見出し画像

066.好きな語感の話

語感というか、単語の音の響きのことに、ふと思いを馳せてしまうことがある。高校の頃から短歌を作っていたからというのもあるし、語感をいじるネタをよくやるラーメンズが好きで結構見ていた影響もあると思う。宮沢章夫さんのエッセイの中でスポーツという言葉について「よくよく考えてみるに、なんと間の抜けた響きの言葉だろうと私はあきれる。「ポー」がいけないよ。」という文があるが、僕も同じようなことをよく考える。「ステルスマーケティング」は他の部分はシュッとしてるのに「マー」のところだけダサいな、とか。あと、「ハラスメント」はどうしても「ハラス」の部分で鮭の焼きハラスが脳内をよぎってしまうので何か別の悪そうな響きに変えてほしいな、とか。あと「コンクラーベ」は「根比べ」っぽいので、教皇を決める我慢大会みたいな絵を思い浮かべてしまうな、とか。

冷たいジャガイモのスープ「ビシソワーズ」はたぶん人生で一度も飲んだことないけど、名前の語感は大好き。「ビシ」と厳しい音がきてからの「ソワーズ」の語感の優しさ、という緩急が気に入っている。「ビシ」の鞭のあとにくる「ソワーズ」の飴感。まぁ、飴じゃなくてスープだけど。
それから「フジパン本仕込み」も結構好き。「フジ」「仕込み」の「ジ」という締まった感じの音に挟まれる「パン」「本」の跳ねる感じの響きがよい。

最近友達から教えてもらって興奮したのは、中国に住むヤギとヒツジの間のような見た目の生き物「スーチョワンバーラル」。「スーチョ」の可愛らしさのあとにくる「ワンバーラル」の堂々とした響きの良さ。必殺技っぽさもある。「出た〜!得意の必殺技、スーチョワンバぁぁぁぁぁあああああラルぅぅぅぅぅっ!」って、プロレスの実況とかで言って欲しい。

こういうことをいろんな単語で考えてしまうので、人の話もまともに聞けないし、本を読むのも遅くなってしまうのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?