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12月21日〜29日 第7巻 『雨乞い庄右衛門』

12月21日

志らく師匠がランジャタイについて絶賛ツイートをしているのを見て、ランジャタイファンに「イリュージョン」の概念がインストールされ始めていて面白い。やっぱり落語=伝統というイメージで、ランジャタイのような芸風は低く見られるのではないかという懸念があったのだろうか。おそらく落語や談志・志らくの文脈についてある程度知っている人は「そりゃ志らく師匠はランジャタイ好きだろ」と思っていたはずだけど。

ナツノカモさんの企画で買った落語の音源、「ラストシネマ」で、『万引き家族』など、実在の固有名詞を使っていたのが意外だった旨をツイートしたら、カモさんからリプライがある。やはり自分用に創るネタと他人のために創るブートレッグ企画のネタとでは固有名詞を使うか否かの線引きが変わるらしい。「演者としてやりたい・やりたくないこと」と「作家としての許容範囲」が一致しているわけではないというのは面白い。

夜は真山さんの映画感想スペースを聴きながら寝る。今年は新作映画をあんまり観なかったな。

12月22日

オムラヂで青木さん・柿内さんの座談音源を聴く。素人は「素人ですんで」という予防線を張らないという指摘が鋭い。

夜はなんだか面白い企画らしいので「水曜日のダウンタウン」をリアルタイム視聴。「帯番組のオファーに喜んでいたら着物の帯を紹介する番組だった」ドッキリで、番組放送後に実際にその「帯番組」を放送するという企画。ベルトは帯の競合なのでモザイクで消される、というバカバカしい細やかな設定をちゃんとやるのが素敵だった。

ねむみさんが男性ブランコについて喋るRadiotalkを聴く。もうキングオブコントからだいぶ経っているけど、袋のコントへの熱量が全然落ちてなくて素晴らしい。

12月23日

ちょっと仕事が落ち着きぎみなので、まったりとやり過ごしていた。

夜はあやのさんのスペースで雑談。途中でにゃぽーなさんも合流する。あやのさんはにゃぽーなさんが男性だと思っていなかったらしくて驚いていた。映画の話をあれこれして、マーベルをもっと観るように言われる。

12月24日

給料日かつ賞与日で、思ったよりお金が入っていて嬉しい!
嬉しさついでに週末の演劇の予約を入れたり、男性ブランコの単独配信を軽率に買ったりする。ちゃんとつみたてNISAと貯金の口座にもお金を振り分ける。22年はつみたてNISA枠を満額使いたい。

来週には仕事納めなんだけど、面倒くさい案件が来そうでそれにうんざりしているけれど、それ以外は喜ばしい。

12月25日

男性ブランコ『てんどん記』の配信を観た。標準語・関西弁を同レベルでコントで使いこなせるという強みを、こんな形で構成に落とし込むのかとか、「そんなテイストのネタをこんな序盤に⁉︎」とか驚きが多い構成。それでいてネタひとつひとつがめちゃくちゃ面白くてすごい。「水族記」「サラリーマン」が好きだった。
それにしても平井さんの書くコントにおいて、友達の存在というのは大きいんだな、と思う。

「友人とは、言うこと聞かなくても許せる存在のことさ」
「言っても仕方ないことを聞けるのが友達の特権だよねえ」

一つのコントライブで、友人についての定義めいたフレーズが2回も出てくるのだ。社会への順応度や損得勘定を抜きにして、ただ付き合っていける友達という関係性への信頼が、「世界は狭いより広い方が面白い」という感覚へ繋がっていく。

夜は神楽坂でジエン社の自作自演版『何もしない園』を観る。脚本・演出の山本さんが稽古中に「演出ができなくなった」ためあわや公演中止となりそうだったところ、本来は役者として舞台に上がるはずだった善積さんが演出に、山本さんが出演者に回って、「山本さんが演出できなくなってしまった」ということ自体をパフォーマンスに落とし込んで公演する、という非常に変な経緯のイベント。
山本さんの自室をイメージした布団が敷かれた空間で、山本さんが自身の戯曲「何もしない園」を読んでいく。リーディング公演的な「聞かせるため、届けるための読み」でなく、ただ読んでいる山本さん自体を見せることがポイント。書いた脚本を演出に落とし込む言葉が出せない状態に陥った山本さんの、自身のテキストだけである種自己完結してしまっている様を舞台上に上げてしまうのは、酷なコンセプトでもあると思うのだが、アフタートークで山本さんが「こんなに自分の発話がコントロールできないものかと驚いた」とか、すごく素朴に飄々と語っていて、なんだか風通しの良い雰囲気で終わったのがとてもよかった。善積さんとも帰りに少しお話できた。

