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222.ICレコーダーで音を聴くこと、私という拡張子、ノイズキャンセリングについてのメモ

iPodが壊れて以来、僕は過去の仕事で使っていたICレコーダーに楽曲のmp3をぶちこんで、音楽プレーヤーとして使っている。

たまに間違えて「音楽を聴く」ではなく、「録音」のボタンを押してしまうことがある。すると、今まさに僕の周りで鳴っている音が集音マイク→イヤホンを通して僕の耳に入ってくる。車が走る音、人の足音と話し声、風が吹く音……。僕が直に耳で聴いて認識しているよりもたくさんの音が、僕の周りで鳴っていることに気付かされる。
人間は無意識のうちに自分の聞きたい音以外をノイズキャンセリングしている、というのはよく言われていることだが、実際に「聞き逃している音」を聞く体験は、新鮮で面白いものだ。

例えば現実が拡張子「.現実」のついたデータだとして、それはあまりにも情報が多すぎて、そのまま受け取ることはできない。各自が拡張子「.Ryota」とか拡張子「.○○(あなたの名前)」みたいな感じで、ファイル変換して受け取る。その際に、それぞれがノイズだと感じてしまう部分はキャンセリングされる。現実はダウンサイズされて、それぞれの拡張子に合わせたデータになる。
そして、「現実.Ryota」と「現実.○○」は同じファイル名だけど、違うデータだ。もちろん一致している部分もあるか、片方は受け取れている情報をもう片方はノイズとしてキャンセリングしているかもしれない。

僕が感じているもののうち、あなたがキャンセリングしているものは何か。逆に、あなたが感じているもののうち、僕がキャンセリングしているものは何か。あるいは、僕とあなたが同じように感じているのはどの部分で、それが「同じように感じられている」とどうやったら確かめられるのか。あるいは、確かめられないから、信じるしかないのか。

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