見出し画像

094.歌舞伎鑑賞教室に行ってきた!

友達の朝胡さんからお誘いを受けて、国立劇場で開催されている「歌舞伎鑑賞教室」に行ってきた。
「歌舞伎のみかた」と題した解説コーナーと、代表的な演目や名場面の公演がセットになった初心者向けの企画だ。歌舞伎には以前から興味はあったが、生で見るのは初めて。

劇場に着くともうすでに結構な数のお客さんが。課外学習できているだろう中高生の団体もいたが、それを除いても思ったより客層が若かった。例えば同じく初心者向けを謳っている落語会・渋谷らくごと比べても、かなり若い世代が集まっている感じがある。キャンパスメンバーズの列ができていたので大学生の人たちかな。

入場時にはパンフレットが配られる。これまでのあらすじが漫画で書かれていたり、見どころ解説や出演者紹介があったりと、事前に必要な知識は大体得られる作り。
客席は三階で、若干花道が見えにくいが、舞台全体を見渡せるいい席だった。

最初は「歌舞伎のみかた」コーナー。これが歌舞伎のとっつきずらさを払拭するための工夫に満ちていて、とても良かった。
意外にも、最初に流れるのは洋楽の曲。舞台の幕があがると、スポットライトに照らされて洋服姿の中村虎之介さんが立っている。音楽に合わせて舞台が回転したり装置がせり上がったりする演出がものすごくカッコいい。歌舞伎という「古い伝統芸能」を観に来たつもりで最初にこれを見せられたらけっこう面食らうはず。実際、学校行事で連れてこられただろう中高生たちがこの演出にノッていて、客席のボルテージが上がったように感じた。
そこからの歌舞伎の基本的な解説もかなりスムーズで分かりやすく、ちゃんとエンタメ的にも楽しめる作りになっている。花道の下から突然幽霊が登場する演出では、しっかり客席から悲鳴が上がっていた。
お客さんから2人選んで実際に歌舞伎の動きを体験してもらったり(ここで舞台に上がった女子2人のノリがいいのも面白かった)、スマホで撮影タイムがあったりと、お客さんサービスもあり、古典芸能が持つ堅苦しいイメージはかなり消えていたと思う。
それから面白かったのがあらすじ紹介のくだり。今回上演があった『神霊矢口渡 頓兵衛住家』という演目は、新田義峰に一目惚れした女性・お舟が彼を助けるために命がけの行動に出る、という話だったのだが、そのあらすじを聞いた女子高生から出た感想が「お舟、つら……」だった。感想の面白さに爆笑してしまったが、しかしこのニュアンスがちゃんとわかっているだけでも後々の鑑賞が見やすくなるだろうから、自然とこういう感想が出た時点でこのコーナーは成功しているなと思った。

20分ほどの休憩を挟んで公演スタート。
事前に歌舞伎に詳しい友人から「『神霊矢口渡 頓兵衛住家』はクライマックスまでは割と地味」という情報を聞いてたので、そのつもりで観たのが功を奏した。確かに序盤は地味なやりとりが続く印象で、ちょこちょこと面白いシーンもあるのだがタルい感じもある。話が動き出すのはお舟の父で、義峰の命を狙っている頓兵衛が登場してから。頓兵衛はすごい。恰幅が良い見た目の迫力もさることながら、何がすごいって、自宅の鍵が開かないからといって壁にデカい穴を開けて、そこから家の中に入るのだ。豪快すぎるだろ。
そこからさらに回り舞台が動いてのシーン転換や、人形のように動く特殊な演出「人形振り」などもあって、見応えがあった。特にラスト、幕が閉まる寸前でお舟が安堵したかのように体の力が抜けたように見えたのがよかった。

初の歌舞伎鑑賞。正直、観てわかるのか心配だったけど、あらすじや見どころを知っておけばすんなり入り込めるんだな、と実感した。
歌舞伎好きの友人によると、「もっと派手で突拍子も無い演目が沢山あるから!」ということなので、またの機会に他の演目も観に行きたいなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?