27クラブ脱退ヘッダ

005. 子どもが描く防火ポスターの味わい深さについて

これはなかなか他人からの同意を得られないのだが、僕は「子どもが描く防火ポスター」に得も言われぬ魅力を感じている。

防火ポスターというのは、「火の用心」などの標語と共に、火災防止をアピールするイラストが添えてあるポスターのこと。大体の人は小・中学生の頃に夏休みの課題とかで描いたことがあるんじゃないかと思う(僕は小学生の頃に一度描いた覚えがある)。

僕はあれを見るのが結構好きだ。というと、「もしかして放火願望があるの…?」と怪しまれそうだが、そういうわけではない。僕が「子どもが描く防火ポスター」に感じているのは、簡潔にいうならば「子どもが持てる画力の全てを使って恐怖を描いていること」の面白さだ。

子どもの頃に描く、あるいは学校で描かされる絵の題材は多くの場合、楽しかったことや、きれいな風景といった類のものだろう。恐ろしい光景や恐怖におびえる人々を描くことはあまりない。
ところが、防火ポスターとなると話は別だ。
「防火意識を高めるイラスト」という課題を、「火災の恐怖を描けば、防火意識が生まれる」と解釈した子どもたちは、「燃え盛る家」「街を焼きつくす炎」といった恐ろしいイメージを頑張って描くことになる。学校の課題だったりするから結構真剣に描く。マジメに「恐怖のイメージ」を描きつつ、しかし子どもなりの画力なので拙さもしっかり残るこのアンバランスさこそが、「子どもが描く防火ポスター」の味わい深さなのだ、と僕は思っている。
あと、かなりの確率で炎に悪い顔が描きこまれている感じも好き。


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