12月26日

三鷹へ。りんてん舎を覗いてから三鷹SCOOLで小田尚稔の演劇『レクイエム』へ。以前観たバストリオの公演で印象的だった橋本和加子さんが出ていて、今回もぐっと引き込まれる存在感を纏っていた。次女役の鈴木睦海も素敵な佇まい。身体の痛みや精神の病み、そういった煩わしいものに左右されながらの生と、もう生き終わってしまった死との隔たりのことをぼんやりと考えた。

生活考察の最新号を買った。この雑誌は初めて買ったけどこの号はエッセイと日記が中心みたい。気になるところから拾い読みしていく。

12月27日

Twitterでそういうタグがあったので今年の自作短歌の中から自選5首を選んだら「人」という字が入った短歌が多かった。

湖に擬態していたあの夏が私らしさの絶頂だった
うまい棒ぐらいまっすぐ名乗りたい よわい人です ずるい人です
誰からも忘れ去られた人にだけ海から飛んでくるフリスビー
人類で初めてウニを食べた人的な勇気で街を踏みます
ポケットにたまたま入っていたなんて嘘までついて蜜柑をくれる

夜は岸辺露伴のドラマ第2弾。『ザ・ラン』は、ボルダリング用にリフォームされた壁というバカバカしすぎる絵面もちゃんとやっていてよかった。

夜は先輩とLINE飲み。M-1の話とかをする。ある件について、貶している方が実は対象を高く見積もっていて、褒めている方が実は対象を安く見積もっていた、ということが露呈する場面があって面白かった。

12月28日

仕事納め。夕方までで業務終了して、オフィスで忘年会。ビンゴ大会は過去にNintendo Switchや空気清浄機をもらったりしているのだが、結局自分の意思で買っていないものは使わなくなる、とわかった。今回はジェラピケのもこもこした靴下をもらった。とりあえず持ち帰るのに嵩張らないから良し。

帰りに社内目標の達成報奨としてもらった商品券5000円分で本を3冊買って帰宅。

12月29日

昼前に家へ出て下高井戸シネマへ。初めて来たけどいい雰囲気の映画館。家の近所にこういう劇場あるといいなー。相米慎二監督特集で『夏の庭 The Friends』。小学生3人組が「死んだ人を見てみたい」という理由から、近所のボロボロの家に住む老人を見張り始めるが次第に交流が生まれてきて…という話。子どもとおじいさんの交流というハートフルな方向にも振れそうな話だが、うっすら不穏な雰囲気が漂い続けている。おじいさんのヘビーな過去も相まって、なかなか落ち着かせてくれない。段々と不気味さが増す病院のシーンは、子どもの頃、定期的に病院に通っていた時期の記憶が蘇ってきた。大きな病院のがらんとした冷たい空気。ラストも庭が枯れるところまで描いていて、無常感で終わらせる徹底っぷり。相米作品はどれ観てもむちゃくちゃ面白いなーとなってしまうので、未見の作品もチェックしていきたい。

下高井戸から歩いて下北沢fuzkue。キーマカレーとチーズ蜂蜜トースト、飲み物は黒いシャンディガフ。途中まで読んでいた堀江敏幸『正弦曲線』を読み切り、生活考察を読み進める。
鬼平も読む。療養中だった盗賊、雨乞いの庄右衛門。体力が回復し、引退前に大仕事をやろうと心に決めたところで、子分たちに裏切られてしまう。あわや殺されるというところで偶然場に居合せて助けに入ったのが、僕の推しキャラである岸井左馬之助! 久々の登場なのでとても嬉しい。裏切られたショックで病が再発した庄右衛門は死に、彼の最後の頼みを聞いた左馬は江戸で平蔵に合流し、盗賊たちを捕らえるのだった。一時は健康を取り戻し盗みで平蔵の鼻を明かしてやろうとすら思っていた庄右衛門が、虚しく死んでしまう最後は切なく、この辺りおそらくターゲット読者層として想定しているであろう中高年男性にはより刺さるような作りにしているんだな。

夜は岸辺露伴を観て、ゴッドタンのマジ歌。こういう番組をだらだら観ているとすっかり年末だな〜という気持ちになる。

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