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6月4日~9日 第20巻 『助太刀』

6月4日

出かけようと思ったが結局家でダラダラしてしまい、ぼんやりしていたら1日が終わる。録画していた『僕達急行 A列車で行こう』を観る。ひょんなことから出会った鉄道オタクの二人が電車に乗って楽しく遊んだり、仕事で協力しあったりというのんびりと牧歌的な話。次々と眼鏡を掛け替える場面やどこかから突然出てくるコーヒーなど、ところどころ小ネタが入っていて不思議なバランス。社長としてある程度偉い地位を築いたものの、実は趣味の合う友人がいなくて寂し想いをしていたピエール瀧のキャラが、少し切なさもあっていい。映画を観た後は『森田芳光全映画』も読んで、撮影の裏話がおかしくて笑いつつ読む。

6月5日

あれこれ仕事をして、帰宅後は録画していた『日曜日の夜ぐらいは…』最新話を観た。作中に出てくるカフェのひとつが、たぶん渋谷から代官山方面へ歩く時に前を通りがかるところで見覚えがある。作品と自分の生活が地続きな感触。名言連発キャラというか、感情の言語化が上手な人物として描かれていたわぶちゃんだが、小学生の頃の詩のエピソードにも繋がっていてとてもいい脚本だなぁ。

6月6日

あれこれ仕事をして、帰宅後は録画していた『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を観た(ここまで前日と同じフォーマット)。とある過失をきっかけにして、不条理な方法で償いを迫られる男とその家族の話。とにかくカメラワークがいい意味で気色悪い。誰かが見つめているかのような、あるいは知らないうちに何かが進行しているかのようなズームイン・ズームアウト、フレームの切り方が、見ているだけでも居心地の悪い違和感。倫理の思考実験にそのまま巻き込まれた者たちもイヤなところがあらわになった末に、絵面としては馬鹿馬鹿しくも、非常に残酷な場面に立ち会わされる。ちょっと『ファニーゲーム』っぽさも感じた。

6月7日

あれこれ仕事をして、合間に群像を全て読み切ってしまう。新人賞作品とその選評をセットで読むと、選考の温度感も垣間見えて面白い。

会社帰りに『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』。ルーヴルに加えて日本パートもロケーションが美しく、スケールアップを感じる。特にルーヴルで撮影したシーンは、やっぱり画面の品格がかなり上がる。モナリザ前の会話シーンとか。予告編に出ていない意外な要素も見応えあった。リアルな職員っぽい演技に徹して作品の説得力に貢献していた美波の演技、菊池成孔の音楽もいい。一方、これはNHKが制作に絡んでるからか、もう少し人が死ぬショッキングなシーンはちゃんと描写してほしいな、と思う箇所もちらほら。

6月8日

仕事の件で久々にかなり怒ってしまった。ちょうど読んでいた『三酒三様』で、「たくさん食べてたくさん飲む人は怒っている」というフレーズが出てきたので、それに従い、日高屋の焼鳥業態で、ビールを飲み、焼鳥を食う。
『三酒三様』も一日で読み終えた。僕は飲み会においてそこまでお店に頓着しないタイプではあるけれど、しかしやはり、「誰かとあの店で飲みたい」と思えるような店があるのはいいなぁ、と思う。ちょうど今朝「今年に入ってから居酒屋の倒産が急増している」というネットニュースを読み、それはコロナが5類に入ってからもそれほど客足が戻らず、しかし公的支援が次々と打ち切られていることが背景にあるらしいのだけど、『三酒三様』で書かれているような酒場の風景も危うい局面にあるのかもしれないと思うと、いろんなお店に行ってみたい気持ちになる。

帰宅後、わかしょ文庫さんの連載『美しきもの見し人』第2回を読んだら、初回にも増して文章の異様さが増していてヤバい。代わりに読む人のメルマガで書いていた相撲連載は、まだファンとしての立場に留まって相撲取りを見つめていたわかしょさんだが、『美しきもの見し人』では異様な物/者によって徐々に自分が揺るがされ変容してしまうことへの躊躇が薄れつつある気がする。

夜、菜漓さんたちのスペースに途中から参加。前に少し話した他の発言者の方とも改めて挨拶して、相互フォローにもなった。たくさん喋って、かなり夜更かししたけど気持ちはだいぶ安らいだ。

6月9日

実写版『鬼平犯科帳』新シリーズのキャストやエピソードの情報が発表されていた。吉右衛門版で柄本明が演じていた小野十蔵を、新シリーズでは柄本時生が演じるという、親子で同役のキャスティングが嬉しい。Twitterではあやのさんが「暗剣白梅香も実写化して!」と朝から元気。

仕事して、帰宅後に鬼平を読む。かつて同じ道場に通っていた剣客・横川甚助が女性と揉めているのを見かけた平蔵。どうやら甚助は先ほどの女性・お峰から母を殺した仇を討つよう頼まれて、引き受けたのにも関わらず、強そうな相手の姿を見て逃げ腰らしい。お峰は敵討ちを引き受けてもらった代わりに肌身を許したり金を渡したりと尽くしたのに、裏切ろうとしている甚助に怒り心頭だったのだ。わけを聞いた平蔵は、甚助に敵討ちを果たすよう脅しつけて……、という話。今回は盗人などの犯罪性がなく、甚助のみっともない様子を平蔵が終始面白がっているという、コミカルな回。敵討ちの相手が実は……というちょっと肩透かしなネタ晴らしや、甚助とお峰がくっついて平蔵が苦笑するというオチもあり、息抜き的なエピソード。

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