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6月15日~19日 第21巻 『泣き男』

6月15日

昨日22時過ぎまでしっかり飲んでいたのに、柿内さんは翌朝に1600字の日記を更新していた。驚異。昨日のやり取りについてツイートしたら、武塙さんから「記憶力がすごい」とリプライが来たが、僕はアルコールがほぼ入っていなかったのだから、そりゃそうだった。

仕事についていくつか面倒なことがありそう、という話があり、なんだかうっすら気が重い。こっちが先回りして気を遣った仕事をすると、そこまで相手が思い及んでなかった場合に、そのギャップ差に対して「こっちはこんなに頑張ったのに!」ともやもや感が出てしまうから、あんまり先回りせず最低限で済ますスタンスにしたほうがいい、という指導を受ける。

6月16日

晴れていたから洗濯物を干したのに、この後、天気が崩れるという予報。帰ったら洗濯しなおしたほうがいいのかしら、と思ったけど、帰宅したら全然濡れてなかったのでそのまま取り込んだ。

今日は「代わりに読む人」創刊号の告知も出ていて、今回も目次の時点で充実度の高さが感じられて楽しみ。

夜は溜まっていた日記を更新して、その間に日付が変わる。

6月17日

5年ぶりぐらいに歯医者。最近、歯の汚れが目立ってきて「これは虫歯なのでは?」と気になっていたので、家から歩いて数分のところに初診で予約を取ったのだった。説明や対応が丁寧だし、あまり待たされずにスムーズに終わったので、ここにしてとりあえずは正解だな、と思う。虫歯かな、と思っていた個所は、過去の詰め物が劣化によって変色していただけらしい。ちょっと補修して目立たなくする処置を次回にすることになった。口の中をきれいにしてもらって、歯がつるつるしている。その後、礼服をクリーニングに出して、散髪にも行って、午前中に細々とした予定を終わらせた。

午後からは思いつきで早稲田演劇博物館の「推し活!展」。観客・ファン文化での「推し活」を歴史的な視座から紹介する展示。烏亭焉馬が団十郎推しだったので、代々の団十郎の襲名や追善のタイミングで、贔屓連による狂歌・俳諧の本を出していたと紹介されていて、「推し作品で短歌詠む僕のフォロワーと同じじゃん…」となった。江戸時代には贔屓の歌舞伎役者の家紋を身に付けるのが流行っていたというのも、現在なら例えば好きなアイドルのメンバーカラーを身に付ける人もいるわけで、推しへの表現はこの時期からずっと続いていたのだなぁ、と思う。様々なファンクラブの会報誌の展示の中に、男はつらいよファンの会報誌もあって、高校生の男の子が友達に寅さんを布教した、と報告文を書いていた。

古書ソオダ水で古本を買って、三鷹の方に出る。りんてん舎と、水中書店を観て、散歩がてら吉祥寺方面へ出て、少しウロウロしてから帰宅。

夜はだらだらYouTubeとか観てたらうっかり夜更かし。

6月18日

今日は朝から遠出。長いこと電車に乗って町田まで行く。「群像」を読むのが捗る。町田市民文学館で「今日マチ子「わたしの#stayhome日記」2020-2023展」を観た。コロナ禍で1日1枚街の風景や生活を描いたシリーズを中心にした個展。がらんとした街並みや、その中で静かに行きかう人たち、ソーシャルディスタンスを強いる社会の中で再発見される十代の子たちの距離の近さ、世界をそっと見守るような天使、マスクを外して花の匂いを嗅ぐ瞬間。その絵の傍らにはその年・その月に起こったコロナ関連の出来事も併記されていて、3年という時間の長さと体感の短さを改めて感じる。

町田市民文学館を出てしばらく歩き、急な坂道を下ると、国際版画美術館。「出来事との距離 -描かれたニュース・戦争・日常」展を観る。戦争や事件などを描いた作品をテーマにした展示。戦争の騒乱とえげつなさを描いたゴヤのエッチングや、ひねった表現とインパクトで事件や戦争を伝えた浮世絵、更には現代の若手作家の作品もあって、思っていたよりも規模大きめの展示で面白かった。浜田知明、石井茂雄の作品が異様なインパクトがあって印象的。

帰宅後、『日曜の夜ぐらいは…』を観る。前半、サチから仲間みんなへそれぞれメッセージを送る展開があり、「これはもしかして大変な事になる前触れなのでは…」と不安がよぎったが、とりあえず現時点では大事件は起こらず、このまま頼むから幸せな着地に行ってほしいところ。『だが、情熱はある』、若林と父親との最後のシーンが、神保町ブックセンターだ!

6月19日

仕事が立て込んできて、次々と対応していたらすぐ一日が終わろうとしていた。最近は暴食気味で、帰宅後ばくばく食べてしまって反省。家にあればある分だけ食べちゃうのやめたい。

鬼平を読む。勘定方に引き戻された細川峯太郎がまたもや登場。妻がいるのに他の女への未練が断ち切れず、そのみっともないふるまいから探索方を外れてしまったわけだが、それでもこんな風に再登場するのは、池波の中で割とお気に入りのキャラなのかも。
非番の日、勘定方に戻されて悔しさを募らせる細川は、ぶつかった浪人者に腹立ちまぎれに喚き散らすも、あっけなく地面にたたきつけられ、顔に痰を吐きかけられてこてんぱん。あまりの情けなさに、あちこち宛もなく歩き回っていた細川は、先ほど自分を投げた浪人者が、座頭・辰の市と何やら話しているのを見かける。辰の市は按摩として組屋敷を出入りしているので、細川もよく見知っているのだがどうもおかしい。盲人のはずの辰の市の目がしっかり見開かれているのだ……という話。実は辰の市は元泥棒で、足を洗って夫婦で真面目に暮らしていたところを、浪人者・青木に盗みを手伝うように脅されていた、という展開になっていくのだけど、やっぱり細川が物語の軸。浪人に倒されては泣き、平蔵に細かいところで嘘をついたのをたしなめられて泣き、道場で剣術の修行に行くもあまりのハードさに泣き、全編通してみっともない。みじめさと悔しさで胸をいっぱいにして涙ぐむ様子を見て、平蔵は細川を探索方に戻してやる。シリーズも残すところあとわずかなんだけど、一度くらいかっこいいところを見せてくれ、細川……。

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