたことのある盗賊・孫八と再会。孫八は近々、大きな盗みをやるようで、おまさにも手を貸してほしいと相談する、という話。孫八には家族が立て続けに病死し、13歳にして独り身になった過去があった。「自分もいつか病死するのかもしれない。そんなことになる前に、大胆な盗みをやって捕まり、死罪になった方がいい」と考えていた孫八だが、女との間に子供ができてしまい「自分が死ぬ前にせめて、子どもに金を残してやりたい」と思うようになる。もうシリーズの中盤まで読み進めると、「捨て身だった奴が了見を入れ替えて誰かのために働こうとすると、捕縛or死亡フラグ」というのは大体わかってきて、案の定、孫八も最後には卒中でころっと死んでしまう。途中、平蔵が好人物の孫八を気にいるくだりがあり、「もしかすると平蔵は孫八も密偵にするのでは……」と、別の明るい人生を示唆したところでさっと幕を引いてしまう辺りが池波イズム。

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