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314.雪の思い出

昨日は関東でも多少雪が降ったらしく、朝、家を出たら氷の塊が落っこちていた。

暑いのは苦手だけど、寒いのは割と好きだ。汗をダラダラかかなくていいというのは本当に素晴らしい。雪も割と好きで、それは大学スキー部出身の両親に連れられて、幼少の頃からよくスキーに連れて行かれたことが大きい。運動神経が悪いのでカッコよく降りることはできないけれど、普通のコースを転ばずに降りる程度には滑ることができた。

ただもうこの10年以上はスキーに行っていないので、僕が「雪」と言われて思いだすのは、スキー場以外の場所での雪だ。

例えば大学1年生の2月。僕は顎変形症の手術のため入院していた。その頃、外では大雪が降っていた。手術後の数日は鼻の奥に膿が溜まったりして気持ち悪く、寝付けなかったから、真っ暗な病室から窓の外の吹雪をじっと見ていた記憶がある。

これも大学時代。新文芸坐で深作欣二監督特集の2本立てを観終わり、外に出たら、大雪が降っていた。足もともおぼつかないくらいに積もっている。電車はほとんどが止まってしまっていて、タクシーも走っていない。僕は池袋から、当時住んでいた寮のある代々木まで歩くことにした。たぶん20時とかそれくらいで真っ暗だし、人も歩いていない。足を雪に取られながら、僕は粛々と歩いて、その時の東京は僕がいつも見ている街と別世界のようでもあった。

社会人になってからは一度、仕事で金沢に行った。雪が積もって、一面の銀世界の中、ドラマの撮影の取材でずっと立ちっぱなし。たまに写真を撮ることもあったが、あとはずっと撮影の様子を見ているだけだった。後にできあがったドラマの映像を観て(当たり前のことだけど)、まるでその場所に自分がいなかったかのような映像に、不思議な気持ちになった。

やはり雪があると、ちょっと非日常な感じがあるな。今日は中谷宇吉郎『雪を作る話』でも読みながらゆっくりしよう。

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