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7月24日~27日 第23巻 『隠し子』

7月24日

柿内さんの日記を読んだら柿内さんも、神田伯山「中村仲蔵」を観ていた。

神田伯山「中村仲蔵」の映像を見る。こいつはすごいや。老いた常連の台詞のいちいちに泣ける。観客の矜持。演者の才覚が血を覆す話であるようで、じつはどんな工夫もそれを受け取るものがいなければどうにもならないという話であり、なにより観客讃歌であった。

老いた観客は長年観るうちに「弁当幕なんてこんなもんだ」と思っていたのが、仲蔵の工夫を見て目を覚まさせられる。新たな工夫をフレッシュに感知し、それを次の、新たな観客になり得る者たちに広げていくこと。そして、演者にたった一声でも「届いているよ」と伝えること。演者側だけでなく、観客側にも躍動がなければ、文化に変化は起こらない。

Twitterは、PCブラウザ版ではもうXになっている。このまんま崩壊へ向かっていくのだろうか。僕は社会人になってからの交友の広がりをかなりTwitterに助けられたので、これから先、どこへ行けばいいのだろうか。溜まっていた日記を書いて就寝。

7月25日

新しく部署に後輩が入ってくる予定で、その準備を仕事の合間にする。僕は実務的な部分を指導するので、原稿修正の練習問題を準備したり。4人体制になったらどうなるのかしら、とそわそわしている。

帰宅後は「VIVANT」の2話。ロケーションの良さは健在。話のスケールが大きく、風呂敷がでかすぎて、これをどう畳むのかというより、畳めるようなものなのかよくわかんないなぁ、と思いながら見てる。若干脚本とか演出のノリが合わない箇所もあるしなぁ。ハリウッドリメイクするなら堺雅人と阿部寛は、オーウェン・ウィルソンとジョージ・クルーニーかな、などと考える。

7月26日

ポケモンスリープのアプリが途中で接続きれてたみたいでポケモンを捕まえられず。しょんぼり。

OLさんがテレビの短歌番組で投稿歌が紹介されたらしくめでたい。新聞や雑誌に載った時の喜びを僕も少し思い出した。最近は全然投稿していないし、ちゃんと短歌を作れていない。どうにかポエジーと詠む体力を再構築せねば。

会社帰りに散髪を済ませて、書店で柚木麻子の100分de名著「林芙美子 放浪記」を買った。これ、面白そうだし観ようかなと思っていたのに、今月が放送月だと忘れていてすっかり見逃したので、テキストだけ読むことにして、第1章を読んだらしっかり面白い。「放浪記」には「森光子が舞台をやってるやつ」というくらいの印象しかなかったから、そもそも日記文学だとも知らなかったのだった。

7月27日

朝から自分のことでない、人のことので非常に怒りがあって、というか、がっくしきてしまって、一日その波が来たり去ったりの中で仕事をした。帰りに気晴らしでビールを飲もうと、日高屋の焼鳥業態で晩御飯。串をもりもり食う。ビールは中ジョッキ一杯でちゃんと酔う。

帰宅後、鬼平を読んだ。平蔵は、かつて長谷川家に仕えていた久六から衝撃の事実を伝えられる。なんと、平蔵の亡き父・宣雄には隠し子がいたというのだ。シリーズも終盤に差し掛かってきたところで、なんと父の隠し子が登場の急展開。平蔵の腹違いの妹であるお園は今年30歳。女手一つで小さな居酒屋を切り盛りしているのだが、町の顔役から目を付けられ、とうとう襲われたところを平蔵が救い出す話。お園は男の客相手にも気が強く毒舌を吐くようなキャラクターで、これまでの鬼平シリーズにもあまり出てこなかったタイプの気丈さもあるのだけど、この後の長篇にもかかわってくるのだろうか……。

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