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151.飲食店のメニュー名について書いていたはずが、途中からなに書いてるのかよくわからなくなった文章

松屋で「ごろごろチキンのバターチキンカレー」を食べたら、あまりの美味しさに驚いた。
もっと驚いたのは、メニューの中に2回も「チキン」が出てくることだ。冷静に考えれば、前半のチキンは具である鶏肉を指し、後半のチキンはカレーの味付けにチキンが使われていることを示しているのだとわかる。しかし、一文の中で同じ単語が重複すると、どうしても「頭痛が痛い」「馬から落馬する」と同様の違和感を感じてしまうのだ。
どちらか片方のチキンを省略できればいいのだが、「バターカレー」だと味のイメージがぼんやりしてしまうし、いきなり「ごろごろの」と言われても困ってしまうだろう。うーむ、このままの名前で行くしかないか。食券制だから商品名を口にすることもないしね。

飲食店の商品名で一番びっくりしたのは、牛角で販売されていた「カルビ専用ごはん専用カルビ」だ。これはネットやラジオ番組でも取り上げられていたので知っている方も多いと思うが、僕も店頭でこの名前を初めて見たときの衝撃は忘れられない。「ネーミングの袋小路だ」と呟いた覚えがある。カルビだからまだ良かったが、「えんがわ専用酢飯」「えんがわ専用酢飯専用えんがわ」とかだとかなりカオスだ。

飲食物に関して「専用」というワードがちょっと強いのかな。
でも、缶コーヒー「ワンダ モーニングショット」は「朝専用缶コーヒー」を謳っているが、そんなに違和感を感じない。「ビジネスマンの目覚めをシャキッとさせる」という機能性をイメージさせる文言だからだろう。
違和感が出てくるのは「この食材専用の◯◯」というネーミングのときだ。食というのは、調味料の分量や素材の種類を自分なりに調整できるものなので、それに対して「専用」というワードの親和性が低いのではなかろうか。

食材専用ということで挙げるならば、「タレ」が気になる。
例えば「納豆のタレ」だ。納豆を最も美味しく味わってもらいたい。そのために納豆業者は専用のタレを開発し、あの味にたどり着いた。すごいぞ、納豆業者。涙ぐましい企業努力だ。
しかし、専用には専用であることの悲しさがある。
第一に納豆は、タレ以外の調味料でも美味しく食べられる。醤油でいい。納豆も醤油も原材料は同じ大豆なんだから、相性が良くて当たり前だ。
一方、納豆専用のタレはどうも分が悪い。常に余りもの扱いだ。一応インターネット上にはアレンジレシピもあるが、あの小さな1袋で納豆以外の料理にどれだけ味わいを加えられるか甚だ疑問である。
ここはやはり、「納豆のタレ専用納豆」の登場が待たれる。醤油では全然ダメで、タレでしか美味しく食べられない納豆。専用であることの悲しみは、より細分化された専用によってしか払拭されないのだ。

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