6月11日~16日 第3巻 『むかしの男』
6月11日
今日は出勤日。2日連続休み空けなので頭がぼんやりしている。仕事がそんなに忙しくなかったのが救い。
帰って金曜ロードショーの『グーニーズ』を観る。懸念していたスロースの件も、とりあえず変なカットの仕方はなくて安心。洞窟が崩れる中スロースがグーニーズを逃がすシーンで、フォロワーさんたちが「スロース……」ってなっているTLがよかった。グーニーズからはぐれているチャンクとスロースの友情エピソードのほうが結構好きなんですよね、僕は。あんなに食いしん坊なチャンクが、ピザの入った箱を盾にしてスロースをかばうシーンとかめっちゃいい。
6月12日
いい感じで晴れているので、今日はお出かけデーだと決め込む。
表参道の太田記念美術館へ行く。前回来た時の満足度が高かったので、プログラム切り替わるごとになるべく通いたいなという気持ち。今回は『鏑木清方と鰭崎英朋』展で、明治・大正期に文芸誌などを飾った口絵の特集。前回の『江戸の敗者』とは異なり、繊細なタッチの美人絵が多い。時々、ドキッとするような表情の絵もある。鏑木清方は今回初めて名前を聞いたのだが、三遊亭円朝の有名な肖像画を描いた人だと知って驚いた。
渋谷まで歩き、田園都市線に乗って駒沢大学駅へ降りる。この駅で降りたのは初めてかも。キャンパス前を横切りぶらぶらと歩いて、前から気になっていたSNOW SHOVELING へたどり着く。建物の裏の階段を上がってドアを開くと、おしゃれな空間が現れて「おぉっ!」と気圧され気味だったが、本棚を眺めている内に、なんとなく場とチューニングが合ってきた感じがあった。洋服の裏側にちょっと隠されているような感じで無造作に立てかけてあった、高野文子『ドミトリーともきんす』を手に取ったら、その後ろから『母と子でみるアウシュビッツ』の古本が現れてぎょっとした。開いてみると「母と子でみる」にしてはかなり生々しい写真と細かな解説が書いてあり、何か所か、前の持ち主によるものだろう星印やマーカーの書き込みがある。前の持ち主は、母と子で読んだのだろうか。『母と子でみるアウシュビッツ』は買わず、『ドミトリーともきんす』を買った。こちらは、”母と子でみる”科学談義という印象の漫画。店頭には色々と古雑誌があって、画像でしか見たことがなかった『ホール・アース・カタログ』の実物があったので、お店の人とそれについてちょっと話したりした。
駒沢オリンピック公園内をてくてく歩く。ランナーが結構いて、子どもたちが遊んでたりして、もうすっかり夏じゃん!と思った。
前から気になっていたお店その2であるブルックリンリボンフライでランチ。昨年のChillCityで出店していたときに食べた、ジンジャーキャロットスープが美味しかったので、店舗に来てみたかったのだ。チーズバーガーとお店名物であうリボン状のポテトフライのセットを食べて、ジンジャーエールを飲んでごきげんである。ジンジャーシロップがこの店もうひとつのこだわりなので、とにかくジンジャーエールが美味い。持ち帰りでジンジャーシロップを買ってほくほく。
まだ明るいし全然歩きたいな、と思ったので、駒沢大学から渋谷まで国道に沿って歩く。途中、BOOKOFFが2軒あって、それぞれ立ち寄る。ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』を買った。
家に帰ってドラマ。『ひきこもり先生』は若干脚本の粗さが目立つものの、佐藤二朗がマジメモードかつ主演でがっつり力量を見せつけてくれて、その演技に泣かされてしまった。
6月13日
今日は自宅でゆっくり過ごす日に決めた。
とりあえず録画していた坂元裕二脚本の舞台『またここか』を観る。4人だけのミニマムな登場人物で、TVドラマではやりにくそうなハードめな設定が展開され、ぐいぐい引き込まれる。『それでも、生きてゆく』『スイッチ』などでも描かれた犯罪を犯す側/引き留める側の対峙。あるいは、『花束みたいな恋をした』『大豆田とわ子と三人の元夫』と同じく、「あり得たかもしれない/起こらなかった時間」の描写など過去作とのリンクも多く、シチュエーションを変えながらもずっと同じことについて考え続けている作家、という印象が深まった。常に請負仕事であるだろうドラマ脚本を主軸に活動しながら、こんなに一貫した作家性を徹底できているのってめちゃくちゃ稀有な存在だな。キャストでは『スイッチ』でもクズ男だった岡部たかしが、今作でもダメ兄貴を絶妙なヤダみもありつつ好演していて、ダメ野郎が振り絞った救いの一手に得も言われぬ感動があった。それにしても岡部たかしとマキタスポーツは本当に顔が似ているので、双子のおじさん役とかでドラマやってほしい。
