093.#恋人を喪った安田短歌 について その6 #安田短歌展2018
2018年秋、安田短歌本2に続く企画として、神山君を中心にして「#恋人を喪った安田短歌展」が北海道で開催されることになっていた。この企画については僕は全くノータッチであり、北海道勢が自主的に用意を進めていた。
しかし9月に北海道胆振東部地震が起こった影響で、神山君は仕事が多忙を極めてしまう。短歌展はやむを得ず延期することになってしまった。
それを受けて僕が提案したのが「Twitterを活用したWEB展覧会」だ。
展示は誰でも自由参加で、会期中(2018年10月11日~16日)にハッシュタグ「#安田短歌展2018」をつけて作品を投稿する形をとった。
最初は「あまり作品数が増えなかったらどうしようか」と心配をしていたが、蓋を開けてみると従来の安田短歌ラーに加え、今回初めて短歌を詠んだという方もいて、追い切れないほどの作品が投稿された。改めて安田短歌という企画は自分が想定しているよりも広い範囲に広がっているんだなと実感した。
僕は以前のnoteでも紹介した戯曲形式の作品「Scene(s)」と、新作短歌5首を発表した。特に5首めの短歌は気に入っている。
この企画では事前に「会期終了のタイミングで、作品をWEB上から完全削除してほしい」とお願いしていた。期間限定でしか見れないという実際の展覧会と同じ状態を、WEB上で再現しようという狙いだ。また、安田短歌が持つ「喪失」というテーマや、『シン・ゴジラ』の「内閣総辞職ビーム」によって様々なものが一掃されてしまうイメージを、大量の作品が消え去ることで表現できるのではないか、という考えもあった。
撤収作業は思っていた以上に成功した。作品群が会期の終わりまでにあとかたも無く消えていく様子の、「あったものがなくなる」というただそれだけのことが、とてつもなくエモーショナルに感じられた。
最近では、神山君が作った安田短歌ジェネレーターみたいなものも生まれたけど、安田短歌全体の動きは比較的落ち着いてきた。
「#恋人を喪った安田短歌」は思いつきで作ったハッシュタグだったが、ここまで長きに渡って多くの人が関わる企画になるとは全くの想定外だった。このタグをきっかけに知り合った人たちには改めてお礼と、これからもどうぞよろしく、とお伝えしたい。
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