昼の買い物を済ませて、さらに録画していた『三大怪獣 地球最大の決戦』を観る。過去シリーズを見ていないから、モスラの小美人が普通にテレビ出演していて、「どういう世界観?」と戸惑いつつの鑑賞。正直、人間ドラマパートはそんなにいらないなと思う。特に、海外の王女周りの敵勢力の暗躍とか要るか……? 一方、怪獣たちの戦いは楽しい。ラドンがつついたりゴジラが尻尾で叩いたり、岩をぶつけあったりするのが、なんだかユーモラスで「可愛い…」となる。小美人が怪獣の言葉を訳す場面で、特に表情が変わっているわけではないのに、アテレコと動きによってゴジラがちゃんとふてくされているように見えるのも楽しい。
昨日買ったジンジャーシロップと午後の紅茶ミルクティーを混ぜて即席チャイを作る。美味しいけど、午後の紅茶は甘さが強い分、そこまでジンジャーやスパイスの味が際立ってないように思う。やっぱり紅茶も自分で淹れた方がいいかも。
6月14日
仕事日。そんなに忙しくなかったので、会社のブログを書く。といっても、もう書くこと思いつかないなぁ、と毎回なっているので、今回もほとんどどうしようかな~、とネットサーフィンしている時間がほとんどだった。
帰って、先輩とLINE飲み。ちょうど今日はジンジャーシロップを使ったシャンディガフを試したかったのでナイスタイミングだった。ドラマの話や仕事の話や最近見かけた日常の面白いワンシーンなどを、あれこれ話す。
6月15日
仕事はお休み。なかなか起き上がれず、眠たいなーと思いながら『ドミトリーともきんす』を読み終えた。すっきりとした、それでいてデザインとして美しい誌面で描かれた、楽しい読書案内。作中で取り上げられている4人の科学者については、それぞれ平凡社スタンダードブックスの随筆集を持っていて、相変わらず積みっぱなしなので、読んでいかねばなと思う。
部屋で寝っぱなしなのもどうかと思い、昼間から軽く散歩をして、雲行きが悪くなって帰ってきたら、山本ぽてとさんからクーチェキの原稿が届く。すぐ読み、すぐ赤字を入れて、すぐに掲載の準備をして、その日のうちに公開した。自分が書くよりも、赤字を入れたり表現を検討したりする時間の方が好きかもしれん。山本さんの文章は毎度のことながら抜群で、しかも最後に「おぉ!」っとなる後日譚までついていた。これ載せるの、僕が趣味でやってるnoteでいいの?とすら思う。
『大豆田とわ子と三人の元夫』最終回。一見ラブコメ的な話のように始めながら、とわ子も三人の元夫も第一部に出てきた三人の女性も、誰かとカップルになったり結婚したりせず、それぞれがそれぞれの暮らしを楽しくやっているという着地なのがよかった。寂しいときもあるけれど、自分を好きになれればひとりでも生きていけるし、でもそれは別にたったひとりで生きていくわけではないんだよね、という案配。この先、主要登場人物全員に対して「あの人、今頃何しているかな」と時々考えてしまうだろう、そういう作品だった。
6月16日
雨の音がうるさくて目が覚めた。
今日は出勤日。原稿修正の発注がかなり雑で、ちょっとイラッとする。仕上がりのクオリティは発注のクオリティですよ。
マルエツ&Tポイントのクーポンが新しくなって、今月後半は豆腐・厚揚げを買うとTポイントがもらえる期間に入った。というわけで、普段の買い物で買ったことがない厚揚げを購入。ポイントGETを最優先にした買い物ってめちゃくちゃシステムの奴隷なんだけど、むしろこのクーポンが無ければ手を出さない食べ物を買うきっかけになっていて、以前よりは生活が豊かになっているかも。
帰ってから、本を読む日にしようと思って、まずは読みかけだったブレイディみかこ『女たちのポリティクス』を読了。女性政治家をテーマに、ここ2、3年の世界情勢を振り返る内容になったので、「あー、あれってそういう背景だったのか」と今更理解したり、政治の場でナショナリストがフェミニズムを利用して支持を集めようとする「フェモナショナリズム」など勉強になることが多い。と言っても僕は政治についてもジェンダー・フェミニズムや、人種にまつわる問題も、全方位的に勉強が足りてないので、これからまた色々読まなければいけない。
鬼平犯科帳第三巻も読了。やっと平蔵の旅が終わったと思ったら、今回の『むかしの男』は平蔵不在の間に江戸で巻き起こる事件の話。ここは語りしろがあるなというところには隙間なく物語を詰め込んでいく池波のシリーズ構成力よ。平蔵の妻・久栄の「むかしの男」近藤との対峙、養女・お順の誘拐を平蔵不在の中で解決しなければならない、という緊迫感が読み応えになっている。特に、久栄に頼まれ慣れない尾行を成し遂げた奉公人・鶴造が働きを褒められて思わず泣いてしまう場面がいい。これ、ドラマ版だと、朗らかな雰囲気だった久栄がトラウマ男に脅されるのがものすごくしんどかったのだけど、ラストの平蔵がカッコいいのでだいぶ救われたんだよな…。
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